超レア消費アイテム生産者の異世界つえー物語~今ならもれなく全紛失したら死ぬ特典付きです~

安居 飽人

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第2章 学園下克上編

33. 進歩といろいろ準備

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 クラス合同訓練を1か月後に控え、早速Dクラスでこれからの練習方針を決めることにした。とりあえずは、まずは魔力貯蔵と制御の練習をしてもらうのが手っ取り早い。

 その事を伝えると、皆に何故かと聞かれ逆に驚かれる。何故なら強力な魔術を使うには、大きな魔力が必要になってくる。どうやら皆の常識は、強力な魔術の使用には詠唱を工夫し、それに見合ったイメージをするのだと思っているらしい…どうしてもイメージや詠唱の方に思考が行ってしまうとか。

 確かにイメージをするのは当然だが…いずれにせよ強力な魔術を扱うためにも、自身の中にある魔力貯蔵量MPを多くしなければならない。そしてそれを制御する訓練も並行して同時にやる。
 先ずは、今の魔力制御の実力を見る為に、魔力障壁マジック・ガードを展開して貰うが…。

 …いかんせん、障壁ガードが薄い。

「駄目だな。これじゃあ殆ど魔術攻撃を防げないよ」
「しかし、魔力障壁なんてそんなに防御力のあるものでは無いだろう?」
「何言ってるんだ。魔力の量を増やせば、自然と障壁ガードに出される魔力も増えるもんだ。後は制御さえしっかりしてれば、大抵の魔術攻撃にも耐えきれるぞ」

 試験問題の時もそうだが、世の常識と俺の経験則では効率の差が余りにも大きかった。このまま世の常識で練習してしまうと、1か月ではとても強くはなれない。強制的は良くなく、みんなに俺の常識を納得させて少しずつ修正していく事にした。

「それじゃ、俺の魔力障壁マジック・ガードをよく見とけよ…」

 そうして、みんなの前で俺は魔力障壁マジック・ガードを発動する。魔力貯蔵量MPが多い為、他よりも障壁ガードが二重三重に重なって見えていた。皆展開されてる魔力障壁マジック・ガードを呆然と見ている。俺はこれに加え結界魔術もあるわけだから、防御には絶対の自信がある。

「す、凄い魔力障壁マジック・ガード……」
「確かに、制御されてる魔力が凄い」
「言っとくけど、放出してる魔力は全力じゃないぞ?」

 これで魔力量が重要だと言う事が理解して貰えるだろう。しかし魔力貯蔵量MPを多くしたからと言って、そこで終わりではない。
 次に必要なのは、魔術を発動している際のの制御だ。放出に制限を掛ければ、調整もできるし肉体や精神的にもスタミナが減りにくくなる。実際に"アウェイクスピリットオンライン"ではHP体力を消費して発動できる魔術もあったからそのイメージだ。逆に加減が聞かなくなると、死ぬことはないだろうが最悪気を失うだろう。

「だから、まずは魔力量増設と制御を鍛えよう。他の魔術とかを取得するのは、それからの話だな」

 最終的にはみんな納得するようになった。

「オルタって、どこでそんなことを学んだんだ?エバーライフ家の秘伝か?」
「いや違う。実家ばあちゃんの秘伝だよ…」

 危ない危ない、ガサ入られるとこだった。こうして破滅回避策が学園でも通用できるのは救いである。

「面倒くさいと思うけど、こうした小さな積み重ねが重要になってくるんだ。騙されたと思ってやってみてくれ」
「オルタはいつも魔力制御の練習してるのか?」
「ああ、小さい頃から毎日やってるからな。俺の場合は詠唱なんかより、イメージと制御を優先的に鍛えていたからな。今じゃこんな風に…」

 そうして魔力を集め、最大限に近い火力で放出して見せる。

「ッ!!」
「これは…!!」

 まるで隕石が降ってきたかように、教室全体が巨大な重力場と化していた。余りの戦慄に、放出を解除されると何人かは腰が砕けるようにその場でへたり込む。

「という訳で、これから毎日魔力制御の練習な。サボんなよ?」

 うんうんうん、と全員が力強く頷く。

「それと、当分の目標は無詠唱で魔術が使えるようになる事な」
『えええええー!?』

 えーじゃない、それ位出来なくてどうするよ…。
 戦場とか狩場とかだったら詠唱している隙なんて大きいハンデみたいなもんだからな?

 その日は一日魔力制御の練習と魔力量増加の訓練に励んだ。後からスマホで確認したが、俺の経験値爆速獲得スキルのおかげでみんなレベルアップできたのは別の話。

 帰宅後、俺は早速ノーマンさんに呼び出される。何かしたか?

「只今戻りました、父上」
「おう戻ったか、だが…覚えているかね?」

 この間の件…どうやら、合格発表の前にエバーライフ家に王様が来てくれた時の話だ。実はあの時、クレアに発破をかけて許しをくれた後に、続きがあったのだ。

 それは、俺が父上が"魔族共存派"であることを知っている事と、アルナと"ポータル"を使用して前のログハウスに遊びに行った時の事を全て打ち明けることにしたのだ。

黒竜こくりゅう族の暴走?本当にそんなことがあったのかね…!?」

 やはり王様は信じられないような顔で、こちらの話を疑ってくる。しかし、前述であったDクラスが本当は優秀な成績者に決まった事と、一緒に居たアルナの証言、それに報酬として受け取ったルビーを証拠に渡す。

「うん!?このルビーは…!これはギルドで報告にあった、魔族領でしか取れない品物!それに、このルビーが自然発生する火山地帯は、あの黒竜こくりゅう族が仕切っている!」

 やはり国王は知っていたようだった。
 "アウェイクスピリットオンライン"の情報通り、魔族領で火山地帯並びにその付近は黒竜こくりゅう族が仕切っている。山道がかなり厳しく、あそこに行くだけでも結構大変な道のりだ。加えて上位の魔物として知られる黒竜こくりゅう族との戦闘なんて自殺行為にも等しいのが常識だ。

 ノーマンさんと和解した後、早速エバーライフ家は"商談"に出ることにした。と言っても流石にアポなしで迷惑である為、俺はスキルの"結界魔術"で安全に事前交渉をサポートすることにした。それは遡る事、数週間前…。

「オルタ、いきなり会議室で商談するとはどういうことだ?」
「"ポータル"を使って、向こうのログハウスで会うんじゃないの?」

 商談の約束を決めるために、執務室に俺とアルナに案内されたノーマンさんとアルリスさんが不安を言う。

「大丈夫ですよ。これからいきなり黒竜こくりゅう族に合うのに、御二人の精神的不安を少しでも軽くしようと思って執務室ここに案内したんです」

 とは言っても、相手は今までの人間でなく"魔族"だ。承知の通り、中には人間を弱者として見下す種族も少なくはない。だから両者とも安全かつ手っ取り早い方法を思いついた。

結界作成キューブ・クリエイト

 俺は結界を作る。出来上がった、透明な立体物を机から離れた来客用のテーブルにコトっと置く。これで準備は完了だ。あとは…―――

【オルタ君よ、聞こえているか?私だ、アーツだ】

 この声は、黒竜族の長であるアーツさんの声だ。テレパシーの会話で、どうやら無事に到着したらしい。

【今ログハウスのテーブル前で、この前と同じくソファに座ったままだがこれでいいのかね?】
【アーツさん、丁度いいタイミングでした!そのままお待ちください。そこに置いてある結界魔術キューブから離れてくださいね】
【承知した】

 ノーマンさんとアーツさんがそれぞれ席に着くのを確認し、俺の会議作戦は最終段階に入る。後は、させれば…!

結界共鳴キューブ・ポータル接続開始リンク・スタート


ブゥウン…!(ブゥウン…!)


「!こ、これは…!」「まあ…!」
【うおっ!?】【え!ナニコレ!?】


 それぞれ違う場所に設置された結界魔術キューブが音を立てながら作動する。まるで箱からプロジェクターのように映像が映し出された。映っていたのは、ログハウスで準備を終えていたアーツさんとフレイである。これを見た瞬間に二人は驚き、逆にログハウスに居たアーツさんとフレイも同様驚いていた。

「あーあー、御二人とも聞こえてますか?」
『あー聞こえとるよオルタ君!これは一体何なのだ!?』

 そう、俺が今やったのは結界魔術の結界同士を接続する魔術…所謂『テレビ会議』だ。これならばお互い離れたとしても意思疎通が可能になるという事だ。

「オルタよ、これは幻か?記録か?どうなっているのだ?」
「いえいえ父上、これは幻でも記録でもありません。この映し出されている像は、のです。ここに映っているのは、黒竜族の長である"アーツ・シュヴァルツ"さん。お隣が娘の"フレイ・シュヴァルツ"さんですよ。アーツさん、こちらがボクの父上でありエバーライフ商会会長の"ノーマン・エバーライフ"、お隣に居るのが母の"アルリス・エバーライフ"です」

 俺が自己紹介も兼ねて淡々と説明するが、両者とも暫くは口があんぐりするほど黙っていた。そしてこれが現実だと知った時、お互いがあたふたしながらも自己紹介に入る。

「お、お初にお目にかかるアーツ殿。私はブルーローズ帝国でエバーライフ商会を請け負っている、会長の"ノーマン・エバーライフ"と言います。この度は愚息が大変失礼なことを…!」
『いやいや、そこまでは思っておりませんよノーマン殿。ただ結界魔術でここまで出来る事が非現実すぎて…』

 ノーマンさんは、いきなり向かい側に黒竜族が来るとは思ってもみなかったんだろう。こればかりは事前に連絡していなかったことは申し訳なく思っている。それから俺達に出会った一連の出来事、時々アーツさんに確認を取りながら魔族領で起こっている出来事を次々と話し合った。

「そういう事だったのですか…成程、そちらの事情は概ね把握いたしました。こうやって直接魔族と話せること自体信じられないと思っていたのですが…」
『理解していただけたようで何よりです。我々も人種族とは相容れないと思いましたが…こうして場を設けたくれたオルタ君に感謝したい。良い息子さんを持ちましたな』
「ありがとうございます」
「さて父上、商談の話を進めましょうか」
「そうだな、では…」

 お互いの自己紹介が終わり、いよいよ本題に入る。
 今回の商談は廃棄寸前だったエバーライフ商会の"茶葉"を、黒竜族が幾ら買い取るかいうものだ。当然だが人間社会と魔族社会では違う。向こうでは物品の売買を貨幣でするというのはそこまでない。
 しかし、そこで頼りになるのは"アウェイクスピリットオンライン"という前世の知識。黒竜族と言っても貨幣での交易をしているのは分かっていたので、売買の方は問題なかった。驚いたのはその内容だ。

『改めてお願いします。ノーマン殿、我々と専属契約を結びませんか?単価につきましては、人間用と同じく一袋当たり500Gゴールドで買い取らせてください。どれくらいありますか?』
「袋に換算すると…100万袋になりますが…」
『全部買います!寧ろこれからも大量に作ってほしい!』
「ぜ、全部…という事は、5億Gゴールド!?!?」

 なんと一気に億単位の契約になってしまった!しかも、これから専属で契約してくれれば単価を見直すのだという。やっぱり黒竜族にとってはどうしても欲しいのだろう。これは契約せざるを得ない!

「是非契約させてください!それとこの事を国王に報告したいのですが、近々お会いする日にちを決めたいのですが宜しいですか?」
『勿論です!我らのような魔族と共存できる考えを持つあなた方とは、これからも友好な関係を築きたい。これからもよろしくお願いしますよ!』

 こうして、人知れずエバーライフ商会創設以来…いや、人間と魔族の初の契約が誕生したのであった。
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