【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
43 / 105
魔王セト襲来編

その43 一学期終了

しおりを挟む
 魔王セトはどうやらこの世界から消えたようだ。

 王国の外に出ていた名の売れている勇者パーティが、あの後〈王国通り〉にやる気満々で駆けつけたらしいが、そこに残っていたのは蒸発してしまった魔王セトの微弱な魔力と、呆然とするゼルトル勇者学園の討伐隊だった。

 たったひとりで魔王セトを倒した謎の勇者。

 その存在は王国政府によって伏せられ、それを知るのは駆けつけた勇者パーティの五名と、学園からの討伐隊の十五名、そして密かに観戦していたグレイソン達のみ。

 だが、そのうちの数名は謎の勇者の正体に気づいている。

 素晴らしい。

 俺の思い描いていた台本シナリオに限りなく近い展開だ。

『魔王は無事に勇者パーティの方々が討伐してくれたのである。つまり、一件落着であるな!』

 一学期の終わりを告げる終業式。

 学園の全学年の生徒が〈闘技場ネオ〉に集められ、クセが強い学園長、鳳凰ほうおうイバンの演説スピーチが行われる。

 俺の隣に腰を下ろしているのは、左にグレイソンと、右にセレナ。
 前にはクルリンがちょこんと座り、ミクリンが姿勢良く腰掛けている。

 魔王セトが倒されてから一日。

 俺は彼らに心の整理をする時間を与えるため、あえて今日の朝まで顔を合わせないようにしていた。グレイソンの視線が以前よりもさらに崇拝的なものになったり、双子姉妹からさらに熱烈な視線を感じたりすることもあったが、セレナはまだ何も言葉を発していない。

 俺が目を合わせようとしても、紅潮して視線をそらされるだけだ。

「グレイソン、あの戦いはどうだった?」

 少し気まずいと思ったので、俺から話題を展開する。

「少し前の自分を思い出して、恥ずかしくなったよ。キミにとっては子供の遊び程度の実力で、調子に乗っていたわけだからね。魔王との戦いを見て、改めて思った。僕は少しでもキミに追いつけるように頑張りたい」

 苦笑いしながら、目を輝かせながら、思いを言葉にするグレイソン。
 
 彼は本当に変わった。
 俺は教師ではないし、教師になったこともない。だが、教え子が成長して喜ぶ気持ちや、教えることのやり甲斐がいを知れたような気がする。

 グレイソンを見ていると、自分も現状に満足せずに高みを目指そう、と気持ちを入れ直し、自らを奮起させることができるのだ。

 実際、魔王セトと俺とでは、基本のスペックがまったく違った。
 魔王が格上。
 俺は格下。

 今回俺が勝てたのは、〈可憐なる浄化ゼロ・ピュリファイ〉と〈勝利の宴ゼロ・オスカー〉のおかげ。
 この一言に尽きる。

「全てはグレイソンが自分を高めようと努力したからだ。それに、頑張るなら俺を超えるつもりでやれ」

「――ッ。そうだね、甘えていたら駄目だ。僕はキミを超えるよ」

「その意気だ」

 グレイソンの師匠として、渋い表情で弟子を見つめる。

 これを隣で見せられているセレナは今、どんな気持ちなのだろうか。

「オスカー、あのね……そのことなんだけど……」

 何か言いたそうに、もじもじとする金髪の美少女。
 
「無理に言わなくていい。夏休みに入ってからでも、ゆっくり聞かせてくれ」

「……ありがと」

 たった一日では気持ちの整理などつくはずもないか。

 特にセレナに関しては、他の誰よりも複雑な気持ちになっていることだろう。俺にできることは、彼女が隣にいやすい環境を作ってやることくらいだ。

「隣はいつでも開けておく。お前のためにな」

 俺がそう言うと、セレナは顔を伏せて――。

「ばか」

 と言った。

 前の席のクルリンがぷりぷりしていたことは割愛し、学園長の話に耳を傾ける。

『前代未聞の魔王襲来という事件もあったものの、今回は無事に夏休みに移行できるようで何より。夏休みに関して言えば、八月十三日から十五日にかけてのみ、学園からの外出を許可したいと思っているのである!』

 ――八月十五日。

 そういえば、俺の誕生日だ。

 あの〈破滅の森〉での三年間があって、すっかり意識しなくなっていた。
 十七歳になったとしても、今までと何かが大きく変わるわけでもない。せっかくだから王都の街に外出でもして、闘技場で無双しようか。

 そんなことを考えていると、夏休みが楽しみになってきた。

『さてさて、夏休み後に行われる九月初めの勇者祭に関しては、後日詳しく話したいと思っているのである。というのも、これ以上話も長くなるとみんな飽きるだろうと思うので、これぐらいにしておくのであるな』

 学園長の独特な演説スピーチが終わり、今度は生徒会の八乙女やおとめアリアが注目を浴びた。

 まずは清純で穢れのない笑顔で挨拶し、ファンを盛り上げる。

 その後は学園長と同じく、例の魔王セトの件に少し言及した。
 勿論、魔王の討伐に成功したのは途中で駆けつけた勇者パーティ――そういうことになっている。事前にしっかり話を合わせてあるようだ。

『――では、ゼルトル勇者学園の皆様、楽しい夏休みをお過ごしください』

 最後の締めもあの笑顔。

 視線は俺を向いていた。

 ほんの一瞬だけだったが、気づいていますよ、と。

 彼女の魔眼はそう語っていた。
 俺は表情を変えずに落ち着いている。これこそが俺の望むことだった。アリアは俺の実力を知った・・・のだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...