【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
45 / 105
魔王セト襲来編

その45 不吉な予感

しおりを挟む
 一学期終業式も終わり、今日はもう授業がない。
 明日から夏休みということにはなっているが、実質的には「今」から夏休みが始まったというわけだ。

 夏休みになったとしても、俺の進化は止まらない。

 一ヶ月ほどある長期休暇だが、その間にも修練を積み、さらなる高みを目指したいと思っている。魔王セトを圧倒できるほどの本物の実力・・・・・を、身につけなくてはならない。

 幸い、闘技場や本館の教室は使えるらしい。
 グレイソンからも〈闘技場ネオ〉での特訓を頼まれていた。

『俺にはやり残したことがある。まだ夏休みを始めてはならない』

 四人にはそう言って、ひとりで学園図書館に赴く俺。

 いつ見ても美しい外観だ。
 まさに本の楽園。体質的に図書館と合わないクルリンを哀れむ。

 授業を受ける必要がない夏休みには、本を読む時間がたっぷりあった。今日はその夏休みで一気読みしたい物語をたくさん借りなくてはならない。

 普段は実用的な書物ばかり読んでいるが、せっかくだから娯楽としての物語もじっくり読みたいと思っていた。

 毎日図書カウンター当番をしている如月きさらぎエリザベスにおすすめの小説を聞いてみよう。

 図書館に入り、カウンターへ向かう。
 だが――。

(……いない? エリザベスが、いない?)

 珍しいことに、エリザベスは不在だった。
 終業式はもうとっくに終わっているので、いてもおかしくないはずだが……珍しい。

 彼女にも他にやりたいことがあるだろうし、これも当然のことなのかもしれない。だが、簡単に受け入れられないほど、引っかかるものがあった。

『どうしました?』

 俺に話しかけてきたのは、たまに図書カウンターで見かける女子生徒。
 エリザベスと同じ図書委員なんだろう。

 深紅色クリムゾン短髪ベリーショートに、深緑色のキリっとした瞳。中性的な顔立ちで、男装をしても似合いそうだ。

 声は聞き取りやすく心地いい。
 俺を見て、いつもの人か、と納得しているような表情をしていた。

「エリザベスはどうした?」

「如月は……えっと、その……」

 エリザベスのことを聞かれ、顔を曇らせる。彼女に何かあったのだろうか。

「言いにくいことでもあるのか?」

「いや、そういうわけじゃないけど……」

 どうやら言いにくいことがあるらしい。
 視線をきょろきょろさせ、落ち着きがない様子を見ていればすぐにわかる。わかりやすい女だ。

「そうか、わかった」

 だが、俺は無理やり聞き出すようなことはしない。

 相手の好奇心をそそるように、さっと身をひるがえしてカウンターから遠ざかっていく。また明日、エリザベスにおすすめの小説を聞いてみよう。
 彼女にどんな事情があるのかはわからないが、俺に関係のあることでもない。

「――ちょっ、ちょっと待って後輩君!」

「後輩君?」

 俺が呼び止められて振り返るのは珍しい。
 後輩君と呼ばれたことに対し、顔をしかめる。

「如月を……助けてやって!」

「?」

「うちにはできなかった……だから、後輩君が、如月あいつを救って!」

 深緑の瞳は俺だけを見ていた。
 すがるように、神に願うように、心からの言葉を俺にかける。

 流石に無視することはできなかった。

 ――如月エリザベス。

 毎日図書カウンター当番をしている先輩。

 俺がいつも見ていたのは彼女の表の面に過ぎない。その裏にどんな苦しみがあろうとも、彼女がそれを隠す限り、俺が気づいてやることはできない。

「話を聞こう」

 ここで俺が動いていなければ、如月エリザベスの運命は悲惨なものになっていただろう。

 どうやら俺のゆったりとした夏休みはなくなってしまうようだ。










《読書パーティー編の予告》
 遂にやってきた夏休み。
 しかし、図書委員の涼風すずかぜクレアから、如月きさらぎエリザベスの抱えている、ある・・事情について相談される。

 その真相を探るべく、エリザベスと一緒に読書パーティーに参加することになったオスカー。

 彼女エリザベスを蝕む過去、そして貴族社会の闇とは!?
 オスカーはエリザベスを救うことができるのか!?

 白竜はくりゅうアレクサンダー、月城つきしろルーナ、九条くじょうガブリエルといった人気キャラも登場!

 オスカーの中二病ムーブを見逃すな!



 お気に入り登録、エール、感想もよろしくお願いします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...