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卒業シーズンになると思い出す、高校時代の先輩の話。
ハナノとミズホと言う、同じ部の1つ上の学年の女の先輩達と仲が良かった。
ハナノ先輩は良くも悪くも『中心に居たい女子』、ミズホ先輩は大人しい『取り巻き女子』な感じだった。
2年の時、ハナノ先輩にある話をされた。
「修学旅行、気を付けないといけないよ!」
修学旅行中、ある戦争被害に遭った所を見学する。
「去年『A』に行った時、戦争の犠牲者の霊に取り憑かれて。涙が止まらなくなって、バスで休む羽目になったの!」
「え、先輩霊感強いんですか?」
「そうよ! 憑依された事何回もあるの」
突然、霊感持ちだとカミングアウトされた。
(今まで微塵も言ってなかったのに。もしや言っても否定されないと認められたかな?)
そして迎えた修学旅行。『A』では特に何も感じなかった。
私はハナノ先輩へ報告した。
「自分、何も感じませんでした」
「そうなんだ? 気になる場所どこも無い?」
「あえて言うなら隣の資料館?」
「あー、じゃあ霊感無いね。取り憑かれなくて良かったね!」
ところが。
ハナノ先輩は部活動引退後も部室によく顔を出していたのに、それから突然来なくなったのだ。
見かけたミズホ先輩に尋ねると。
「ハナノ、学校休みがちでさぁ」
「そうなんですか…」
「何か今くらいに、来なくなる子増えるからそれかも」
教師も似た事を言っていた。進路に絶望して(成績の伸び悩みや進路未定など)、2学期後半から登校拒否っぽくなる3年生が出るらしい。
ハナノ先輩もそれに嵌ったか。
相方不在で『ぼっち』かと思いきや、ミズホ先輩は別のグループと一緒だった。
(ふーん、案外ドライなんだ。まあハナノ先輩とだと、我慢する事が多かったのかな?)
ハナノ先輩を通じて接していた感じなので、ミズホ先輩と話す事はほぼ無くなった。
そんなある日。
帰りにミズホ先輩と会った。
「久しぶり。今日部活無いの?」
「先生出張で。先輩、これから帰りですか?」
「うん。…あ、一緒に帰らない?」
ミズホ先輩から初めて誘われた私は、二つ返事だった。
「ねえ。ハナノ、本当に霊感あると思う?」
「え?」
進路や好きなミュージシャンの話の後、ミズホ先輩は唐突に言った。
返答を待たず、彼女は続けた。
「3人で帰る時、部室脇のトイレ寄ってたじゃん? 何で1番外に近い個室、避けてたの?」
「え…、避けてたって言うか。何か、暗くて」
ミズホ先輩は私の返答にクスッと笑った。
「あたしもあそこ、使いたくないんだ。でも、ハナノは普通に使ってて。ウケる」
「あ、使ってましたね」
「覚えてる?修学旅行の『A』の話。ハナノが騒いでたやつ」
「はい、覚えてます」
「…隣の資料館の敷地にも戦災遺物あるけど、そっちは激ヤバなんだって。中に入れるのは、安全な『A』の方。
だから、あんたの勘は正しい。ハナノなんかよりよっぽど『有る』」
その時は意味がよく分からなくて、ミズホ先輩よく喋るなあと相槌を打っていた。
「ハナノ、『見える』ようにしてやったら来なくなったね。前から見えてたなら、何で怖がってんだろ?」
思わず顔を見ると、彼女は空を見ていた。
バス停に着くと、ミズホ先輩は笑って手を振った。
「じゃあね。色々話せて楽しかったよ」
1対1で話したのは、それが最後だった。
何とか卒業出来たハナノ先輩は県外に就職し、ミズホ先輩は介護福祉の専門学校に進んだらしい。
2人とは、以降会っていない。
大人になってから『A』や資料館の事を調べたが、特に霊的な話は無かった。
だが『子供への学習目的での開放にあたり、地元霊能者からのお墨がついた(憑依や霊障の危険が少ない)場所だけを開放した』との話は見つけた。
ミズホ先輩は本物だったのか。
霊感が無いのに『有る』と嘯いた友人を懲らしめる為に、『霊感のドア』を開けたのか。もしくは、彼女自身も後輩である私をからかったのか。
彼女は『知らなくていい事もある』という事を、私に教えたかったのかもしれない。
ハナノとミズホと言う、同じ部の1つ上の学年の女の先輩達と仲が良かった。
ハナノ先輩は良くも悪くも『中心に居たい女子』、ミズホ先輩は大人しい『取り巻き女子』な感じだった。
2年の時、ハナノ先輩にある話をされた。
「修学旅行、気を付けないといけないよ!」
修学旅行中、ある戦争被害に遭った所を見学する。
「去年『A』に行った時、戦争の犠牲者の霊に取り憑かれて。涙が止まらなくなって、バスで休む羽目になったの!」
「え、先輩霊感強いんですか?」
「そうよ! 憑依された事何回もあるの」
突然、霊感持ちだとカミングアウトされた。
(今まで微塵も言ってなかったのに。もしや言っても否定されないと認められたかな?)
そして迎えた修学旅行。『A』では特に何も感じなかった。
私はハナノ先輩へ報告した。
「自分、何も感じませんでした」
「そうなんだ? 気になる場所どこも無い?」
「あえて言うなら隣の資料館?」
「あー、じゃあ霊感無いね。取り憑かれなくて良かったね!」
ところが。
ハナノ先輩は部活動引退後も部室によく顔を出していたのに、それから突然来なくなったのだ。
見かけたミズホ先輩に尋ねると。
「ハナノ、学校休みがちでさぁ」
「そうなんですか…」
「何か今くらいに、来なくなる子増えるからそれかも」
教師も似た事を言っていた。進路に絶望して(成績の伸び悩みや進路未定など)、2学期後半から登校拒否っぽくなる3年生が出るらしい。
ハナノ先輩もそれに嵌ったか。
相方不在で『ぼっち』かと思いきや、ミズホ先輩は別のグループと一緒だった。
(ふーん、案外ドライなんだ。まあハナノ先輩とだと、我慢する事が多かったのかな?)
ハナノ先輩を通じて接していた感じなので、ミズホ先輩と話す事はほぼ無くなった。
そんなある日。
帰りにミズホ先輩と会った。
「久しぶり。今日部活無いの?」
「先生出張で。先輩、これから帰りですか?」
「うん。…あ、一緒に帰らない?」
ミズホ先輩から初めて誘われた私は、二つ返事だった。
「ねえ。ハナノ、本当に霊感あると思う?」
「え?」
進路や好きなミュージシャンの話の後、ミズホ先輩は唐突に言った。
返答を待たず、彼女は続けた。
「3人で帰る時、部室脇のトイレ寄ってたじゃん? 何で1番外に近い個室、避けてたの?」
「え…、避けてたって言うか。何か、暗くて」
ミズホ先輩は私の返答にクスッと笑った。
「あたしもあそこ、使いたくないんだ。でも、ハナノは普通に使ってて。ウケる」
「あ、使ってましたね」
「覚えてる?修学旅行の『A』の話。ハナノが騒いでたやつ」
「はい、覚えてます」
「…隣の資料館の敷地にも戦災遺物あるけど、そっちは激ヤバなんだって。中に入れるのは、安全な『A』の方。
だから、あんたの勘は正しい。ハナノなんかよりよっぽど『有る』」
その時は意味がよく分からなくて、ミズホ先輩よく喋るなあと相槌を打っていた。
「ハナノ、『見える』ようにしてやったら来なくなったね。前から見えてたなら、何で怖がってんだろ?」
思わず顔を見ると、彼女は空を見ていた。
バス停に着くと、ミズホ先輩は笑って手を振った。
「じゃあね。色々話せて楽しかったよ」
1対1で話したのは、それが最後だった。
何とか卒業出来たハナノ先輩は県外に就職し、ミズホ先輩は介護福祉の専門学校に進んだらしい。
2人とは、以降会っていない。
大人になってから『A』や資料館の事を調べたが、特に霊的な話は無かった。
だが『子供への学習目的での開放にあたり、地元霊能者からのお墨がついた(憑依や霊障の危険が少ない)場所だけを開放した』との話は見つけた。
ミズホ先輩は本物だったのか。
霊感が無いのに『有る』と嘯いた友人を懲らしめる為に、『霊感のドア』を開けたのか。もしくは、彼女自身も後輩である私をからかったのか。
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