超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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第1章 異種族交流編

26. 試験

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 女帝と別れ、俺達はそれぞれ試験会場に入る。

 まず受けるのは筆記試験だ。試験用紙は当然、文房具も学園側が用意してくれるので自分から持ち込む必要はない。これならば教育を受けていない貧しい平民でも受けれるし、持ち込んで不正が発覚されるのを防ぐためだ。

 ぶっちゃけて言うならば、特にいう事はない。ただ用紙に書かれた問題を羽ペンで解いていく。
 基礎的な問題に関しては余裕で解いていく。これくらいの難易度であるならタケシの方も問題ないだろう。なんせ一緒に勉強をしたんだ。それよりも…

「(……ここの魔術式、もっと簡略化できるのに)」

 それどころか問題を見ていく事に、次々と頭の中でその問題の簡略化が浮かび上がっていく。
 ここはこーした方がいい、無駄が多すぎると頭の中で試験を解く事より悩ませるストレスが多くなった。まあ3度も全問題を見直して、べたな失敗例である名前忘れと回答欄ズレもなくて5分間の仮眠を確保できたが。


 そして、実技試験が始まる…なんだけど……。


「(なんであいつがこんなところに居るんだよ…!?)」

 そう、試験前のいざこざで出会ったあの"女帝"がのだ。

 実技試験は野外の練習場で行う。それぞれ他の受験生に見えないよう幕が張られ、10m先に設置された的に向けて魔術を放つ。例え破壊できなくても、魔術の錬度を見るらしいので決して破壊が目的ではないが…破壊した方が高得点だろう。受験番号順に5人ずつ練習場に入り、一人ずつ魔法を披露していく形式だ。

 受験票の通りならば、俺が最後でその前があの女帝様だ。他の3人の受験者は、自分達と同じエリアに居るクレアさんに目線を向けて想像を絶する緊張をしている。大丈夫だろうか?

「それではこれより実技試験を行います。ここからあそこにある的をめがけて自分の一番得意な魔術を放ってください。例え的を破壊できなくとも、魔術の練度等はこちらで判定させてもらいます」

 試験官の先生は、黒いローブに肩に届く位の黒い短髪で眼鏡をかけた、如何にも魔術使いらしい恰好をしている女先生だ。


「それでは、自分の一番得意な魔法を力の限り放ちなさい」
「ハイ! よろしくお願いします!!」

 最初の受験生が準備する。初めての同年代の魔術を見る。さて、どれ程の物かお手並み拝見だな。

『全てを焼く炎よ!集いし敵を燃やせ!』

 …は?

『ファイヤーボール!!』

 ボンっ!

 ……。

「ふう…」


 ……恥ずかしッ!恥ずかしいわ!改めて詠唱って恥ずかしいと思ったわ!

 タケシとかに聞いたけど、何とも言えない気持ちになる。それにファイヤーボールって、ゲームでも簡単な初級魔術だったはずなのに…撃つまでが魔法陣が派手だった割に効果が薄いし、威力も低くて的も破壊できていない!それなのに何でドヤ顔してんの?せめて破壊できればまだ分かるけどさ!

 試験はどんどん続いていき、2・3人目に関しては…

『全てを凪ぎ払う嵐よ!ワインドストーム!』

…風を当てただけやん。

『大地よ、敵を撃ちつく礫となれ!ストーンブラスト!』

…小石を一度大量に直接投げた方が早いやん!
 っとまあこんな風に心の底でツッコミ入れながら、受験者たちの魔術を目の当たりにする。さてと、次は女帝様か。こいつらのように詠唱をする気か?

 
『…水よ、集まれ』

「「「「!?」」」」
「(…ほう)」

 たったその一言で、試験官と受験者たちは驚く。
 先程の奴らのようにまともな詠唱をしていないのに、たった数文字の言葉で右手に水魔術の魔術式が構築されている。そしてそれはスライムのようにうねうねと動き、それを的に向ける。

『ウェーブスピア!』

 パシュンパシュンパシュン!!

 スライムのように、それぞれが分裂した水の塊が的確に的を撃ちぬいた。5つある的の内、中央の3つを破壊したのだ。

「水気のない場所であれほどの威力…!」
「流石は女帝様…!」

 試験官と受験者たちは驚いている。確かに水のないところで水魔術を使用するのは難しい、とみんなから教えられているが……

「(威力がいまいちだな、鍛えればもっと凄いのに………ん?)」

 ここで、試験を終えた彼女が俺に目線を向けてくる。それに、どや顔。

 ははーん、俺に喧嘩売ってるわけですね?まるで「次は貴方の番よ、実力を見せて頂戴?」と言っているような顔だ。そうなったらこちらもそれに応じなければならないなぁ。
 どうせならここにいる全員をアッと驚かせてやろう。なら、雷属性の魔術だ…!

「さて次の方、お願いします」
「はい」

 試験官に促され、俺は定位置に着く。
 俺の場合は、先程のような恥ずかしい詠唱は必要ない。的は、元の世界では流鏑馬のような単純な的だ。目標は…どうせなら全てを破壊する魔術でいこう。材質は木製で出来ているようだ。炎属性の魔術が有効だが、威力さえあれば他の属性でもどうにでもなる。

 俺は、的から目線を外さず…『印』を結ぶ。

 人差し指同士を交差、全ての指同士の交差、グーをした拳に右手を添えるような仕草…それを見た他の人たちはぽかーんと何をやっているんだ?と言わんばかりの表情を見せてくる。

「(―――発動)」

 チッチッチッ…チリリリリリリ!!

「「「「!?!?」」」」

 俺は、掌に電気もとい雷の集合体を一つだけ、小さめに作り出す。

「な、なんだあれ!?」
「雷!?」
「しかも、無詠唱!?」
「!?」

 無詠唱でその現象を起こした事に周りがザワつく。それを次第に大きくさせ、ある程度で地面に放つ。


『雷術、雷光流し…!』

ピシャア…!バンバンバンバンバン!!!


 超スピードで放たれた雷の群衆は、まるで蛇のように地面を這い的にめがけて一斉に襲い掛かる。まるで吸い込まれるように的の元へ行き、全ての的を破壊した。

 まるで地面から雷が吹き出たような光景に、周りの面々の反応は、唖然、としか言い様の無いものだった。

「……一つ聞きます。今の魔術は、雷なのですか?」
「ええ、そうです」
「……そうですか。分かりました。試験はこれで終了です。皆さんお疲れ様でした」

 その時俺は見た…俺の魔術に驚愕する女帝の姿が、家に帰るまで目に焼き付いたのであった。
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