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第1章 異種族交流編
24. 修正点―②
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ノワールさんに自分の考えを言い聞かせてから、少しは家族としての距離が縮まったかもしれない。向こうも俺の本心を改めて思い知り、より親切に…まるで本当の息子のように接する事が多くなった。
高等魔術学園の受験が迫る中、気分転換としてアルナと出かける事になった。あまり根を詰めすぎると良くない為と言うが、本音は別にある。
それは、アルナの誕生日が迫っているのだ。誕生日が春の季節である事を1年前に知り、その誕生日会にも当然参加している。
この帝国で常識と俺の知識修正にも貢献しているので、兄として何か贈る事は出来ないかと思っていた。しかし当の本人は「魔術を教えてくれるだけでも充分」と遠慮している。
何をプレゼントしたら喜んでくれるだろう?
しかし、幸運と不幸は表裏一体だった。
「あら?誰かと思えば、あの時の平民ではございませんか?」
会いたくもない人物に出会ってしまった。
誰かと思えば、2年前にテイマーギルドの前で殺人未遂を引き起こそうとしていた"レシア・マーダラ"である。こんなところで出会うとは…アウェイクスピリットオンラインのイベントではなかったし、完全に予想外であった。
「アンタか、奇遇だな」
「相変わらずの態度、ムカつくわね………ん?あら、貴方は何故ここにいるの?アルナ・エバーライフ?」
ここで、俺の横に居るアルナに目をやるレシア。中等学校でも誰彼構わず当たってくるので、プライベートでも避けようとしていたが…バツが悪いような顔で言葉を返す。
「私が兄様と一緒に居ること、どこか可笑しいところがありますか?」
「兄様…!?」
どうやらレシアからは、赤の他人と思われていたらしい。
しかし2年もこのブルーローズ帝国で暮らしていて、アルナとは街へ出かけることはしょっちゅうあった。どこかで一緒に居る所を見られて兄妹と認識されていると思っていたがそうでもなかった。
「あり得ないわ、エバーライフ家は貴方の一人娘だけだったはず…!はっ!」
ここでレシアが何かに気づく顔をしている。
「まあ!エバーライフ家の当主様は、"二股"でもしているのですの?あれほどの組織の長で貴族たる者、やっぱり性根が腐ってましたわね!」
嫌な予感的中。白昼堂々、人通りのある道中だというのに失礼な言葉を投げてきた。
近くを通る人々も何人かは嫌な顔をしている…貴族としての品を疑ってしまうぞ。しかし、父上に在らぬ誤解を生んでしまったら大変なことになるので訂正しておく。
「何勝手に勘違いをしているんだ?俺はただの養子で、父上は二股なんかしてねーよ」
「あら、血の繋がっていないただの養子でしたの?その分際で私に楯突くの許されると思って?」
「白昼堂々と有りもしない事実を、何の躊躇いもなしに言う貴族が言う事か?他人より自分の行動に気をつけた方がいいぞ?」
「減らず口ね、魔術も使えない平民の癖に…!」
「兄様は魔術を使えます!それこそ、高等学校なんか軽く卒業できるくらいです!」
「はっ、どうだか!万が一でも合格しても精々"D組"止まりでしょ?それ以前に、神聖な高等学園に入ること自体が場違いですわ。平民如きが土足で足を踏み入れる所ではないのよ!」
こいつ…!言いたい事をズバズバと…
アルナとレシアの言い合いがヒートアップし、もはや街道の見せしめとなっていた。もう恥ずかしいのでここから立ち去りたい…。
「何を騒いでいるんだ?」
ここでまた乱入者が出てくる。
彼女の横に現れたのは、これまた如何にも貴族風な男だ。金髪でハンサム…女子から見れば二度見しそうな美貌だが…その外見に似合わないどす黒い精神は持っていた。
「あら、早い到着ねイバール」
"ムーダー・イバール"…
アウェイクスピリットオンラインでは、レシアと同じく主人公パーティに妨害してくる人物の一人だ。名前にある通り、エバーライフ商会の好敵手「イバール商会」の息子である。そういえば、イベントでよくレシアと一緒に居ることをすっかり忘れていた。
「行こうアルナ、こいつらと一緒に居たら腹の虫が悪くなる」
もうここは強硬手段として、アルナの手を握って立ち去ろうとする。しかし…
「おい、誰と一緒に居たら虫が悪くなるだと?」
俺の一言にイラついたのか、後ろから肩を掴まれる。しかし、掴んでる腕を逆に掴み返し、相手の後ろ手になるように捻りあげた。
「ぐあ!貴様!何をっ離せ!"勇者"の俺に対して無礼だぞ!!」
情けない声を開きながら、ギブを要求するムーダーさん。ゲームだと一応剣士をやっていたような………ん?
「アンタ、今なんて言った?」
「貴様!聞いていないのか!?俺は………この世界の、"勇者"なんだぞ!!」
「はぁ??」
俺は、彼のあり得ない発言に意味不明な顔する。勇者?こいつが?主人公ではなく??
「…本当です。前までは"候補"扱いだったのですが…ムーダー様は、このブルーローズ帝国に選ばれた勇者に任命されたのです」
アルナの発言に衝撃を受ける。
そんな馬鹿な!アウェイクスピリットオンラインにこんな展開はなかった!
彼はただ主人公パーティを妨害してくるだけであって、勇者になるイベントなんて用意されていない。
やっぱり…主人公が存在していないのか、または俺が活躍しているから未知の展開に変わっていったというのか…?
「はん!恐れをなしたか!分かっていてその顔を見れただけでも良い、特別に見逃してやろうじゃないか。俺が活躍すれば、どうせエバーライフ商会も終わりだしなぁ。父上が王になったら有無言わずこの帝国を去ることになる」
「ふふふ、今のうちに後悔する事ね?」
嫌らしい顔をしながら、二人は俺達の前から去っていった。あまりの衝撃に身が固まってしまったが、即座に冷静さを取り戻す。あんな奴が勇者になったら、この世界はマジで終わりを迎えるだろう…。
「(次に会うのは、高等魔術学園か…上等だぜ)」
今後、更なる試練が待っていると予感した俺は、来たるべきに備えるよう気を引き締めたのであった。
高等魔術学園の受験が迫る中、気分転換としてアルナと出かける事になった。あまり根を詰めすぎると良くない為と言うが、本音は別にある。
それは、アルナの誕生日が迫っているのだ。誕生日が春の季節である事を1年前に知り、その誕生日会にも当然参加している。
この帝国で常識と俺の知識修正にも貢献しているので、兄として何か贈る事は出来ないかと思っていた。しかし当の本人は「魔術を教えてくれるだけでも充分」と遠慮している。
何をプレゼントしたら喜んでくれるだろう?
しかし、幸運と不幸は表裏一体だった。
「あら?誰かと思えば、あの時の平民ではございませんか?」
会いたくもない人物に出会ってしまった。
誰かと思えば、2年前にテイマーギルドの前で殺人未遂を引き起こそうとしていた"レシア・マーダラ"である。こんなところで出会うとは…アウェイクスピリットオンラインのイベントではなかったし、完全に予想外であった。
「アンタか、奇遇だな」
「相変わらずの態度、ムカつくわね………ん?あら、貴方は何故ここにいるの?アルナ・エバーライフ?」
ここで、俺の横に居るアルナに目をやるレシア。中等学校でも誰彼構わず当たってくるので、プライベートでも避けようとしていたが…バツが悪いような顔で言葉を返す。
「私が兄様と一緒に居ること、どこか可笑しいところがありますか?」
「兄様…!?」
どうやらレシアからは、赤の他人と思われていたらしい。
しかし2年もこのブルーローズ帝国で暮らしていて、アルナとは街へ出かけることはしょっちゅうあった。どこかで一緒に居る所を見られて兄妹と認識されていると思っていたがそうでもなかった。
「あり得ないわ、エバーライフ家は貴方の一人娘だけだったはず…!はっ!」
ここでレシアが何かに気づく顔をしている。
「まあ!エバーライフ家の当主様は、"二股"でもしているのですの?あれほどの組織の長で貴族たる者、やっぱり性根が腐ってましたわね!」
嫌な予感的中。白昼堂々、人通りのある道中だというのに失礼な言葉を投げてきた。
近くを通る人々も何人かは嫌な顔をしている…貴族としての品を疑ってしまうぞ。しかし、父上に在らぬ誤解を生んでしまったら大変なことになるので訂正しておく。
「何勝手に勘違いをしているんだ?俺はただの養子で、父上は二股なんかしてねーよ」
「あら、血の繋がっていないただの養子でしたの?その分際で私に楯突くの許されると思って?」
「白昼堂々と有りもしない事実を、何の躊躇いもなしに言う貴族が言う事か?他人より自分の行動に気をつけた方がいいぞ?」
「減らず口ね、魔術も使えない平民の癖に…!」
「兄様は魔術を使えます!それこそ、高等学校なんか軽く卒業できるくらいです!」
「はっ、どうだか!万が一でも合格しても精々"D組"止まりでしょ?それ以前に、神聖な高等学園に入ること自体が場違いですわ。平民如きが土足で足を踏み入れる所ではないのよ!」
こいつ…!言いたい事をズバズバと…
アルナとレシアの言い合いがヒートアップし、もはや街道の見せしめとなっていた。もう恥ずかしいのでここから立ち去りたい…。
「何を騒いでいるんだ?」
ここでまた乱入者が出てくる。
彼女の横に現れたのは、これまた如何にも貴族風な男だ。金髪でハンサム…女子から見れば二度見しそうな美貌だが…その外見に似合わないどす黒い精神は持っていた。
「あら、早い到着ねイバール」
"ムーダー・イバール"…
アウェイクスピリットオンラインでは、レシアと同じく主人公パーティに妨害してくる人物の一人だ。名前にある通り、エバーライフ商会の好敵手「イバール商会」の息子である。そういえば、イベントでよくレシアと一緒に居ることをすっかり忘れていた。
「行こうアルナ、こいつらと一緒に居たら腹の虫が悪くなる」
もうここは強硬手段として、アルナの手を握って立ち去ろうとする。しかし…
「おい、誰と一緒に居たら虫が悪くなるだと?」
俺の一言にイラついたのか、後ろから肩を掴まれる。しかし、掴んでる腕を逆に掴み返し、相手の後ろ手になるように捻りあげた。
「ぐあ!貴様!何をっ離せ!"勇者"の俺に対して無礼だぞ!!」
情けない声を開きながら、ギブを要求するムーダーさん。ゲームだと一応剣士をやっていたような………ん?
「アンタ、今なんて言った?」
「貴様!聞いていないのか!?俺は………この世界の、"勇者"なんだぞ!!」
「はぁ??」
俺は、彼のあり得ない発言に意味不明な顔する。勇者?こいつが?主人公ではなく??
「…本当です。前までは"候補"扱いだったのですが…ムーダー様は、このブルーローズ帝国に選ばれた勇者に任命されたのです」
アルナの発言に衝撃を受ける。
そんな馬鹿な!アウェイクスピリットオンラインにこんな展開はなかった!
彼はただ主人公パーティを妨害してくるだけであって、勇者になるイベントなんて用意されていない。
やっぱり…主人公が存在していないのか、または俺が活躍しているから未知の展開に変わっていったというのか…?
「はん!恐れをなしたか!分かっていてその顔を見れただけでも良い、特別に見逃してやろうじゃないか。俺が活躍すれば、どうせエバーライフ商会も終わりだしなぁ。父上が王になったら有無言わずこの帝国を去ることになる」
「ふふふ、今のうちに後悔する事ね?」
嫌らしい顔をしながら、二人は俺達の前から去っていった。あまりの衝撃に身が固まってしまったが、即座に冷静さを取り戻す。あんな奴が勇者になったら、この世界はマジで終わりを迎えるだろう…。
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