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風の大陸編
風の塔で待ち受けるもの
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連れ込まれたのは、寂れた武器屋だった。昔は職人が大勢いたが、魔王が倒された時に廃業。現在は鍛冶屋としてやっているらしい。昨夜の襲撃を受けて、武器と防具を求める人だかりができていた。
「ハーイ、お邪魔するわよ。リバティー、ちょっといいかしらー? このコに武器見繕ってあげたいんだけど」
リベルタは陽介を脇に抱えたまま、奥で作業をしている職人を呼んだ。
「ありゃ、姐さん一足遅かったね。いいものはみんな売れちまったよ。あるもんで良けりゃ持ってきな」
声だけの返事があった。店内のほとんど物がない棚には、ショートソードとラウンド型シールドが残され、陽介を降ろして装備させてみた。
「どうかしら?」
「思ってたより重くないな。盾もこれなら持っていられそうだ」
陽介はショートソードを軽く振り、盾を付け替えて動き回り、頷いた。
「短剣は左手で持って、受け流しやトドメに使いなさい。普段はショートソードで攻撃するといいわ」
「ありがとう、リベルタは詳しいんだな。塔から戻ってきたら、剣を教えてほしいくらいだ」
「いいわよ。アタシの愛の鞭が唸るから、覚悟しなさいね」
代金を払って店を出ると、フラムとアリエッタが待っていてくれた。装備も新しくしたところで塔へ向かおうとすると、アンタたちだけじゃ心配だからとリベルタがついてきた。
森の中に佇む塔の入り口は、既にモンテスマが数匹見張っていた。一行は草むらから様子を伺い、突入のチャンスを待った。
(見張りがいるな。ここに入られたらマズいって言ってるようなもんだな)
(どうしてかしら? こんな塔誰も使ってないわ)
(そのうち思い出すさ、登るぞ)
「エッ、このキツネチャンおしゃべりするの!?」
フラムが言葉を発したことに驚いたリベルタの声で、モンテスマたちに気づかれてしまった。
「君が大声を出すから見つかったではないか! あと私はキツネではない、フラムだ!!」
フラムは怒りを炎に変えて、モンテスマ達を焼き払った。
内部にも大型の虫魔族が壁や天井に蔓延り、塵にしながら塔を登っていく。新しい武器の使い勝手にはまだ慣れないものの、戦いやすくなりサクサク進みたいところだが、陽介のHPはまあまあしかないので、途中休み休み登っていく。
最上部にたどり着くと、吹き曝しの中によく手入れをされた祭壇があった。町の祝祭と同じ飾りがかけてある。
「あれ、誰もいないぞ」
祭壇に鎮座する台座に乗せられた水晶玉は、空っぽだった。
「一応割っておこう。記憶が元に戻れば、彼の居場所もわかるかもしれない」
水晶玉を壊そうと祭壇に近づくと、下の階からゾロゾロと魔族たちが現れた。その真ん中に、金髪ツインテールでピンクフリルのスカートを履いた小さな女の子がいた。
「それを割っちゃダメなの、お兄ちゃんが悲しむから」
女の子はゆっくりと近づいてくる。
「その声、君がスピカ……?」
こんな幼い子供を手先にした上に、お兄ちゃん呼びをさせているエルメスの倫理観のなさに、陽介は気持ち悪さを覚えた。
「はじめまして、おじゃま虫さん。さよならの方がおにあいかしら?」
スピカがニヤッと笑って口笛を吹くと、魔族たちが一斉に取り囲んだ。
「ボサっとするな、相手の情報を見るぞ」
「慣れないなぁ、これ」
とぼやきながら、陽介はステータス画面を開いた。
スピカ:おんなのこだよぉ (*'∀'人)♥️*+
職業:(ひ・み・つ♪)
HP:まあまあだよ!
MP:かなりあるよ!
攻撃:そんなのいらなーい!
防御:そんなのしらなーい!
魔法攻撃:みんなをつよくするよ!
魔法防御:みんなをまもるよ!
素早さ:かけっこならまけないよ!
スキル
おともだちいっぱい:だれとでもおともだちになれるよ!
スピカがいちばん:どんなことがあってもスピカはだいじょーぶ!
すききらいしない:なんだってたべられちゃうよ!
「なんだこれ!?」
ステータスには子供の落書きじみた文字列が並んでいた。
「えっへへ~お兄ちゃんがスピカの為に作ってくれたんだ~羨ましいでしょ」
言葉は遊んでいるが、祭壇の前に分厚く陣を敷いて、近づけさせないようにしていた。戦うには数が多すぎるが、やらないわけにもいかない。一行は正面からぶつかり合った。
炎と、水と、怪力と、剣で塵に帰していくが、倒しても数が減らず次第に押されていく。絆の力は一度きりの必殺技、ここで使うわけにはいかない。陽介は考えて、自分でもあり得ないと思ったが、一つの提案をした。
「リベルタ、俺を祭壇に向かって投げてくれ! あんな軽々と抱えられたなら出来るよな?」
「で、出来るは出来るけど、そんなことしたら……」
「あの玉は俺じゃなきゃ壊せないんだ! 頼む!」
「そこまで言うなら……どうなっても知らないわよっ!」
リベルタは腕を回してから陽介を両手でむんずと掴み、雄々しい掛け声と共にぶん投げた。
「わあああああ!!!! 痛ってぇ……よしっ! 掴んだ」
鮮やかな弧を描き、魔族たちを越え祭壇にドズンと着弾した。お腹と背中が痛いが、バッチリ取るものは取れた。
「うわっ」
崩れた祭壇から飛び降り、立ち上がった瞬間吹いた突風に足を取られ、陽介は水晶玉を抱えたまま落下した。
「ハーイ、お邪魔するわよ。リバティー、ちょっといいかしらー? このコに武器見繕ってあげたいんだけど」
リベルタは陽介を脇に抱えたまま、奥で作業をしている職人を呼んだ。
「ありゃ、姐さん一足遅かったね。いいものはみんな売れちまったよ。あるもんで良けりゃ持ってきな」
声だけの返事があった。店内のほとんど物がない棚には、ショートソードとラウンド型シールドが残され、陽介を降ろして装備させてみた。
「どうかしら?」
「思ってたより重くないな。盾もこれなら持っていられそうだ」
陽介はショートソードを軽く振り、盾を付け替えて動き回り、頷いた。
「短剣は左手で持って、受け流しやトドメに使いなさい。普段はショートソードで攻撃するといいわ」
「ありがとう、リベルタは詳しいんだな。塔から戻ってきたら、剣を教えてほしいくらいだ」
「いいわよ。アタシの愛の鞭が唸るから、覚悟しなさいね」
代金を払って店を出ると、フラムとアリエッタが待っていてくれた。装備も新しくしたところで塔へ向かおうとすると、アンタたちだけじゃ心配だからとリベルタがついてきた。
森の中に佇む塔の入り口は、既にモンテスマが数匹見張っていた。一行は草むらから様子を伺い、突入のチャンスを待った。
(見張りがいるな。ここに入られたらマズいって言ってるようなもんだな)
(どうしてかしら? こんな塔誰も使ってないわ)
(そのうち思い出すさ、登るぞ)
「エッ、このキツネチャンおしゃべりするの!?」
フラムが言葉を発したことに驚いたリベルタの声で、モンテスマたちに気づかれてしまった。
「君が大声を出すから見つかったではないか! あと私はキツネではない、フラムだ!!」
フラムは怒りを炎に変えて、モンテスマ達を焼き払った。
内部にも大型の虫魔族が壁や天井に蔓延り、塵にしながら塔を登っていく。新しい武器の使い勝手にはまだ慣れないものの、戦いやすくなりサクサク進みたいところだが、陽介のHPはまあまあしかないので、途中休み休み登っていく。
最上部にたどり着くと、吹き曝しの中によく手入れをされた祭壇があった。町の祝祭と同じ飾りがかけてある。
「あれ、誰もいないぞ」
祭壇に鎮座する台座に乗せられた水晶玉は、空っぽだった。
「一応割っておこう。記憶が元に戻れば、彼の居場所もわかるかもしれない」
水晶玉を壊そうと祭壇に近づくと、下の階からゾロゾロと魔族たちが現れた。その真ん中に、金髪ツインテールでピンクフリルのスカートを履いた小さな女の子がいた。
「それを割っちゃダメなの、お兄ちゃんが悲しむから」
女の子はゆっくりと近づいてくる。
「その声、君がスピカ……?」
こんな幼い子供を手先にした上に、お兄ちゃん呼びをさせているエルメスの倫理観のなさに、陽介は気持ち悪さを覚えた。
「はじめまして、おじゃま虫さん。さよならの方がおにあいかしら?」
スピカがニヤッと笑って口笛を吹くと、魔族たちが一斉に取り囲んだ。
「ボサっとするな、相手の情報を見るぞ」
「慣れないなぁ、これ」
とぼやきながら、陽介はステータス画面を開いた。
スピカ:おんなのこだよぉ (*'∀'人)♥️*+
職業:(ひ・み・つ♪)
HP:まあまあだよ!
MP:かなりあるよ!
攻撃:そんなのいらなーい!
防御:そんなのしらなーい!
魔法攻撃:みんなをつよくするよ!
魔法防御:みんなをまもるよ!
素早さ:かけっこならまけないよ!
スキル
おともだちいっぱい:だれとでもおともだちになれるよ!
スピカがいちばん:どんなことがあってもスピカはだいじょーぶ!
すききらいしない:なんだってたべられちゃうよ!
「なんだこれ!?」
ステータスには子供の落書きじみた文字列が並んでいた。
「えっへへ~お兄ちゃんがスピカの為に作ってくれたんだ~羨ましいでしょ」
言葉は遊んでいるが、祭壇の前に分厚く陣を敷いて、近づけさせないようにしていた。戦うには数が多すぎるが、やらないわけにもいかない。一行は正面からぶつかり合った。
炎と、水と、怪力と、剣で塵に帰していくが、倒しても数が減らず次第に押されていく。絆の力は一度きりの必殺技、ここで使うわけにはいかない。陽介は考えて、自分でもあり得ないと思ったが、一つの提案をした。
「リベルタ、俺を祭壇に向かって投げてくれ! あんな軽々と抱えられたなら出来るよな?」
「で、出来るは出来るけど、そんなことしたら……」
「あの玉は俺じゃなきゃ壊せないんだ! 頼む!」
「そこまで言うなら……どうなっても知らないわよっ!」
リベルタは腕を回してから陽介を両手でむんずと掴み、雄々しい掛け声と共にぶん投げた。
「わあああああ!!!! 痛ってぇ……よしっ! 掴んだ」
鮮やかな弧を描き、魔族たちを越え祭壇にドズンと着弾した。お腹と背中が痛いが、バッチリ取るものは取れた。
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