55 / 153
55 ファーストインプレッション
しおりを挟む
夫から聞いた話。
私の夫は私と違い、現実主義で幽霊など信じないタイプである。心霊体験もなく、知らずに心霊スポットを通っても何ともなく、怖い夢すら見る事がほとんどない。
そんな夫が目の当たりにした、不可解な話。
夫が大学生の頃。同じサークルの同級生にケイコという女子が居た。
ケイコは特に美人でもなければ成績優秀でもなく、『女子大生によく居る平凡なタイプ』で普通の人だった。
ただ1点、ケイコは夫の事を親の敵の様に、毛嫌いしていたそうだ。
夫とケイコは互いに大学のサークルで出会ったのが初めてで、それまで顔を合わせた事は1度も無い。
接点はサークルのみで、出身地も全然違う。それなのに、初対面で眉間に皺を寄せ、めちゃめちゃ睨んできたそうだ。
夫の方は別にケイコを意識した事はなかったが、見かける度に睨んで来るので、流石にいい気分では無かった。
2人は互いの友人とばかりつるんでいて、直接話す事は大学4年間で1度も無かった。
私はそこまで聞いて、質問した。
「あなたが覚えてないだけで、何か向こうが嫌がる事をしたとか?」
「勿論無いよ。落とし物拾ってあげたとか、何なら名前を呼んだ事も無い」
あまりにも露骨なので、周囲の友人も気づくようになったある時、夫の友人がケイコとその友人に、夫の事を訊いたそうだ。
「あいつに何か嫌な事でもされたの?」
「ううん、何もされてないよ。でもあの人、何か嫌に感じちゃうの。友達であるあなたには悪いけど、どうにも出来ない」
理由は分からないが、『顔に出るぐらいの強い嫌悪感』を夫に対してだけ感じるという。
大学も最終学年になると、夫が悪寒を感じて振り向くと、こちらにまだ気づいてないケイコが遥か後ろを歩いている、みたいに夫もケイコの気配を『嫌悪感』で感じるようになったらしい。
「ほう、それが唯一の不可解体験ですか」
「でもね、ある時に読んだ本で分かったんだけど、『遺伝子が偶然にも近い人』なのかもしれない」
「『近い』?」
思春期の女子が自分の父親を嫌悪するのは、『遺伝子の近い存在と近親相姦にならないため』の生理的反応とされる。
夫とケイコは偶然にも遺伝子が似ているため、『間違いが起こらないよう細胞レベルで嫌悪感』が出るようになったのでは?と考えるそうだ。
夫はこんな事も言った。
「在学中にサークルの後輩から、『もしかしてケイコ先輩とイトコだったりしますか?雰囲気とか匂いが似てるんですけど』って、言われた事があったんだよね」
個人的には、匂いで人の判別がつくその後輩も気になるが、似ている様で少々違う事を思い出した。
私が今までの人生で、第一印象に『何とも言えない強い違和感』を抱いた人物は5人程居た。
年齢、性別、背格好、雰囲気、どれも全て共通点は無い。
その5人はどうだったかと言うと…。5人中2名はサイコパス的性格や有り得ないトラブルメーカーで、残り3名は盗撮、窃盗など悪事を働いた人物だった。
ちなみにその内2人に関しては、別の同僚も『何か○さんと△さん、第一印象で合わないなって、何となく思ったんだけど、どう思う?』と何かを感じ取る発言をしていた。
第一印象で遺伝子の近さを知らずに自覚(?)したり、第六感が発動したのかも、って話。
ちなみに私が友人に夫を紹介され、初めて会った時に抱いた印象は『この人ともし付き合う事になったら…、まあアリかな!嫌な感じしないし』だった。
人によっては、それを妥協と言うかもしれないが。
『この人、ときめかないから無理』、『何かビビっと来ない』、そんな定規で判断していたら、きっと夫を逃していただろう。
私の夫は私と違い、現実主義で幽霊など信じないタイプである。心霊体験もなく、知らずに心霊スポットを通っても何ともなく、怖い夢すら見る事がほとんどない。
そんな夫が目の当たりにした、不可解な話。
夫が大学生の頃。同じサークルの同級生にケイコという女子が居た。
ケイコは特に美人でもなければ成績優秀でもなく、『女子大生によく居る平凡なタイプ』で普通の人だった。
ただ1点、ケイコは夫の事を親の敵の様に、毛嫌いしていたそうだ。
夫とケイコは互いに大学のサークルで出会ったのが初めてで、それまで顔を合わせた事は1度も無い。
接点はサークルのみで、出身地も全然違う。それなのに、初対面で眉間に皺を寄せ、めちゃめちゃ睨んできたそうだ。
夫の方は別にケイコを意識した事はなかったが、見かける度に睨んで来るので、流石にいい気分では無かった。
2人は互いの友人とばかりつるんでいて、直接話す事は大学4年間で1度も無かった。
私はそこまで聞いて、質問した。
「あなたが覚えてないだけで、何か向こうが嫌がる事をしたとか?」
「勿論無いよ。落とし物拾ってあげたとか、何なら名前を呼んだ事も無い」
あまりにも露骨なので、周囲の友人も気づくようになったある時、夫の友人がケイコとその友人に、夫の事を訊いたそうだ。
「あいつに何か嫌な事でもされたの?」
「ううん、何もされてないよ。でもあの人、何か嫌に感じちゃうの。友達であるあなたには悪いけど、どうにも出来ない」
理由は分からないが、『顔に出るぐらいの強い嫌悪感』を夫に対してだけ感じるという。
大学も最終学年になると、夫が悪寒を感じて振り向くと、こちらにまだ気づいてないケイコが遥か後ろを歩いている、みたいに夫もケイコの気配を『嫌悪感』で感じるようになったらしい。
「ほう、それが唯一の不可解体験ですか」
「でもね、ある時に読んだ本で分かったんだけど、『遺伝子が偶然にも近い人』なのかもしれない」
「『近い』?」
思春期の女子が自分の父親を嫌悪するのは、『遺伝子の近い存在と近親相姦にならないため』の生理的反応とされる。
夫とケイコは偶然にも遺伝子が似ているため、『間違いが起こらないよう細胞レベルで嫌悪感』が出るようになったのでは?と考えるそうだ。
夫はこんな事も言った。
「在学中にサークルの後輩から、『もしかしてケイコ先輩とイトコだったりしますか?雰囲気とか匂いが似てるんですけど』って、言われた事があったんだよね」
個人的には、匂いで人の判別がつくその後輩も気になるが、似ている様で少々違う事を思い出した。
私が今までの人生で、第一印象に『何とも言えない強い違和感』を抱いた人物は5人程居た。
年齢、性別、背格好、雰囲気、どれも全て共通点は無い。
その5人はどうだったかと言うと…。5人中2名はサイコパス的性格や有り得ないトラブルメーカーで、残り3名は盗撮、窃盗など悪事を働いた人物だった。
ちなみにその内2人に関しては、別の同僚も『何か○さんと△さん、第一印象で合わないなって、何となく思ったんだけど、どう思う?』と何かを感じ取る発言をしていた。
第一印象で遺伝子の近さを知らずに自覚(?)したり、第六感が発動したのかも、って話。
ちなみに私が友人に夫を紹介され、初めて会った時に抱いた印象は『この人ともし付き合う事になったら…、まあアリかな!嫌な感じしないし』だった。
人によっては、それを妥協と言うかもしれないが。
『この人、ときめかないから無理』、『何かビビっと来ない』、そんな定規で判断していたら、きっと夫を逃していただろう。
1
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる