34 / 153
34 円
しおりを挟む
年度末の時期、春の夜にふと思い出す。私は『怪談話の完成』を、身をもって経験した事がある。
小学生2年生の頃の話だ。
学校行事をきっかけに仲良くなり、3年生の女子何人かと遊んだ時期があった。その中の1人にマドカという少女が居た。
マドカは小柄で、学年が1つ下の私と同じくらいの背だった。髪質も似ていて、同じ髪型にして2人で並び後ろから見ると、担任でさえも間違えるほどだった。
彼女は怖い本が好きで、私も一緒に図書室で『学校の怪談』的な本を読みあいっこする事もあった。
その年の暮れ、マドカが亡くなった。
自宅が火事になり、逃げ遅れた。
自宅まで、互いに行き交う様な親しい間柄でも無いので、私は葬儀には行かなかった。朝礼で黙祷だけした。
マドカの両親は火事をきっかけに離婚し、双方ともに引っ越した。
母から聞いた話では、マドカの母が電化製品の異常を指摘したにも関わらず、マドカの父が使用を継続して、ショートが原因で失火したらしい。
自宅のあった所は、更地となった。
すると、地元である噂が流れ始めた。
夜、現場近くを通りかかると、焼け焦げたぬいぐるみを抱いた少女の霊が現れるという。
住民達は離婚して散り散りになった両親を探して、マドカが彷徨っていると囁いた。
折しも、3年生に進級する少し前。用事で夜21時過ぎに親戚の家から帰るため、マドカの家の傍を通る事になった。
私は車窓にへばりついた。
灯りのある家々の中、黒くぽっかりと更地があった。そこには何もなく、勿論霊の姿も無かった。
私達はトイレの花子さんを信じていた。時が止まりずっと小学3年生の彼女と、成長し続けて小学3年生も通過していくだろう私。
通り過ぎる一瞬、幼いなりに私は色んな事を考えた。
着せ替え人形が大好きだったのに、ぬいぐるみを抱いてるという怪談話になってしまった彼女を、私は憂いた。
それは、噂話というものは真実を勝手に捻じ曲げたものであるという事を、初めて知った瞬間でもあった。
小学生2年生の頃の話だ。
学校行事をきっかけに仲良くなり、3年生の女子何人かと遊んだ時期があった。その中の1人にマドカという少女が居た。
マドカは小柄で、学年が1つ下の私と同じくらいの背だった。髪質も似ていて、同じ髪型にして2人で並び後ろから見ると、担任でさえも間違えるほどだった。
彼女は怖い本が好きで、私も一緒に図書室で『学校の怪談』的な本を読みあいっこする事もあった。
その年の暮れ、マドカが亡くなった。
自宅が火事になり、逃げ遅れた。
自宅まで、互いに行き交う様な親しい間柄でも無いので、私は葬儀には行かなかった。朝礼で黙祷だけした。
マドカの両親は火事をきっかけに離婚し、双方ともに引っ越した。
母から聞いた話では、マドカの母が電化製品の異常を指摘したにも関わらず、マドカの父が使用を継続して、ショートが原因で失火したらしい。
自宅のあった所は、更地となった。
すると、地元である噂が流れ始めた。
夜、現場近くを通りかかると、焼け焦げたぬいぐるみを抱いた少女の霊が現れるという。
住民達は離婚して散り散りになった両親を探して、マドカが彷徨っていると囁いた。
折しも、3年生に進級する少し前。用事で夜21時過ぎに親戚の家から帰るため、マドカの家の傍を通る事になった。
私は車窓にへばりついた。
灯りのある家々の中、黒くぽっかりと更地があった。そこには何もなく、勿論霊の姿も無かった。
私達はトイレの花子さんを信じていた。時が止まりずっと小学3年生の彼女と、成長し続けて小学3年生も通過していくだろう私。
通り過ぎる一瞬、幼いなりに私は色んな事を考えた。
着せ替え人形が大好きだったのに、ぬいぐるみを抱いてるという怪談話になってしまった彼女を、私は憂いた。
それは、噂話というものは真実を勝手に捻じ曲げたものであるという事を、初めて知った瞬間でもあった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる