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『自分の家』と聞いて、思い浮かべる場所は何処だろう。
子供の頃暮らした家か、自分が働いて貰った収入で買って建てたり借りている家か、現在自分の親が暮らす実家か。
思い入れのある家、とは。そう考えさせられた話。
同じ高校だった友人:カツノリに、こんな話を聞いた。
「お前、夢を結構見るって言うけど、どういう場所が多く出て来る?」
帰り道、同じ部だったカツノリや他の友人と雑談していると、不意にそんな事を言われた。
「場所? 色々だしなぁ。家もあれば学校もあるし、行った事も無い場所だって出て来るよ」
私がそう言うと、カツノリはこんな事を言った。
カツノリの夢には、現在住んでいる自宅よりも、離れて暮らす父方の祖父母宅の方が多く出て来るのだという。
夢のシチュエーションは色々で、実際は『遊びに行く場所』であるのに、夢の中では『その家で暮らしている前提』で出て来るらしい。
「祖父ちゃん祖母ちゃんちで暮らした経験は無いんだ。夏休みとかに遊びに行って、何日か泊って来る程度で、『この家大好き!』って感じでもなく、普通。むしろリアルだと常備されてる菓子は干菓子だけだし、ゲーム機も無いから自分ちより不便」
「へえ」
高3の秋、彼の祖母が亡くなり、祖父が一人暮らしとなった。
今は健康体ではあるが、いつ何があるか心配なので、叔父夫婦が引っ越して同居する事になったらしい。
「長男なのに、カツの父さんは同居しないんだ?」
「しゃーねえよ、転勤族だもん。今も西日本に単身赴任してるよ」
叔父夫婦が家に住むようになり、遠慮の気持ちもあってか、訪問回数は減ったらしい。
それでも仲は悪い訳では無く、電話で話したり、一緒に皆で外食したりもあったとか。
その間にも、カツノリは相変わらず、祖父宅で生活する夢を見続けた。
時に祖父と共に魚をさばいたり、家じゅうから布団を引っ張り出して外干ししたり、やって来た客をもてなしたり。
可もなく不可もなく生活する夢、だったという。
「…実はさ、この前酔った叔父さんから『カツノリ、俺の養子になんねえか?』って言われたんだ」
「養子? なるの?」
「まさか。俺、一応、一人息子だぜ? 叔父さん子供居ねえけど、酔ってるからジョークだと思う」
「あの夢って、養子になる予知夢だったんじゃないの?」
「ないない」
カツノリは笑って否定した。
カツノリが20歳の時、祖父宅は建て替えになった。高齢のため農業から退いていて、長く手付かずだった敷地内の畑は小さなアパートが建てられ、不動産収入を叔父と祖父は得て生活するようになった。
すっかり外観が変わってしまったし、何度も祖父宅に行ったのだが、カツノリは相変わらず、以前の祖父宅で生活する夢を見続けていた。
「もしさあ、おじいさんや叔父さん達も居なくなったら、そこの家とアパートどうすんの?」
「さあ? 不動産とか興味ねえもん」
まだ若く、重要性を知らなかったカツノリはそう答えた。
それからどれくらい経ったか。
ある時震災が起き、原発事故が発生した。祖父宅は帰還困難区域にされ、引っ越しを余儀なくされた。
翌年、祖父は老衰で亡くなった。叔父夫婦も、元の住居のあった場所に見切りをつけ、避難先に定住するようになった。
それでもカツノリは、元の祖父宅で生活する夢を見続けている。
「何か今は、あの場所がとても大好きなんだ。もうあの景色は無い筈なんだけどさ。またいつかでいいから必ず行きたい、って思ってる。来るといいな、そんな日」
カツノリはそう言っている。
霊では無く、土地か家に呼ばれているかもしれない、友人の話。
子供の頃暮らした家か、自分が働いて貰った収入で買って建てたり借りている家か、現在自分の親が暮らす実家か。
思い入れのある家、とは。そう考えさせられた話。
同じ高校だった友人:カツノリに、こんな話を聞いた。
「お前、夢を結構見るって言うけど、どういう場所が多く出て来る?」
帰り道、同じ部だったカツノリや他の友人と雑談していると、不意にそんな事を言われた。
「場所? 色々だしなぁ。家もあれば学校もあるし、行った事も無い場所だって出て来るよ」
私がそう言うと、カツノリはこんな事を言った。
カツノリの夢には、現在住んでいる自宅よりも、離れて暮らす父方の祖父母宅の方が多く出て来るのだという。
夢のシチュエーションは色々で、実際は『遊びに行く場所』であるのに、夢の中では『その家で暮らしている前提』で出て来るらしい。
「祖父ちゃん祖母ちゃんちで暮らした経験は無いんだ。夏休みとかに遊びに行って、何日か泊って来る程度で、『この家大好き!』って感じでもなく、普通。むしろリアルだと常備されてる菓子は干菓子だけだし、ゲーム機も無いから自分ちより不便」
「へえ」
高3の秋、彼の祖母が亡くなり、祖父が一人暮らしとなった。
今は健康体ではあるが、いつ何があるか心配なので、叔父夫婦が引っ越して同居する事になったらしい。
「長男なのに、カツの父さんは同居しないんだ?」
「しゃーねえよ、転勤族だもん。今も西日本に単身赴任してるよ」
叔父夫婦が家に住むようになり、遠慮の気持ちもあってか、訪問回数は減ったらしい。
それでも仲は悪い訳では無く、電話で話したり、一緒に皆で外食したりもあったとか。
その間にも、カツノリは相変わらず、祖父宅で生活する夢を見続けた。
時に祖父と共に魚をさばいたり、家じゅうから布団を引っ張り出して外干ししたり、やって来た客をもてなしたり。
可もなく不可もなく生活する夢、だったという。
「…実はさ、この前酔った叔父さんから『カツノリ、俺の養子になんねえか?』って言われたんだ」
「養子? なるの?」
「まさか。俺、一応、一人息子だぜ? 叔父さん子供居ねえけど、酔ってるからジョークだと思う」
「あの夢って、養子になる予知夢だったんじゃないの?」
「ないない」
カツノリは笑って否定した。
カツノリが20歳の時、祖父宅は建て替えになった。高齢のため農業から退いていて、長く手付かずだった敷地内の畑は小さなアパートが建てられ、不動産収入を叔父と祖父は得て生活するようになった。
すっかり外観が変わってしまったし、何度も祖父宅に行ったのだが、カツノリは相変わらず、以前の祖父宅で生活する夢を見続けていた。
「もしさあ、おじいさんや叔父さん達も居なくなったら、そこの家とアパートどうすんの?」
「さあ? 不動産とか興味ねえもん」
まだ若く、重要性を知らなかったカツノリはそう答えた。
それからどれくらい経ったか。
ある時震災が起き、原発事故が発生した。祖父宅は帰還困難区域にされ、引っ越しを余儀なくされた。
翌年、祖父は老衰で亡くなった。叔父夫婦も、元の住居のあった場所に見切りをつけ、避難先に定住するようになった。
それでもカツノリは、元の祖父宅で生活する夢を見続けている。
「何か今は、あの場所がとても大好きなんだ。もうあの景色は無い筈なんだけどさ。またいつかでいいから必ず行きたい、って思ってる。来るといいな、そんな日」
カツノリはそう言っている。
霊では無く、土地か家に呼ばれているかもしれない、友人の話。
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