超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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第1章 異種族交流編

23. 修正点―①

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 先日、俺とアルナが夜遅くに帰って来た事で…案の定、2人に問い詰められた。

「黒竜族だと!?そんな馬鹿な話があるか!」と、本当の事だというのに信じられないのは無理もなかった。こちらも必死に説得するがまるで効果なし。魔族の中でも狂暴と思われているというのが常識だ。

「これを見ても信じられませんか?」

 最終手段として、茶葉と引き換えに貰ったルビーをくれてやることにした。こちらはレインボーオーブをいつでも所持しており、購入売買も隠し持っているスマホで行っている為、金銭的にもモラル的にも問題ない。
 一応ここは商会の家だ。珍しいものであるなら、どこでもらったか売買しているのか調べれば簡単に足がつくはずだ。それでノーマンさん父上を納得させる他なかった。

 渋々ルビーを受け取ったノーマンさんを背に、俺とアルナは一日中自室にて謹慎する羽目になった。出来ることに限りがあるが、やれることはいくらでもある。
 誰も見てないのでボーッとしてもよし、本を読んだり魔術の特訓、単純に筋トレして身体を鍛えるのも良かった。それに、何かをしているうちにを纏めている。

 それは、アウェイクスピリットオンラインゲームとこの世界のだ。

 先日の意味不明な状態異常の件で、アウェイクスピリットオンラインゲームとの違いをハッキリと実感させられて以来、この話題だけはどうしても頭から離れなかった。
 女神アイリーンからは「ゲームの世界アウェイクスピリットオンラインに似ている」と一言だけ。それ以上ははぐらかされたので、その先は自分の力だけで探すしかない。

 歴史本から世界や種族、国の成り立ちと設定が同じ部分はある。後はどうやってに分岐したかだ。世界が変わってないのなら、人か出来事が大きく関わってくる。もしかして、主人公プレイヤー自体が存在していない世界だからか?だからこそ変化しているのか?

「オルタ様、旦那様がお呼びです」

 謹慎から解放され、スチュワードさんから真っ先にノーマンさん父上の元へ行ってほしいと言われる。まさか、もう調べがついたのか?だとしたらあの人は物凄く有能なんじゃ…

「来たか…」

 書斎に入ると、椅子に座ってこちらを見ているノーマンさん父上。疲れてやつれているように見える。傍には無造作にルビーの入った袋…徹夜で調べたのか?

「私のあらゆるコネで調べたが、ルビーを取引した売買などどこにもなかった…」

 俺の予想通り、ノーマンさん父上は入手ルートを調べていたようだ。しかし、本当に黒竜族から受け取ったルビーなので当然足がつくどころか最初から無いも同然だ。

「このルビーは…本当に魔族から受け取ったのか?」
「はい、そうとしか私は言えません」

 俺がそう言うと、ノーマンさん父上は深くため息をついた。
 ノーマンさん父上が俺が魔族と知り合ったのに悩んでいる理由は、アウェイクスピリットオンラインゲームにあった、彼のサイドストーリーに大きく関わる。

 ノーマンさん父上のサイドストーリーは間違いなく魔族に関係している内容だ。
 内容自体は、彼が幼い頃に助けてくれたある魔族の事を話すところから始まる。しかし調べると、その魔族は後にとある冒険者によって殺されていたことが判明した。世間からはモンスターは冒険者やハンターに目をつけられ、殺されて当然の風潮であった為に誰にも明かさず、心の中で魔族との共生を考えていた人物だ。

 まぁEDエンディングの厳しい達成条件をクリアすれば、そういった共生ENDに辿り着くことはできる。それと同時に、彼の心中を察することができた。

 それは、俺を国の派閥における権力闘争の道具にされる事を恐れていたんだろう…。

 アウェイクスピリットオンラインゲームではあまり深く掘り下げなかったが、この世界では二つの派閥・理想がぶつかっている。「魔族共存派」と「魔族根絶派」…つまりは魔族と共生するか自分達だけで生きるかのどちらかだ。

 アルナから聞いた話では、今や8割が「魔族根絶派」が推している。ノーマンさん父上の支持している「魔族共存派」は最早風前の灯火だ。打開するためには、と交流する程大きい証拠を国王や民衆に示さなければならないくらいだ。

「お前は…魔族について、どう思っている?」

 ノーマンさん父上から俺に質問が飛んでくる。ここは自分の気持ちを正直に話すべきだろう。魔族と会ってどう思ったのかを…

「はい、結論から申しますと…私は"共生"するべきだと考えております」
「…それは本気か?」
「甘い考えだというのは承知しております。…しかし、先日初めて黒竜族と出会いました。その時彼らは人間に擬態してくれて、で話し合いました」

 最初にこう言い放ち、事の顛末を丁寧に説明する。俺自身、双方が血で血を争う光景は見たくない。元から平和主義者で無駄な戦闘は避けたい性分だが、時には心から本気でモンスターと友になってみたいと想う位に。
 そして、ノーマンさん父上はサイドストーリーのように魔族と共生したいと思っている事や、商会の信頼を回復させるには魔族を顧客として考えている事、その準備をしていたことを言い当てる。

「…お前は不思議な子だ。まるで昔から私を見ているように感じる。…いや、私が昔の自分を見ているように感じたよ」

 ほとんどが前世の情報だが、思いだけは伝わったと感じたのだった…。
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