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20 シルの過去
しおりを挟むシルさんは気まずい状態でも私を手放しはしなかった。
ベッドに誘導し、一緒のお布団に過ごす。
だけど、それだけじゃない。
次の日もその次の日も同じだった。
外には出して貰えず、ずっとシルさんの家でお世話をされる日々。
ずっとずっと…。
こんなの耐えれない。
私は決心をしてシルさんに聞いた。
『シルさん!!ここに閉じ込めても私は折れませんよ』
「分かってるよアリアちゃん…けど」
『他の人にも見せたくないんですよね?』
「あぁ」
『なら、こうしましょう!シルさんの事を教えて下さい』
「…」
『ダメですか?』
「良いよ、俺でよければ」
シルさんは苦笑いをしながら言うと私の頬に手を置いて軽く唇を重ねた。
私は拒まずにじっと待つ。
それが嬉しかったのか、少し赤い顔で微笑むシルさん。
「何が聞きたい?」
『シルさんの全て、過去も知りたいです』
「過去かぁ」
『はい、夫になるかもしれない人なのに知らないなんて嫌です』
「そうだね…俺は過去…。俺の母親が少し狂っていた」
『ん?』
「昔から女の子が欲しくて仕方のない人だったらしい。だから、何度も何度も男を変えて子供を産んだ。そして、最後に産まれたのが俺」
『…』
「俺の本名はシルフィーネ。狂った母親が俺を女として育てる為につけた名前」
『シルフィーネさん』
初めて知った名前な私は呟いた。
「母親は死ぬ寸前まで俺を女として育てた。もう、周りからは狂った人だと噂されてあたよ」
『…』
「俺はそれでも母親が好きだった。だから女を演じ続けた。けど、それは最悪な結果になったんだ」
シルさんの苦しそうな表情に私は頭を撫でた。
「有難うアリアちゃん。あの人が病気で死んだあとだった。幼い俺は大人の男達に犯されたんだ。ちょうど10歳の頃だったよ」
『…っ!?』
「それからは地獄だった。毎日毎日男が俺の元に来て犯していく。俺の身体は汚れた汚いものだった」
『シルさんっ!』
「人生どうでも良かった。シルフィーネって呼ばれて犯されるのに吐き気がした。そんな時ある人に助けられたんだ。正義感の強いあの人に」
『…?』
「その人は俺をただ抱きしめてくれた。そして、俺に他愛のない話をしてくれた。初めて龍人として扱われたと感じた。その時だよ君に出会った。いや、一方的に知ったんだ」
『え?』
「可愛い君を見た時自分瞳に違和感を覚えた。まるで熱をもつ感じに戸惑った。鏡を見たらそこには金色に光る瞳が写っていた」
『つ、つまり』
「理屈抜きで君を好きになった。一目惚れだった。君にも救われたんだ」
『きっと、その時の私はそんな大層な事して無いですよ?』
「君はそうでも俺はした。初恋の人だよアリアちゃん」
私はシルさんの言葉心臓が高鳴る。
まさか、本当に私の事好きだったなんて。
でも、理由を知ったら私は急にシルさんから距離を取った。
「…なに?嫌いになったの?気持ち悪かった?」
まるで絶望の様な表情で私を見るシルさん。
だけど、私は違う意味で焦っていた。
『あ、あの…その、恥ずかしくて』
「…え?」
『だ、だだだ』
「お、落ち着いてアリアちゃん。深呼吸だよ?」
『す、すいません。スーハー』
「落ち着いた?」
『そ、そのシルさんが私の事を本当に好きってちょっと思ってしまいまして…そしたらどうしたらいいか分からないんですっ』
「え?」
『き、キスだって、意識したらどうしたら良いか…あわわっ』
「可愛い…クソ可愛い」
『や、やめて下さい。そんな風に言われたら意識しちゃいます』
「マジで可愛いんだけど…どんだけなんだよ」
シルさんは私て嬉しそうに笑いながら何度も何度も呟くのだった。
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