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第24話 未来への手紙
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四月も半ば、町の木々は新しい葉を揺らし、やわらかな光が学校の窓を透けていた。
咲良は朝の昇降口で、健太と奏人と並んで歩きながら、ふと先生から配られた「未来の自分への手紙」のプリントのことを思い出した。
「みんなに、今の自分の気持ちや願いを手紙にして、未来の自分に送るんだって」
健太が、楽しそうに言う。
奏人もノートに「なんて書こうかな」と書いて、咲良に見せた。
「ちょっとドキドキするね」
咲良は笑う。
自分のことを自分に手紙で書くなんて、初めてのことだった。
*
朝の教室は、春の光に包まれていた。
先生が「未来への手紙は、今日の放課後、音楽室で書いていいよ」と声をかけてくれる。
「せっかくだから、みんなで書こうよ!」
健太が手を挙げ、奏人も笑顔でうなずいた。
昼休み、健太は「オレは“未来はプロサッカー選手!”って書こうかな」と冗談めかして言う。
咲良は「私は“未来も音楽と一緒にいられますように”って書くつもり」と、ほんのり照れた。
奏人は、じっと考えたあと、
「ぼくは、“もっと声で伝えられるようになりたい”って書く」とノートに記した。
三人で笑い合いながら、どんなふうに手紙を書こうかと胸を膨らませた。
*
放課後、音楽室に集まった三人。
それぞれピアノのそばで、ゆっくりと手紙を書き始める。
咲良は点字の用紙をそっとなぞりながら、心の中に浮かぶ言葉を一つずつ形にしていく。
『未来のわたしへ。
今の私は、まだたくさん迷ったり、不安になったりするけど、
音楽や友達、家族に支えられて、毎日を一生懸命に歩いています。
これからも見えない世界で、
あなたらしくたくさんの音とぬくもりを感じてほしいです。
そして、自分の“好き”や“夢”を大事にして、
どんなときも歩みを止めないでください。』
咲良は、手紙を書き終えると、不思議と心がすっきりしていた。
*
健太は、サッカーのユニフォームを描いたイラストをそえながら、元気いっぱいに書いた。
『未来のオレへ。
今も昔も、ちょっとドジでお調子者な健太だけど、
たくさんの友達といっぱい笑って、泣いて、悔しがって、
ときどきは落ち込んでも、絶対にへこたれないでほしい。
“仲間”がそばにいれば、何でもできる!
未来もずっと、いろんなことに挑戦していこうぜ。』
手紙を読み返して、健太は「やっぱりオレって単純だな」と頭をかいた。
*
奏人は、ノートにゆっくりとした文字で書いた。
『未来の自分へ。
今はまだ、上手に声を出すことも、
気持ちを言葉で伝えることも苦手だけど、
咲良や健太や、家族がいてくれて、
毎日が温かいです。
未来のぼくが、少しでも自信をもって、
たくさんの人と“声”でつながれていますように。』
奏人は手紙を書き終え、そっとピアノのふたに手を置いた。
*
三人は手紙を折って、それぞれ封筒にしまった。
「これ、未来の自分に届くんだって」
健太が嬉しそうに言う。
「どんな自分になってるかな」
咲良は、不思議な気持ちで空を見上げる。
「きっと大丈夫だよ。
だって、今の私たちが“がんばる”って決めたんだから」
咲良が言うと、奏人も健太も大きくうなずいた。
*
その夜、咲良は母親と手紙の話をした。
「未来の自分に手紙を書くって、ちょっと恥ずかしいけど、楽しかった」
「うん。きっと、その気持ちは何年たっても大事になるよ」
母は、そう優しく言ってくれた。
「これからも、自分の気持ちを大切にしていこうね」
咲良は心のなかで、そっと“未来の自分”と小さく約束した。
*
季節は、ゆっくりと夏に向かって歩き始めていた。
桜の葉は深い緑に変わり、
教室や音楽室、そして三人で歩く公園の東屋――
どこにいても、咲良たちの未来は静かに広がっていく。
——手紙に託した小さな願いと決意は、
——きっとこれからも、心の中でそっと光り続ける。
咲良は朝の昇降口で、健太と奏人と並んで歩きながら、ふと先生から配られた「未来の自分への手紙」のプリントのことを思い出した。
「みんなに、今の自分の気持ちや願いを手紙にして、未来の自分に送るんだって」
健太が、楽しそうに言う。
奏人もノートに「なんて書こうかな」と書いて、咲良に見せた。
「ちょっとドキドキするね」
咲良は笑う。
自分のことを自分に手紙で書くなんて、初めてのことだった。
*
朝の教室は、春の光に包まれていた。
先生が「未来への手紙は、今日の放課後、音楽室で書いていいよ」と声をかけてくれる。
「せっかくだから、みんなで書こうよ!」
健太が手を挙げ、奏人も笑顔でうなずいた。
昼休み、健太は「オレは“未来はプロサッカー選手!”って書こうかな」と冗談めかして言う。
咲良は「私は“未来も音楽と一緒にいられますように”って書くつもり」と、ほんのり照れた。
奏人は、じっと考えたあと、
「ぼくは、“もっと声で伝えられるようになりたい”って書く」とノートに記した。
三人で笑い合いながら、どんなふうに手紙を書こうかと胸を膨らませた。
*
放課後、音楽室に集まった三人。
それぞれピアノのそばで、ゆっくりと手紙を書き始める。
咲良は点字の用紙をそっとなぞりながら、心の中に浮かぶ言葉を一つずつ形にしていく。
『未来のわたしへ。
今の私は、まだたくさん迷ったり、不安になったりするけど、
音楽や友達、家族に支えられて、毎日を一生懸命に歩いています。
これからも見えない世界で、
あなたらしくたくさんの音とぬくもりを感じてほしいです。
そして、自分の“好き”や“夢”を大事にして、
どんなときも歩みを止めないでください。』
咲良は、手紙を書き終えると、不思議と心がすっきりしていた。
*
健太は、サッカーのユニフォームを描いたイラストをそえながら、元気いっぱいに書いた。
『未来のオレへ。
今も昔も、ちょっとドジでお調子者な健太だけど、
たくさんの友達といっぱい笑って、泣いて、悔しがって、
ときどきは落ち込んでも、絶対にへこたれないでほしい。
“仲間”がそばにいれば、何でもできる!
未来もずっと、いろんなことに挑戦していこうぜ。』
手紙を読み返して、健太は「やっぱりオレって単純だな」と頭をかいた。
*
奏人は、ノートにゆっくりとした文字で書いた。
『未来の自分へ。
今はまだ、上手に声を出すことも、
気持ちを言葉で伝えることも苦手だけど、
咲良や健太や、家族がいてくれて、
毎日が温かいです。
未来のぼくが、少しでも自信をもって、
たくさんの人と“声”でつながれていますように。』
奏人は手紙を書き終え、そっとピアノのふたに手を置いた。
*
三人は手紙を折って、それぞれ封筒にしまった。
「これ、未来の自分に届くんだって」
健太が嬉しそうに言う。
「どんな自分になってるかな」
咲良は、不思議な気持ちで空を見上げる。
「きっと大丈夫だよ。
だって、今の私たちが“がんばる”って決めたんだから」
咲良が言うと、奏人も健太も大きくうなずいた。
*
その夜、咲良は母親と手紙の話をした。
「未来の自分に手紙を書くって、ちょっと恥ずかしいけど、楽しかった」
「うん。きっと、その気持ちは何年たっても大事になるよ」
母は、そう優しく言ってくれた。
「これからも、自分の気持ちを大切にしていこうね」
咲良は心のなかで、そっと“未来の自分”と小さく約束した。
*
季節は、ゆっくりと夏に向かって歩き始めていた。
桜の葉は深い緑に変わり、
教室や音楽室、そして三人で歩く公園の東屋――
どこにいても、咲良たちの未来は静かに広がっていく。
——手紙に託した小さな願いと決意は、
——きっとこれからも、心の中でそっと光り続ける。
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