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1章 体育祭
第6話 どうにか避けたいメインヒロイン
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体操服の短パンから覗く美少女の瑞々しい太もも。
ガッツリ見えるわけじゃないのがいい。
ちらっと。
見えるかな見えないかなくらいの長さが、俺たち男の魂を滾らせるのだ!
というわけで、早速夏休み明け2日目から体育祭に向けての練習が始まった。
中学の時のように1日のほとんどが体育、みたいなことにはならないものの、最低でも2時間は体育が確保されている。
2年生は集団演技で男女一緒にダンスをするとのことで、女子の陽キャ集団が前に出て仕切り始めた。
「いるよな。こういうの」
女子の陽キャ集団は、自分たちがしたいダンスを自分たちの間の話し合いで勝手に決め、俺たちに押し付ける。
そして自分たちが誰よりも目立とうと考えている。
だが、忘れてはならないのが、その一軍女子集団の中に、我らがメインヒロイン水越莉虎はいないということだ。
つまり、せっかく頑張ってくれている彼女たちはただのモブ。
それなりに可愛い娘はいるけど、サブヒロインになるにはキャラが薄いよねって感じだ。
ただ仲のいい女子で集まって「うえーい」しようぜ!っていうノリである。
「にゃー」
体育館の前方でわちゃわちゃしている陽キャ女子をボーっと眺めていたら、猫の鳴き声が聞こえてきた。
俺の立ち位置は体育館の後ろの方。
準備運動をしたら好きなところでダンスの練習していいって指示されたので、できるだけ目立たない後ろの隅に自分を配置した。
他の生徒たちは俺のことを体育館の置き物だとしか思っていないだろうし、俺も彼らをただのモブとしか思っていない。
「今日はちゃんと起きてるんだね」
「授業くらいちゃんと起きてる。寝るのは休み時間だけ」
モブと陽キャ女子という風に二分割されてしまった体育館。
そんな実にシンプルな世界の中で、ジト目になって置き物の俺を見つめているのは猫音子さんだ。
彼女とはクラスが違うものの、体育の授業は2つのクラスが1つにまとまって行われるので同じだった。
B組とD組。
当然ながら、猫音子さんは陽キャ女子じゃない。
しかし、モブではない。
配置するだけで周囲に癒しを与える看板猫のような存在だ。
いつも図書室で眠たそうな姿をしているからか、体育の授業で顔を合わせてみるとまったく別の印象を受ける。
眠気のあまり重たくなっていたまぶたはしっかり上に押し上げられ、大きな目が際立っていた。本物の猫かな?
とりあえず可愛い。
付き合いたい。
「そういえば図鑑読み終わった」
「へえ」
「猫を飼うと、心臓発作になるリスクが下がる」
「猫に癒されるからかな」
「猫は一生のうち7割以上を寝て過ごす」
「のんびり屋だね」
これは何の時間だろう?
図鑑の感想会?
俺のコミュニケーション能力には限界があるので、猫音子さんが言ったことに対してどう返せばいいのかわからない。
猫音子さんは話す時、ふわふわのボブヘアを左右に揺らす。
多分意図的じゃないと思うが、それはすんごく可愛くて、思わず頭を撫でてしまいそうになる。
「ネネは猫になる」
「凄いね」
「む……ネネは猫になるって言ってる」
「……ん?」
適当に流そうとしたら、まさかのカミングアウト。
将来ミュージシャンになるとか女優になるって言われるならまだしも、猫になるって言われるなんて普通は思わない。
――これ、シナリオにないけど。
唐突のアドリブ。
猫が好きなのは知ってたけどさ。
「猫になる?」
「頑張ればできないことはないと思う」
やればできる!
努力は裏切らない!
それもそうだな。人間も頑張れば猫くらいにはなれるのかもしれない。
「猫音子さんならきっとなれると思うよ」
「そういうことじゃない」
どういうことかな。
「ネネが猫になったら、シロは人間」
猫音子さんが猫にならなくても、俺は人間だよ。
「だから……シロは猫を飼うべき」
「ほう……でも俺のマンションペット禁止なんだよね」
「むぅ」
答え方を間違えた。
猫音子さんの可愛らしい頬がぷくっと膨らむ。ちっこくて愛らしい。
結局何が言いたいんだろうね。
***
『男女のペアダンスするから、適当にペア組んでー』
陽キャ女子の中でもリーダー格の美形で長身の女子生徒が、マイク越しに言う。
この瞬間、一部の陽キャ男子&女子の間でイチャイチャイベントが確定した。
そして残念なことに、モブ及び陰キャ男女の間では地獄の始まりだ。
体育館前方と後方の温度差が凄い。
俺はというと、できるだけ存在感を出さないように隅っこに立っているだけ。
適当にペアを組めと言われても。
ほとんどの生徒は異性に近付こうとしない。
「にゃー」
ここで思い出す。
シナリオ通りなら、結局陽キャ男女以外はペアが決まらないまま時間が過ぎていくため、ネットのサイトでランダムにペアが決まっていく。
そこで、俺はなぜか水越とペアになってしまい、そこから恋愛イベントが始まり……みたいな流れ。
もし本当に水越とペアになったのなら、一瞬で虜になってしまう自信がある。だって可愛いし、美人だし、完璧だし。
あんな可愛い女の子に好意みたいなの向けられてコロッといかないわけないよね。
「にゃー」
しかし、ここで水越とペアになるわけにはいかない。
ヤンデレ化するメインヒロインと付き合うリスクが高すぎるのだ!
「にゃー」
さっきから野良猫の鳴き声がうるさいな。
体育館に猫が入り込んだのか?
「にゃー」
でも、水越とランダムでペアを組まされないためには、自分でペアを選んで決めてしまうしかない。
俺とペアを組んでくれそうな相手なんて……。
「にゃー」
あ、ここにいるじゃん。
しかもめっちゃ可愛いぞ!
ガッツリ見えるわけじゃないのがいい。
ちらっと。
見えるかな見えないかなくらいの長さが、俺たち男の魂を滾らせるのだ!
というわけで、早速夏休み明け2日目から体育祭に向けての練習が始まった。
中学の時のように1日のほとんどが体育、みたいなことにはならないものの、最低でも2時間は体育が確保されている。
2年生は集団演技で男女一緒にダンスをするとのことで、女子の陽キャ集団が前に出て仕切り始めた。
「いるよな。こういうの」
女子の陽キャ集団は、自分たちがしたいダンスを自分たちの間の話し合いで勝手に決め、俺たちに押し付ける。
そして自分たちが誰よりも目立とうと考えている。
だが、忘れてはならないのが、その一軍女子集団の中に、我らがメインヒロイン水越莉虎はいないということだ。
つまり、せっかく頑張ってくれている彼女たちはただのモブ。
それなりに可愛い娘はいるけど、サブヒロインになるにはキャラが薄いよねって感じだ。
ただ仲のいい女子で集まって「うえーい」しようぜ!っていうノリである。
「にゃー」
体育館の前方でわちゃわちゃしている陽キャ女子をボーっと眺めていたら、猫の鳴き声が聞こえてきた。
俺の立ち位置は体育館の後ろの方。
準備運動をしたら好きなところでダンスの練習していいって指示されたので、できるだけ目立たない後ろの隅に自分を配置した。
他の生徒たちは俺のことを体育館の置き物だとしか思っていないだろうし、俺も彼らをただのモブとしか思っていない。
「今日はちゃんと起きてるんだね」
「授業くらいちゃんと起きてる。寝るのは休み時間だけ」
モブと陽キャ女子という風に二分割されてしまった体育館。
そんな実にシンプルな世界の中で、ジト目になって置き物の俺を見つめているのは猫音子さんだ。
彼女とはクラスが違うものの、体育の授業は2つのクラスが1つにまとまって行われるので同じだった。
B組とD組。
当然ながら、猫音子さんは陽キャ女子じゃない。
しかし、モブではない。
配置するだけで周囲に癒しを与える看板猫のような存在だ。
いつも図書室で眠たそうな姿をしているからか、体育の授業で顔を合わせてみるとまったく別の印象を受ける。
眠気のあまり重たくなっていたまぶたはしっかり上に押し上げられ、大きな目が際立っていた。本物の猫かな?
とりあえず可愛い。
付き合いたい。
「そういえば図鑑読み終わった」
「へえ」
「猫を飼うと、心臓発作になるリスクが下がる」
「猫に癒されるからかな」
「猫は一生のうち7割以上を寝て過ごす」
「のんびり屋だね」
これは何の時間だろう?
図鑑の感想会?
俺のコミュニケーション能力には限界があるので、猫音子さんが言ったことに対してどう返せばいいのかわからない。
猫音子さんは話す時、ふわふわのボブヘアを左右に揺らす。
多分意図的じゃないと思うが、それはすんごく可愛くて、思わず頭を撫でてしまいそうになる。
「ネネは猫になる」
「凄いね」
「む……ネネは猫になるって言ってる」
「……ん?」
適当に流そうとしたら、まさかのカミングアウト。
将来ミュージシャンになるとか女優になるって言われるならまだしも、猫になるって言われるなんて普通は思わない。
――これ、シナリオにないけど。
唐突のアドリブ。
猫が好きなのは知ってたけどさ。
「猫になる?」
「頑張ればできないことはないと思う」
やればできる!
努力は裏切らない!
それもそうだな。人間も頑張れば猫くらいにはなれるのかもしれない。
「猫音子さんならきっとなれると思うよ」
「そういうことじゃない」
どういうことかな。
「ネネが猫になったら、シロは人間」
猫音子さんが猫にならなくても、俺は人間だよ。
「だから……シロは猫を飼うべき」
「ほう……でも俺のマンションペット禁止なんだよね」
「むぅ」
答え方を間違えた。
猫音子さんの可愛らしい頬がぷくっと膨らむ。ちっこくて愛らしい。
結局何が言いたいんだろうね。
***
『男女のペアダンスするから、適当にペア組んでー』
陽キャ女子の中でもリーダー格の美形で長身の女子生徒が、マイク越しに言う。
この瞬間、一部の陽キャ男子&女子の間でイチャイチャイベントが確定した。
そして残念なことに、モブ及び陰キャ男女の間では地獄の始まりだ。
体育館前方と後方の温度差が凄い。
俺はというと、できるだけ存在感を出さないように隅っこに立っているだけ。
適当にペアを組めと言われても。
ほとんどの生徒は異性に近付こうとしない。
「にゃー」
ここで思い出す。
シナリオ通りなら、結局陽キャ男女以外はペアが決まらないまま時間が過ぎていくため、ネットのサイトでランダムにペアが決まっていく。
そこで、俺はなぜか水越とペアになってしまい、そこから恋愛イベントが始まり……みたいな流れ。
もし本当に水越とペアになったのなら、一瞬で虜になってしまう自信がある。だって可愛いし、美人だし、完璧だし。
あんな可愛い女の子に好意みたいなの向けられてコロッといかないわけないよね。
「にゃー」
しかし、ここで水越とペアになるわけにはいかない。
ヤンデレ化するメインヒロインと付き合うリスクが高すぎるのだ!
「にゃー」
さっきから野良猫の鳴き声がうるさいな。
体育館に猫が入り込んだのか?
「にゃー」
でも、水越とランダムでペアを組まされないためには、自分でペアを選んで決めてしまうしかない。
俺とペアを組んでくれそうな相手なんて……。
「にゃー」
あ、ここにいるじゃん。
しかもめっちゃ可愛いぞ!
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