異世界転生チートに反旗を翻せ!

三原 柚木

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炎の大陸編

レベル、スキル、ステータス

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 町を後にした陽介とフラム。服も新しくなって、少しだけ浮かれた気分になっていた。
「時に陽介、君のレベルは? スキルはどれくらい持っているのか、ステータスを見せてほしい」
「レベル? スキル?? ステータス!? なんだよそれ、全然ファンタジーじゃないじゃん! そういうことか、はぁ……」

 突然ゲーム用語がフラムの口から飛び出し、陽介は驚くと同時に勇者だの魔王だのがいることに納得がいき、自分は純粋な異世界に来たのではなく、やけにリアルなゲームの中で遊んでいるだけなのかと、がっくり肩を落とした。仕事帰りのどこで入ってしまったのだろうかと考えつつ。
「何を落ち込んでいるかは知らないが、そちらの世界では一般的なものではないのか?」
「あー、まあ、大体のゲームにはあるんじゃないかな……って、フラムさんにはわかんないか」
 キャラクターだもんな、と言いかけた言葉を悪い気がして飲み込んだ。

「ゲームか。奴もそんなことを言っていたな。こんなものは、元来この世界には無かったものだ」
「えっ」
 落ち込んでいた陽介は顔を上げた。
「そうだ、奴は世界の理まで書き換えたのだ。しかし、無かったことを人々は認知できず、さも当たり前のように暮らしている。恐ろしいことだ」
「どう考えてもヤバすぎるだろ……そんなやつを相手にしろっていうのか!?」
 無茶苦茶だと陽介は思った。世界すら好きに弄れる相手に、丸腰の自分など到底勝ち目はない。

「だからこそ対抗手段を考えねばならない。ほら、スキルを見せてくれ。手をかざせば出てくる」
 それならと宙に手をかざすと、目の前にゲーム画面のような四角い枠のウィンドウが浮かび上がった。スキルの項目を指で押して確認すると、三つ持っていた。

 EXP0:経験値を得ることが出来ない。
 MP0:魔法の取得及び発動が出来ない。
 HEART0:異性からの好感度が上がらない。下がることはある。

「いいもの……じゃあ、ないんだよな? その顔は」
 思わず渋い顔になったフラムの様子から、良くないものであることを悟る。
「い、一応、ステータスも確認しよう。もしかしたらいい感じなのかもしれない。それこそ奴を倒せる程の……」
 今度はステータスの項目を押して確認すると、ウィンドウに表示が出た。

 ヒビヤヨウスケ:おとこ(25)
 職業:警備員Lv1
 HP:まあまあ
 MP:ないよ
 攻撃力:まあまあ
 防御力:まあまあ
 魔法攻撃:ないよ
 魔法耐性:ないよ
 素早さ:まあまあ

 フラムは遠くの方を眺めて、深いため息をついている。
「えーそんなことないよ。俺趣味で走り込んでたし、体力と足の速さには結構自信ある方だぜ? 見てなって」
 陽介は軽く体を動かし、少し離れた場所にある高い木を指さして颯爽と走り抜けてみせた。が、かなり息が上がった状態で戻ってきた。

「嘘だろ、これくらい、の……距離で、息が上がるなんて……」
「君がこの世界に来たことは、奴にとって都合が悪いのだろう。こんなスキルを付与したり、ステータスを意図的に下げられる者など他にいない。不利なことが明白ではないか!」
 言葉の最後に怒りを込めるほどなのだから、相当自分は悪いのだろうなと陽介はまたしても落ち込んだ。

「魔法が使えないのは仕方ないとしても、武器や防具があれば、ある程度は強くなれる。水の大陸には腕の立つ工房もあると聞く」
「本当か! あ、でもお金がないんだった。今から町に戻るのは嫌だしな……」
 食事や服はもらえたが、皿洗いの仕事から飛び出してきたので結局のところ一文無しだった。大勢の人に見送られて出てきたばかりだというのに、お金がないから働かせてくださいなどと言って戻ったところを想像して、恥ずかしく情けない気持ちになった。

「それならば船着き場へ向かおう。どのみち他の大陸にへ行くには船しか手段がない」
「よっしゃ! まずは先立つものがなくっちゃだよな。行こうぜ」
 フラムの案内を頼りに、陽介は歩き出した。
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