138 / 153
138 向こう
しおりを挟む
前回、『あの世との距離感が夢に現れた話』をしたのだが、今回は死者が私の夢に出て来た時のことを幾つか。
父方祖母が亡くなった夜、こんな夢を見た。
夢の中で私は中学生くらいで、家族みんなで農作業をしていた。
機械で作業をしていたがマシントラブルが多く、父と母は『メンテナンスをサボるから!』『ミスをフォローせず文句ばっかり!』と険悪になっていた(娘の私からすればいつものこと)。
ふと『おばあちゃん何してるかな』と思い祖母を見ると、黙々と自分の担当作業をしていた。
私は『でもアレ、気づいてるし見てるよね』と苦笑し、夢から覚めた。
その後、祖母の葬儀の準備や段取りで余裕の無い父と母が何度か揉めていたのだが、多分祖母は私の夢の中みたいに、見えないけど近くで呆れてるんだろうな、と思ったものだ。
同様に、亡き母方祖父の場合。
夢に祖父が出て来る時は、いつも祖父母宅の外に居た。シチュエーションは様々、皆で花火をやったり畑仕事をしてたりで庭先には居るのに、何故か家の中には入らないし行かないのである。
母にその話をすると、
「認知症だった晩年、おばあちゃんが嫌過ぎて自宅から出て徘徊していたから、死後もおばあちゃんの居る自宅に入らないのかもしれない」
と、見解を述べた。
ところが昨年、家に入れなかった筈の祖父が、家の中で爆睡してる(しかも生前の様にいびきをかいてる)夢を見た。
丁度その3か月前、祖母が施設に入ったところだったので、『祖母が居なくなりようやく祖父が家に入れるようになった』のかも、と私は考えた。
そもそも、祖父の両親が土地を借りて住み始めた、祖父にとって生まれ育った家なのだが。夫婦というものは、色々複雑な事情も存在するのである。
番外編として。
数年前、実家の飼犬が14歳11か月の大往生をした。その翌年の秋彼岸の前の週、その愛犬が私の夢に出た。
夢の中で私は用事があって実家へ出向き、玄関先で母と立ち話をしていた。ふと、いつものように傍にある犬小屋を見やると、愛犬が顔を覗かせた。
『元気かぁ?』
犬小屋に私が行くと、喜んだ愛犬は小屋から顔と前足を出したのだが、妙だった。全体が茶色い体毛なのに、腰から先が妙に長細く、灰色の毛になっていた。
(あれ?この子、こんな色でこんなに胴が長かったっけ…?)
夢はそこで終わった。
多分愛犬は、まだ彼岸じゃないのに夢の中で『フライング彼岸帰省』をしたのだろう。
結果として、上半身は私の夢に入り込めたが、下半身はあの世に居るため、灰色=死後の世界の色だったのではないか。
ちなみにその愛犬は、私だけでなく母の夢にもその当時『フライング彼岸帰省』をしていた。母の夢は日常の夢だったので、特に記憶に残る何かは無かったらしい。
『死』は終わりではなく、その先の事情も実は存在するかもしれない、と思った話。
父方祖母が亡くなった夜、こんな夢を見た。
夢の中で私は中学生くらいで、家族みんなで農作業をしていた。
機械で作業をしていたがマシントラブルが多く、父と母は『メンテナンスをサボるから!』『ミスをフォローせず文句ばっかり!』と険悪になっていた(娘の私からすればいつものこと)。
ふと『おばあちゃん何してるかな』と思い祖母を見ると、黙々と自分の担当作業をしていた。
私は『でもアレ、気づいてるし見てるよね』と苦笑し、夢から覚めた。
その後、祖母の葬儀の準備や段取りで余裕の無い父と母が何度か揉めていたのだが、多分祖母は私の夢の中みたいに、見えないけど近くで呆れてるんだろうな、と思ったものだ。
同様に、亡き母方祖父の場合。
夢に祖父が出て来る時は、いつも祖父母宅の外に居た。シチュエーションは様々、皆で花火をやったり畑仕事をしてたりで庭先には居るのに、何故か家の中には入らないし行かないのである。
母にその話をすると、
「認知症だった晩年、おばあちゃんが嫌過ぎて自宅から出て徘徊していたから、死後もおばあちゃんの居る自宅に入らないのかもしれない」
と、見解を述べた。
ところが昨年、家に入れなかった筈の祖父が、家の中で爆睡してる(しかも生前の様にいびきをかいてる)夢を見た。
丁度その3か月前、祖母が施設に入ったところだったので、『祖母が居なくなりようやく祖父が家に入れるようになった』のかも、と私は考えた。
そもそも、祖父の両親が土地を借りて住み始めた、祖父にとって生まれ育った家なのだが。夫婦というものは、色々複雑な事情も存在するのである。
番外編として。
数年前、実家の飼犬が14歳11か月の大往生をした。その翌年の秋彼岸の前の週、その愛犬が私の夢に出た。
夢の中で私は用事があって実家へ出向き、玄関先で母と立ち話をしていた。ふと、いつものように傍にある犬小屋を見やると、愛犬が顔を覗かせた。
『元気かぁ?』
犬小屋に私が行くと、喜んだ愛犬は小屋から顔と前足を出したのだが、妙だった。全体が茶色い体毛なのに、腰から先が妙に長細く、灰色の毛になっていた。
(あれ?この子、こんな色でこんなに胴が長かったっけ…?)
夢はそこで終わった。
多分愛犬は、まだ彼岸じゃないのに夢の中で『フライング彼岸帰省』をしたのだろう。
結果として、上半身は私の夢に入り込めたが、下半身はあの世に居るため、灰色=死後の世界の色だったのではないか。
ちなみにその愛犬は、私だけでなく母の夢にもその当時『フライング彼岸帰省』をしていた。母の夢は日常の夢だったので、特に記憶に残る何かは無かったらしい。
『死』は終わりではなく、その先の事情も実は存在するかもしれない、と思った話。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる