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風の大陸編
自由を取り戻した精霊
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「陽介!」「陽介チャン!」
「アハハハハ! ほーんっと、あたまわるーい。しんじらんなーい!」
フラムとリベルタの叫びは、風に虚しく散った。スピカは勝ち誇ったように笑っている。
「……死なせないわ! お退き!」
リベルタは魔族たちをかき分けて、ためらうことなく陽介の後を追って落ちた。スピカが更に高く笑っている声など、とうに聞こえていなかった。
水晶玉を抱えたまま落下している陽介は、今度こそ死ぬんだろうなと覚悟し、また死神に会うのかなとぼんやり考えていた。
「せめてこれだけでも」
短剣を震える手で持ち、水晶玉に突き刺す。バキバキと乾いた音を立て崩れていくのと同時に、意識を失った。
追いかけて落ちるリベルタは、後悔してはいなかった。このまま地面に激突しても、自分がクッションになれば、陽介は助かるかもしれないと考えていた。もっと早く、追いつけるほど早く。こんな身体が煩わしい、昔のように自由に飛べたらと、強く願う。
「そう、そうよ、アタシは……!」
彼女はふと、過去のことを思い出していた。風の民と共に塔を作り、祝祭の日に祭壇に座し翼を広げ風を送っていた時のことを。皆に慕われ、大陸の守護を誇りに思っていたあの頃を。
スルスルと糸が解けるように、彼女の脚はギュッと縮み鋭い爪が生え、両腕は伸びて羽を持ち、顔つきは猛禽類のそれに変わっていく。
地面に叩きつけられる寸前、竜ほどもある巨大なオオワシが陽介を掴み、空へ舞い上がった。
向い風をものともせず最上部に戻り、一声鳴くと、恐れをなした魔族たちは引いていく。陽介をアリエッタに託し、オオワシはスピカの前に立つ。
「なによあんた、おともだちが怖がってるじゃん! みんな、恐怖心消滅フィアーロスト!」
魔法をかけられ襲いかかる魔族たちに、オオワシはフンと笑って、暴風を巻き起こした。吹き曝しで身を守るものもない魔族たちはパラパラと落ちていくが、フラムとアリエッタは無事だった。
「あ、やばっ。に、にげちゃうもんねー!」
魔族を全部落とすと、一人だけ防御魔法でしのいでいたスピカは、不利を悟り虫魔族に乗って逃げていった。
「そうだ、勇猛果敢な空の戦士……風の精霊リベルタ! ってえぇ!? 君なのか!」
フラムはようやく名前を思い出したが、納得いかなかったようだ。
陽介が目を覚ますと、オオワシが祭壇から風を送っていた。玉の中に居なかったけど、どこかから駆けつけてくれたのかとホッとして、自分が生きていることに気付いた。
フラムから助けてくれたと聞き、お礼を言おうとすると、オオワシは見たことのある男性の姿に戻った。
「えっ!? 風の精霊って、リベルタだったのか!?」
「ありがとね、陽介チャンのおかげで、ぜーんぶ思い出したわ」
抱きつかれ頬にキスをされたが、全然嬉しくなかった。勇猛果敢な戦士だと聞いていたのに、まさかのオカマで、それが精霊で……? 情報が多すぎる。
「さ、町へ戻りましょ。祝祭をおっ始めるわよー!」
ノリノリのリベルタの脇に抱えられ、思考するのをやめ、もうどうにでもなれと思う陽介だった。
「アハハハハ! ほーんっと、あたまわるーい。しんじらんなーい!」
フラムとリベルタの叫びは、風に虚しく散った。スピカは勝ち誇ったように笑っている。
「……死なせないわ! お退き!」
リベルタは魔族たちをかき分けて、ためらうことなく陽介の後を追って落ちた。スピカが更に高く笑っている声など、とうに聞こえていなかった。
水晶玉を抱えたまま落下している陽介は、今度こそ死ぬんだろうなと覚悟し、また死神に会うのかなとぼんやり考えていた。
「せめてこれだけでも」
短剣を震える手で持ち、水晶玉に突き刺す。バキバキと乾いた音を立て崩れていくのと同時に、意識を失った。
追いかけて落ちるリベルタは、後悔してはいなかった。このまま地面に激突しても、自分がクッションになれば、陽介は助かるかもしれないと考えていた。もっと早く、追いつけるほど早く。こんな身体が煩わしい、昔のように自由に飛べたらと、強く願う。
「そう、そうよ、アタシは……!」
彼女はふと、過去のことを思い出していた。風の民と共に塔を作り、祝祭の日に祭壇に座し翼を広げ風を送っていた時のことを。皆に慕われ、大陸の守護を誇りに思っていたあの頃を。
スルスルと糸が解けるように、彼女の脚はギュッと縮み鋭い爪が生え、両腕は伸びて羽を持ち、顔つきは猛禽類のそれに変わっていく。
地面に叩きつけられる寸前、竜ほどもある巨大なオオワシが陽介を掴み、空へ舞い上がった。
向い風をものともせず最上部に戻り、一声鳴くと、恐れをなした魔族たちは引いていく。陽介をアリエッタに託し、オオワシはスピカの前に立つ。
「なによあんた、おともだちが怖がってるじゃん! みんな、恐怖心消滅フィアーロスト!」
魔法をかけられ襲いかかる魔族たちに、オオワシはフンと笑って、暴風を巻き起こした。吹き曝しで身を守るものもない魔族たちはパラパラと落ちていくが、フラムとアリエッタは無事だった。
「あ、やばっ。に、にげちゃうもんねー!」
魔族を全部落とすと、一人だけ防御魔法でしのいでいたスピカは、不利を悟り虫魔族に乗って逃げていった。
「そうだ、勇猛果敢な空の戦士……風の精霊リベルタ! ってえぇ!? 君なのか!」
フラムはようやく名前を思い出したが、納得いかなかったようだ。
陽介が目を覚ますと、オオワシが祭壇から風を送っていた。玉の中に居なかったけど、どこかから駆けつけてくれたのかとホッとして、自分が生きていることに気付いた。
フラムから助けてくれたと聞き、お礼を言おうとすると、オオワシは見たことのある男性の姿に戻った。
「えっ!? 風の精霊って、リベルタだったのか!?」
「ありがとね、陽介チャンのおかげで、ぜーんぶ思い出したわ」
抱きつかれ頬にキスをされたが、全然嬉しくなかった。勇猛果敢な戦士だと聞いていたのに、まさかのオカマで、それが精霊で……? 情報が多すぎる。
「さ、町へ戻りましょ。祝祭をおっ始めるわよー!」
ノリノリのリベルタの脇に抱えられ、思考するのをやめ、もうどうにでもなれと思う陽介だった。
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