【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命

文字の大きさ
45 / 103
魔王セト襲来編

その45 不吉な予感

しおりを挟む
 一学期終業式も終わり、今日はもう授業がない。
 明日から夏休みということにはなっているが、実質的には「今」から夏休みが始まったというわけだ。

 夏休みになったとしても、俺の進化は止まらない。

 一ヶ月ほどある長期休暇だが、その間にも修練を積み、さらなる高みを目指したいと思っている。魔王セトを圧倒できるほどの本物の実力・・・・・を、身につけなくてはならない。

 幸い、闘技場や本館の教室は使えるらしい。
 グレイソンからも〈闘技場ネオ〉での特訓を頼まれていた。

『俺にはやり残したことがある。まだ夏休みを始めてはならない』

 四人にはそう言って、ひとりで学園図書館に赴く俺。

 いつ見ても美しい外観だ。
 まさに本の楽園。体質的に図書館と合わないクルリンを哀れむ。

 授業を受ける必要がない夏休みには、本を読む時間がたっぷりあった。今日はその夏休みで一気読みしたい物語をたくさん借りなくてはならない。

 普段は実用的な書物ばかり読んでいるが、せっかくだから娯楽としての物語もじっくり読みたいと思っていた。

 毎日図書カウンター当番をしている如月きさらぎエリザベスにおすすめの小説を聞いてみよう。

 図書館に入り、カウンターへ向かう。
 だが――。

(……いない? エリザベスが、いない?)

 珍しいことに、エリザベスは不在だった。
 終業式はもうとっくに終わっているので、いてもおかしくないはずだが……珍しい。

 彼女にも他にやりたいことがあるだろうし、これも当然のことなのかもしれない。だが、簡単に受け入れられないほど、引っかかるものがあった。

『どうしました?』

 俺に話しかけてきたのは、たまに図書カウンターで見かける女子生徒。
 エリザベスと同じ図書委員なんだろう。

 深紅色クリムゾン短髪ベリーショートに、深緑色のキリっとした瞳。中性的な顔立ちで、男装をしても似合いそうだ。

 声は聞き取りやすく心地いい。
 俺を見て、いつもの人か、と納得しているような表情をしていた。

「エリザベスはどうした?」

「如月は……えっと、その……」

 エリザベスのことを聞かれ、顔を曇らせる。彼女に何かあったのだろうか。

「言いにくいことでもあるのか?」

「いや、そういうわけじゃないけど……」

 どうやら言いにくいことがあるらしい。
 視線をきょろきょろさせ、落ち着きがない様子を見ていればすぐにわかる。わかりやすい女だ。

「そうか、わかった」

 だが、俺は無理やり聞き出すようなことはしない。

 相手の好奇心をそそるように、さっと身をひるがえしてカウンターから遠ざかっていく。また明日、エリザベスにおすすめの小説を聞いてみよう。
 彼女にどんな事情があるのかはわからないが、俺に関係のあることでもない。

「――ちょっ、ちょっと待って後輩君!」

「後輩君?」

 俺が呼び止められて振り返るのは珍しい。
 後輩君と呼ばれたことに対し、顔をしかめる。

「如月を……助けてやって!」

「?」

「うちにはできなかった……だから、後輩君が、如月あいつを救って!」

 深緑の瞳は俺だけを見ていた。
 すがるように、神に願うように、心からの言葉を俺にかける。

 流石に無視することはできなかった。

 ――如月エリザベス。

 毎日図書カウンター当番をしている先輩。

 俺がいつも見ていたのは彼女の表の面に過ぎない。その裏にどんな苦しみがあろうとも、彼女がそれを隠す限り、俺が気づいてやることはできない。

「話を聞こう」

 ここで俺が動いていなければ、如月エリザベスの運命は悲惨なものになっていただろう。

 どうやら俺のゆったりとした夏休みはなくなってしまうようだ。










《読書パーティー編の予告》
 遂にやってきた夏休み。
 しかし、図書委員の涼風すずかぜクレアから、如月きさらぎエリザベスの抱えている、ある・・事情について相談される。

 その真相を探るべく、エリザベスと一緒に読書パーティーに参加することになったオスカー。

 彼女エリザベスを蝕む過去、そして貴族社会の闇とは!?
 オスカーはエリザベスを救うことができるのか!?

 白竜はくりゅうアレクサンダー、月城つきしろルーナ、九条くじょうガブリエルといった人気キャラも登場!

 オスカーの中二病ムーブを見逃すな!



 お気に入り登録、エール、感想もよろしくお願いします!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...