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勇者祭編
その74 貴公子の解釈☆
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〈闘技場ネオ〉では、桐生レイヴンと西園寺オスカーが剣を片手に向かい合っていた。
一学期期末試験に続き、またクラスの注目を集めるオスカー。
試験の話題にあるように、彼の座学での実力は大方認められている。今までその存在に少しも注意を向けなかったクラスメイトも、ようやく彼の能力に気づき始めたのだ。
しかし、実技はどうか。
座学と同様に実力を隠しているのではないか、という疑念も多くの生徒の中にあった。とはいえ、まだ決定的な根拠はない。
今回、剣聖と謳われた桐生レイヴンとの模擬戦にて、オスカーの実力が見られる。
――もしかしたら桐生と渡り合うほどの実力があるのかもしれない。
そんな期待を持って集まった生徒達は、すぐに失望した。
『――今回行うのはただの基礎だ。派手に戦い合うわけではなく、純粋に剣技の美しさを見たい』
桐生の一言。
ひとつの娯楽を見るような感覚で集まったクラスメイトの、期待外れというがっかりとした溜め息が多く聞こえる。
そんな中、グレイソンは心配を隠さず、緊張しながらオスカーを見つめていた。
(オスカー……ここで実力がバレるわけには……)
グレイソンは勘違いをしている。
オスカーには実力を隠さなくてはならない理由があるのだ、と。自分はその秘密の共有者として、やむを得ず教師の言葉に従ったオスカーを助けなくてはならない、と。
桐生はオスカーを疑っている。
グレイソンはそう確信していた。
疑う、といっても、悪い意味で疑うというよりは、真の実力に好奇心を持っている――そう考えるのが正しい。
気分が落ち着かず、桐生とオスカーをちらちらと繰り返し見る。
オスカーはこの状況で自分に期待しているのだろうか。ここは、自分が動くべきなのか。
オスカーから合図や指示はない。
この状況はすでに、彼の計算通りなのか。
(わからない……)
思考の底なし沼に浸かる、その時だった。
「剣術の高みを見せてやろう。わかる者にはわかるが、わからない者には理解できない。君達は、見極められるかな?」
小さく。
オスカーの口から、そんな台詞が呟かれた。
――試練。
(ここにいる全員を試してる? 自分の剣技を通して?)
少なくとも、グレイソンはそう解釈する。
行うのは基礎。
その基礎的な剣術の動きのみで、本来の実力を見極めることができるのかどうか。構えの姿勢や剣の振り方、足運びの仕方――それを見て、オスカーの実力に気づくことができるのかどうか。
彼の呟きを拾ったのはグレイソン、そして対戦相手の桐生くらいかもしれない。
グレイソン自身は、改めて目の前の少年の崇高さを理解すると共に、他のクラスメイト達へ、煽るような微笑みをこぼした。
一学期期末試験に続き、またクラスの注目を集めるオスカー。
試験の話題にあるように、彼の座学での実力は大方認められている。今までその存在に少しも注意を向けなかったクラスメイトも、ようやく彼の能力に気づき始めたのだ。
しかし、実技はどうか。
座学と同様に実力を隠しているのではないか、という疑念も多くの生徒の中にあった。とはいえ、まだ決定的な根拠はない。
今回、剣聖と謳われた桐生レイヴンとの模擬戦にて、オスカーの実力が見られる。
――もしかしたら桐生と渡り合うほどの実力があるのかもしれない。
そんな期待を持って集まった生徒達は、すぐに失望した。
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桐生はオスカーを疑っている。
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気分が落ち着かず、桐生とオスカーをちらちらと繰り返し見る。
オスカーはこの状況で自分に期待しているのだろうか。ここは、自分が動くべきなのか。
オスカーから合図や指示はない。
この状況はすでに、彼の計算通りなのか。
(わからない……)
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「剣術の高みを見せてやろう。わかる者にはわかるが、わからない者には理解できない。君達は、見極められるかな?」
小さく。
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――試練。
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その基礎的な剣術の動きのみで、本来の実力を見極めることができるのかどうか。構えの姿勢や剣の振り方、足運びの仕方――それを見て、オスカーの実力に気づくことができるのかどうか。
彼の呟きを拾ったのはグレイソン、そして対戦相手の桐生くらいかもしれない。
グレイソン自身は、改めて目の前の少年の崇高さを理解すると共に、他のクラスメイト達へ、煽るような微笑みをこぼした。
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