王子の取り巻きの伯爵子息の僕、好きな子(公爵令嬢・子爵養女)が2人とも王子に奪われたので断罪イベ起こして自分のものにしようとしてみる

ぬぬぬ木

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断罪は殺害と共に

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「エリザロッテ! 私の愛しいナギを虐め精神的苦痛を与え夜も眠れぬ身体にしたことは許されざる罪である! その上飴玉の中に激辛のソースを入れ肉体的苦痛まで与えるとは!」

「待って下さい! それは私がしたことじゃ……」

「そうですよぉ王子様! 私、エリザロッテ様じゃないって信じてますぅ!」

「あなたはその気持ち悪い口調をやめて下さる!?」



 今日は我々アダムズ魔法貴族学園の卒業パーティ。

 将来への期待と不安に胸を膨らませた貴族の子弟たちが、思い思いに踊ったり食事を嗜む場。



 そんな中、数人のグループがベランダで騒ぎを起こしていた。



 中心には世代最高の権力者、王子レパート様とその婚約者のプスバラ公爵家の令嬢エリザロッテ嬢、平民出身の子爵家令嬢ナギがおり、その周囲にはそれぞれの取り巻きが不安そうな顔をして侍っていた。



 騒ぎの原因は長年のエリザロッテ様によるナギへの虐め。



 ―――――なのだが、彼女は罪を犯していない。虐めていたのは俺だし、彼女に罪をなすり付けたのも俺である。



 俺の名前はラダマス。フォレンダード伯爵家の長男で、職業は学生兼王子の側近。所謂取り巻きだ。



 今も王子の横でエリザロッテ様を見下している。



 そんなクソみたいな立場の俺だが、小さい頃からある御方に恋をしてしまっている。

 まぁエリザロッテ様な訳なんだが。



 今から14年前の事、俺の誕生日パーティに彼女が訪れたことが原因だった。

 そこで彼女に言われた、



「おちゃ…… お誕生日おめでとうございます!」



 に俺の心はぶち壊された。

 心臓が高鳴って仕方がなかった。



 それ以来俺は彼女のことがずっと好きで……



 でも彼女は高嶺の花だった。上司で友(仮)の許嫁だった。

 7歳の時にそれを知った折にはレパートのクソ、失礼レパート王子を暗殺してやろうとも考えたのだが、それは無理な相談。

 できても彼女と結ばれる可能性はゼロに近い。



 だから泣く泣く彼女のことを諦め友人として付き合ってきたというのに……



 なにが『私の 愛しの ナギ』だ!



 15歳で、俺達貴族の子弟はこの学校に入学することが義務付けられている。

 そして将来の結婚相手を探すことも貴族の暗黙の義務である。



 エリザロッテ様一筋ではあったが、俺も次期伯爵として結婚しない訳には行かない。



 そんな時に我々王子・エリザロッテグループに新しく入ってきたのが、道端で飢えそうになっている所を俺が助けたナギだった。



 平民出身とはいえ、伯爵家と子爵家なら身分も十分。

 彼女はとても愛らしく、時に美しく。

 2人でいるととても楽しかった。



 惹かれていた。結婚しようと本気で思った。彼女と話している時はエリザロッテ様のことを忘れられた。



 彼女にも受け入れて貰えると思ったのに!



 騎士団の指揮演習、そんな授業で校外で1ヶ月の実習を経て学校に戻った時、すでに彼女の隣にはクソが居た。いや失礼、クソ…… じゃない。王子がいた。



 信じられるか? あんなにもお美しいエリザロッテ様と結婚できるにも関わらず! どうしてそれ以上を望む?



 俺は許せなかった。



 だからどっちも手に入れることにした。



 エリザロッテ様の取り巻きを操れば、彼女達は簡単にナギを虐めてくれた。

 傷付いたナギには話を聞いてやり、慰める。



 下手人はエリザロッテ様のお友達。

 当然王子とエリザロッテの関係は悪くなるし、エリザロッテ様は嘘で自分を陥れるナギを恨むし、ナギは虐めてくるエリザロッテ様を恨む。



 エリザロッテ様に集中するヘイトとクソの思考回路。10数年一緒にいたんだ。この状況を作れば自然と……



「エリザロッテ! お前との婚約は破棄する!」

「しかしそれでは家の問題が……」

「えぇい殺されたいか! 出てけ出てけ!」

「レパート様! 私はずっとあなたの為に……」

「エリザロッテ様ぁ……」

「そんなに殺されたいか! ラダマス! 殺れ!!!」

「それはちょっと……」



 こうなる。



心の中でガッツポーズをしつつ、口では忠臣を演出し、エリザロッテ様を庇う言葉を口にするが……



「いや王子様、彼女は確かに罪を犯しました。だけど同時に俺の友人であることも事実。ここは俺に」

「煩い! 殺せ!」



 クソは王子だから俺に命令ができる。俺の抗弁は否定されてしまった。



 だから……

 はぁ、仕方ない。仕方がないので剣を振るう。



「へいへい、わかりましたよ!」

「ラダマス! あなた!」

「きゃーーー!」



 赤が飛び散る。

 悲鳴が暗い空を裂く。



 振るった剣を納め、地面に頭を打ち付けそうになる彼女をそっと抱き抱えてクソに向かって一言。



「これがあなたの選択だ。」



 そのまま鼓動を聞きつつ気絶した彼女を抱え、さも死体を運ぶかのように俺はその場を後にした。







 ――――――よし、これは勝ったな!
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