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第2章 学園下克上編
32. 廃部寸前と実践はバレるフラグ
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高等魔術学園に入学し、初日からなんとなくクラスが纏まったような感覚を覚えたオルタ。
Dクラスの皆も、試験の結果は気にせず今後の事について相談できたことには良好な結果だといえよう。そういえば、俺が前世で入学式の時ってどうしたっけ?今では記憶にすら残っていないかも…
それからはエバーライフ家に真っ直ぐ帰宅する。ここでも家族から「クラスはどうだった?」「友達できたか?」とここでも質問攻めを受ける羽目になった。まあ適当に流したが…
翌日。教室に着くと、俺以外の生徒は全員登校してきている。
「おはようさんオルタ。先日はすげえ挨拶だったな」
「茶化すなよタケシ」
「おはようございます、オルタさん」
「おはようでごわす、オルタ殿」
カインは相変わらず力士っぽい発言である。
「みんな、おはようございます。全員揃ってますか?ホームルームを始めますので、席に着いてください」
『おはようございます』
「では、今日の予定を伝えますね。昨日も発言しましたが、午前中は学院を案内します。昼食後を挟んで、午後は皆さんの実力を見せてもらうので魔術実習開始します。この後すぐに学園を案内しますが、複数のクラスと合同になりますのではぐれないように…何か質問はありますか?」
先生の注意に誰も手を上げない。案内された学院は校舎が2つある。一つは教室がある校舎で、各学年4クラスある。
もう一つは職員室や生徒会室、その他実験室やそれぞれの研究室などがある。この研究会とは、言うなれば部活みたいなものだ。うーん、部活か…前世だと部活に入らない帰宅部ってだけで将来はニートになるだのとか言われてたけど、無理に入って時間を無駄につぶすような真似はしたくないなぁ。なんせ3年という限られた学園生活だ。入らなくても、アルナを鍛えたりとか他に時間を有効に活用した方がいいと思うし…
「おっ?オルタ、これ見てみろよ」
「ん?」
ここで、タケシが気になった研究会を発見したようだ。ん?【使い魔研究会】…?どういったものだ?
「えーと…資料によると、【使い魔を持っている学生大募集中!使い魔の飼育・フィールドワークなど主に活動し、世に使い魔の有効活用を貢献する為の部活です】だって」
へぇ~、所謂飼育部みたいなもんか。そういったのは小学校くらいしかないと思ったが、この世界でそういったものがあるのは新鮮である。
「えっ何々二人とも、どこか入りたい研究会でもあったか?」
「あぁ…この【使い魔研究会】ってのに興味があってな」
「えっ!?タケシ君って使い魔いるの!?」
「せや、言い忘れてたんやが土人形がいるんや」
ここでタケシが、使い魔の話題に触れると全員が興味津々な眼差しで見つめてきた。
そうか…この世界だと魔獣使いは限られた人でしかスキルを獲得できない。使い魔が一体いるだけで、それだけで珍しがられることは多々ある。
「へぇ~知らなかったです」
「俺だけじゃなく、オルタもやで?」
「…!バッカお前!?」
「えっ!オルタ君も使い魔いるの!?」
おぉい!?なんで俺に使い魔いる事バラすんだタケシぃ!?
あんまり目立つことは避けようと、自己紹介の時に言わないようにしたのに!
「どんなのだ?使い魔ってどんな感じなんだ?」
「え、うん、そうだな…犬っぽいやつ?」
「何それかわいいじゃん!」
正確には狼竜なんだけど…竜とか狼とか喋ったら大変なことになるのは目に見えてるし、イナヅマの見た目だと特に女子からの受けがよさそうだから…。
「あっ、その研究会はもうすぐ廃部になりますよ?」
「えっ?廃部…?」
おっと?何やら不穏な空気が…。
「正確には廃部寸前ですね。去年までいた生徒はほとんどが卒業してしまって、今月中に3名以上入部しないと廃部になってしまいます」
「うーん廃部なるのは仕方ないな。じゃあ俺は」
「って事は…俺とオルタ、あと一人入れば存続できるって事ですか?」
「まあそういう事になるわね」
「オイコラタケシ」
コイツどんだけ研究会に入りたいんだよ!
「なぁオルタ、折角やから【使い魔研究会】に入らないか?」
「おい、なんで俺が既に入ることを前提に話し始めてんだ?」
「だってよぉ、これって新しく趣味を始めるチャンスじゃん?世の中に俺達魔獣使いの存在を大々的に知られるチャンスじゃん」
どうやらタケシは、概要欄にある魔獣や使い魔の有効活用に惹かれたようだ。
うーん確かに……このままイナヅマを持っていることはバレるだろうし、狙われるのを前提に考えれば学園で先に許可と登録をした方が安全かもしれない。
「はいはーい!なら私も入ってみたーい!」
「なら…私も入ってみようかな?」
俺達が盛り上がっているのを尻目に、マリーとメリューが入部しそうな口を出してきた。
「あれ?でも君達って、使い魔持ってないだろ?」
「別に持ってなくてもいいでしょ?確かに使い魔持ってる方が大歓迎って書いてるけど、持ってない人はお断りって書いてないし。それに使い魔の勉強とかで入りたいって言っても断らないでしょ?」
「そ、それは確かにそうだが…」
これは面倒なことになった…。だが逃げることもできない。
結局、強制的に俺とタケシ、マリーとメリューが後日研究会に顔を出すことに決められてしまった。
「ふん、研究会など気に入らない」
ここで否定的な言葉が耳に届く。この声は…ムーダーの声だった。どうやら、今丁度Aクラスの方でも研究会の紹介をされていたらしい。だが案内と言っても授業中であるので、俺達に気づいても手を出すようなことはしてこなかった。
「こんな事に時間をつぎ込むなら、俺とこの国を守ることに専念してもらいたいね。落ちこぼれ共」
「(コイツまた勝手なことを言って…)」
「ムーダー、そろそろ移動の時間よ」
「チッ…まあいい、勇者である俺には無関係な話だ。ここはさっさと退散しよう」
すぐ後ろにいたクレアに注意される。そう言い残し、そのままクラスごと立ち去って行った。「ほんとなんなのアイツ…!」とマリーが愚痴をこぼすが、「ほっとけや」とタケシが宥める。
俺達がブルーな気持ちになるのを気にせず、引き続き学園案内が続く。
次に向かったのは"練習場"であった。そういえば、受験の時も使用していたな。屋外と野外を含み、様々なシチュエーションを想定した場が揃っている。午後の授業はここで行うらしい。
そして最後に食堂へ行く。あちこち回っていたら、丁度昼休みになったのでそのまま昼休憩となり、各自食事を済ませる為一旦解散する。
この食堂は凄かった。トレーを取り、皿に盛られた料理を順番に選んで行くビュッフェ形式だ。肉や魚料理、スープにサラダ、パンも複数ある程の豪華なものだった。前世だと学生食堂でも金を払うのに、これから3年間毎日何を食べようか迷うかもしれない。貴族出身は気にしないが、平民出身からは有り難いだろう。タケシとマリーが感動していた。
いよいよ午後の魔術授業が始まる。みんな緊張しているようだが、楽しみな顔をしている。エマ先生がやって来ると、皆整列し授業の開始を待った。
「全員いますね?それでは、高等魔法学院での最初の授業を始めます」
『よろしくお願いします!』
「と言っても、最初の授業は…入学試験の時に見せた魔術をもう一度使って貰います」
皆の体から緊張が抜けたような雰囲気が感じ取れた。まあいきなり難しいような真似はしないだろう。
「それでは始めましょうか。順番は…昨日の自己紹介と逆から始めましょう。ですので、オルタ君。準備をお願いします」
「!わ、わかりました!」
マジかよ、いきなり俺なのか。
それに試験の時に見せた魔術をもう一度、今度はクラスメイトの目の前で見せる羽目になるとは…。仕方ない…そう思いながら準備に入る。印を結んだところでクラスメイトからはクエスチョンマークが出たが、発動時にその顔は驚きへと変わる。
「なんだあれ!?」
「む、無詠唱!?」
「雷なのか!?」
バチバチ…!と掌で踊る雷を見て、全員が唖然としていた。
ピシャア…!バンバンバンバンバン!!!
あの時の同じく、放たれた雷は地面を這いながら的に近づき、確実に破壊していった。あまりにあり得ない光景だったのか、クラスメイトは引かれるような体制でこちらを見ているのが見えた。まさか、俺に近づいたら感電でもするんじゃないかと思い込んでいるのでは?
「あ、あの。もう大丈夫なんだけど…」
俺が安全であることをジェスチャーで伝えると、クラスメイトは顔は驚いたまま俺に質問を投げかけてくる。
「今の魔術はなんなんだオルタ!?バチバチって!」
「あんな魔術見たことないよ!雷って何属性!?水?風?」
「あれか、昨日言ってた属性同士の合体か!?」
あれやこれや言われたが、時間も限られているのですぐに交代する。やがて全員が魔術の発動を見る時間が続いた。俺以外は基本の4属性の魔術だが、どれも効果的に的に当てて破壊している。
「これで全員終わりましたね。皆の魔術を見せて貰ったのは、今の実力を見せて貰うという事もありますが…皆に色んな魔術を見て貰うという意味もあります」
ここでエマ先生から説明が入る。
「知っての通り…1か月後にはクラス合同の魔術訓練があります。他の人に見てもらう事で、各々の得意な魔術も分かったと思います。私達教師陣もアドバイスをしやすくなりますし、同じ属性を得意としている他の人たちと切磋琢磨しながら練習に励めるでしょう」
そう、この高等魔術学園には一つの伝統がある。
それが【クラス合同魔術訓練】。目的としては高等魔術学園のクラス同士が、お互い切磋琢磨をして魔術の勉強・意欲を高める試みとして長年取り入れている事だ。この取り組みで魔術の更なる向上に繋がっているのだ。
「それでは、本日の授業はここまで!」
『ありがとうございました!』
「クラス合同か、なんか嫌な予感…」
「その気持ちは分かるけど、学園側が決めてるんだし仕方ないよ」
帰り道、タケシが不満な声を漏らす。
それもそうだ。クラス合同という事は、あのAクラスも一緒に訓練に参加することになる。女帝が居るとはいえ、ムーダーを始めとした奴らが俺達Dクラスにどんなことを仕掛けてくるのか想像はしやすい。
「絶対にあいつら何かを企んでるはずよ。例えばこちらをボコしてくるとか…」
「そんな!いくらなんでも、教師もいるんですよ?度が過ぎることは」
後日、研究会に一緒に顔を出すと約束してくきたマリーとメリューも不安な声を出す。相手は実力を思い知らせるために全力で挑んでくることは間違いない。
「それについてなんだが、ちょっと作戦があるんだ」
「おっ!なんやオルタ、考えがあるんか」
「まぁ明日全員集めて作戦会議をしたい。協力してくれる?」
こうして、クラス合同魔術訓練へ向けたDクラスの戦いが始まるのであった…。
Dクラスの皆も、試験の結果は気にせず今後の事について相談できたことには良好な結果だといえよう。そういえば、俺が前世で入学式の時ってどうしたっけ?今では記憶にすら残っていないかも…
それからはエバーライフ家に真っ直ぐ帰宅する。ここでも家族から「クラスはどうだった?」「友達できたか?」とここでも質問攻めを受ける羽目になった。まあ適当に流したが…
翌日。教室に着くと、俺以外の生徒は全員登校してきている。
「おはようさんオルタ。先日はすげえ挨拶だったな」
「茶化すなよタケシ」
「おはようございます、オルタさん」
「おはようでごわす、オルタ殿」
カインは相変わらず力士っぽい発言である。
「みんな、おはようございます。全員揃ってますか?ホームルームを始めますので、席に着いてください」
『おはようございます』
「では、今日の予定を伝えますね。昨日も発言しましたが、午前中は学院を案内します。昼食後を挟んで、午後は皆さんの実力を見せてもらうので魔術実習開始します。この後すぐに学園を案内しますが、複数のクラスと合同になりますのではぐれないように…何か質問はありますか?」
先生の注意に誰も手を上げない。案内された学院は校舎が2つある。一つは教室がある校舎で、各学年4クラスある。
もう一つは職員室や生徒会室、その他実験室やそれぞれの研究室などがある。この研究会とは、言うなれば部活みたいなものだ。うーん、部活か…前世だと部活に入らない帰宅部ってだけで将来はニートになるだのとか言われてたけど、無理に入って時間を無駄につぶすような真似はしたくないなぁ。なんせ3年という限られた学園生活だ。入らなくても、アルナを鍛えたりとか他に時間を有効に活用した方がいいと思うし…
「おっ?オルタ、これ見てみろよ」
「ん?」
ここで、タケシが気になった研究会を発見したようだ。ん?【使い魔研究会】…?どういったものだ?
「えーと…資料によると、【使い魔を持っている学生大募集中!使い魔の飼育・フィールドワークなど主に活動し、世に使い魔の有効活用を貢献する為の部活です】だって」
へぇ~、所謂飼育部みたいなもんか。そういったのは小学校くらいしかないと思ったが、この世界でそういったものがあるのは新鮮である。
「えっ何々二人とも、どこか入りたい研究会でもあったか?」
「あぁ…この【使い魔研究会】ってのに興味があってな」
「えっ!?タケシ君って使い魔いるの!?」
「せや、言い忘れてたんやが土人形がいるんや」
ここでタケシが、使い魔の話題に触れると全員が興味津々な眼差しで見つめてきた。
そうか…この世界だと魔獣使いは限られた人でしかスキルを獲得できない。使い魔が一体いるだけで、それだけで珍しがられることは多々ある。
「へぇ~知らなかったです」
「俺だけじゃなく、オルタもやで?」
「…!バッカお前!?」
「えっ!オルタ君も使い魔いるの!?」
おぉい!?なんで俺に使い魔いる事バラすんだタケシぃ!?
あんまり目立つことは避けようと、自己紹介の時に言わないようにしたのに!
「どんなのだ?使い魔ってどんな感じなんだ?」
「え、うん、そうだな…犬っぽいやつ?」
「何それかわいいじゃん!」
正確には狼竜なんだけど…竜とか狼とか喋ったら大変なことになるのは目に見えてるし、イナヅマの見た目だと特に女子からの受けがよさそうだから…。
「あっ、その研究会はもうすぐ廃部になりますよ?」
「えっ?廃部…?」
おっと?何やら不穏な空気が…。
「正確には廃部寸前ですね。去年までいた生徒はほとんどが卒業してしまって、今月中に3名以上入部しないと廃部になってしまいます」
「うーん廃部なるのは仕方ないな。じゃあ俺は」
「って事は…俺とオルタ、あと一人入れば存続できるって事ですか?」
「まあそういう事になるわね」
「オイコラタケシ」
コイツどんだけ研究会に入りたいんだよ!
「なぁオルタ、折角やから【使い魔研究会】に入らないか?」
「おい、なんで俺が既に入ることを前提に話し始めてんだ?」
「だってよぉ、これって新しく趣味を始めるチャンスじゃん?世の中に俺達魔獣使いの存在を大々的に知られるチャンスじゃん」
どうやらタケシは、概要欄にある魔獣や使い魔の有効活用に惹かれたようだ。
うーん確かに……このままイナヅマを持っていることはバレるだろうし、狙われるのを前提に考えれば学園で先に許可と登録をした方が安全かもしれない。
「はいはーい!なら私も入ってみたーい!」
「なら…私も入ってみようかな?」
俺達が盛り上がっているのを尻目に、マリーとメリューが入部しそうな口を出してきた。
「あれ?でも君達って、使い魔持ってないだろ?」
「別に持ってなくてもいいでしょ?確かに使い魔持ってる方が大歓迎って書いてるけど、持ってない人はお断りって書いてないし。それに使い魔の勉強とかで入りたいって言っても断らないでしょ?」
「そ、それは確かにそうだが…」
これは面倒なことになった…。だが逃げることもできない。
結局、強制的に俺とタケシ、マリーとメリューが後日研究会に顔を出すことに決められてしまった。
「ふん、研究会など気に入らない」
ここで否定的な言葉が耳に届く。この声は…ムーダーの声だった。どうやら、今丁度Aクラスの方でも研究会の紹介をされていたらしい。だが案内と言っても授業中であるので、俺達に気づいても手を出すようなことはしてこなかった。
「こんな事に時間をつぎ込むなら、俺とこの国を守ることに専念してもらいたいね。落ちこぼれ共」
「(コイツまた勝手なことを言って…)」
「ムーダー、そろそろ移動の時間よ」
「チッ…まあいい、勇者である俺には無関係な話だ。ここはさっさと退散しよう」
すぐ後ろにいたクレアに注意される。そう言い残し、そのままクラスごと立ち去って行った。「ほんとなんなのアイツ…!」とマリーが愚痴をこぼすが、「ほっとけや」とタケシが宥める。
俺達がブルーな気持ちになるのを気にせず、引き続き学園案内が続く。
次に向かったのは"練習場"であった。そういえば、受験の時も使用していたな。屋外と野外を含み、様々なシチュエーションを想定した場が揃っている。午後の授業はここで行うらしい。
そして最後に食堂へ行く。あちこち回っていたら、丁度昼休みになったのでそのまま昼休憩となり、各自食事を済ませる為一旦解散する。
この食堂は凄かった。トレーを取り、皿に盛られた料理を順番に選んで行くビュッフェ形式だ。肉や魚料理、スープにサラダ、パンも複数ある程の豪華なものだった。前世だと学生食堂でも金を払うのに、これから3年間毎日何を食べようか迷うかもしれない。貴族出身は気にしないが、平民出身からは有り難いだろう。タケシとマリーが感動していた。
いよいよ午後の魔術授業が始まる。みんな緊張しているようだが、楽しみな顔をしている。エマ先生がやって来ると、皆整列し授業の開始を待った。
「全員いますね?それでは、高等魔法学院での最初の授業を始めます」
『よろしくお願いします!』
「と言っても、最初の授業は…入学試験の時に見せた魔術をもう一度使って貰います」
皆の体から緊張が抜けたような雰囲気が感じ取れた。まあいきなり難しいような真似はしないだろう。
「それでは始めましょうか。順番は…昨日の自己紹介と逆から始めましょう。ですので、オルタ君。準備をお願いします」
「!わ、わかりました!」
マジかよ、いきなり俺なのか。
それに試験の時に見せた魔術をもう一度、今度はクラスメイトの目の前で見せる羽目になるとは…。仕方ない…そう思いながら準備に入る。印を結んだところでクラスメイトからはクエスチョンマークが出たが、発動時にその顔は驚きへと変わる。
「なんだあれ!?」
「む、無詠唱!?」
「雷なのか!?」
バチバチ…!と掌で踊る雷を見て、全員が唖然としていた。
ピシャア…!バンバンバンバンバン!!!
あの時の同じく、放たれた雷は地面を這いながら的に近づき、確実に破壊していった。あまりにあり得ない光景だったのか、クラスメイトは引かれるような体制でこちらを見ているのが見えた。まさか、俺に近づいたら感電でもするんじゃないかと思い込んでいるのでは?
「あ、あの。もう大丈夫なんだけど…」
俺が安全であることをジェスチャーで伝えると、クラスメイトは顔は驚いたまま俺に質問を投げかけてくる。
「今の魔術はなんなんだオルタ!?バチバチって!」
「あんな魔術見たことないよ!雷って何属性!?水?風?」
「あれか、昨日言ってた属性同士の合体か!?」
あれやこれや言われたが、時間も限られているのですぐに交代する。やがて全員が魔術の発動を見る時間が続いた。俺以外は基本の4属性の魔術だが、どれも効果的に的に当てて破壊している。
「これで全員終わりましたね。皆の魔術を見せて貰ったのは、今の実力を見せて貰うという事もありますが…皆に色んな魔術を見て貰うという意味もあります」
ここでエマ先生から説明が入る。
「知っての通り…1か月後にはクラス合同の魔術訓練があります。他の人に見てもらう事で、各々の得意な魔術も分かったと思います。私達教師陣もアドバイスをしやすくなりますし、同じ属性を得意としている他の人たちと切磋琢磨しながら練習に励めるでしょう」
そう、この高等魔術学園には一つの伝統がある。
それが【クラス合同魔術訓練】。目的としては高等魔術学園のクラス同士が、お互い切磋琢磨をして魔術の勉強・意欲を高める試みとして長年取り入れている事だ。この取り組みで魔術の更なる向上に繋がっているのだ。
「それでは、本日の授業はここまで!」
『ありがとうございました!』
「クラス合同か、なんか嫌な予感…」
「その気持ちは分かるけど、学園側が決めてるんだし仕方ないよ」
帰り道、タケシが不満な声を漏らす。
それもそうだ。クラス合同という事は、あのAクラスも一緒に訓練に参加することになる。女帝が居るとはいえ、ムーダーを始めとした奴らが俺達Dクラスにどんなことを仕掛けてくるのか想像はしやすい。
「絶対にあいつら何かを企んでるはずよ。例えばこちらをボコしてくるとか…」
「そんな!いくらなんでも、教師もいるんですよ?度が過ぎることは」
後日、研究会に一緒に顔を出すと約束してくきたマリーとメリューも不安な声を出す。相手は実力を思い知らせるために全力で挑んでくることは間違いない。
「それについてなんだが、ちょっと作戦があるんだ」
「おっ!なんやオルタ、考えがあるんか」
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