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第1話 虐げられし令嬢
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今日に至るまで、私はずっと虐げられてきた。
お父様にもお母様にも、娘として接されたことはない。
アルデンツィ家の長女であるオクタヴィア。
両親は姉のオクタヴィアを溺愛し、私はアルデンツィ家に存在しないものとして扱われてきた。
姉が両親と食事を取る間、私は自分の部屋になっている小さな武器庫で、ペットに与えられるようなちょっとした肉を貪っていた。
姉はそんな私を「下等生物」と罵った。
獣のような食生活を強制しているのはそっちの方なのに。
私の姉ならば、妹のためにこっそりご馳走の残りを運んでくるとか、妹の唯一の話し相手になるとか、もっとしてくれてもいいはずよね。
この16年間、私が救われることはなかった。
屋敷に来客があっても、両親と姉は私を武器庫から出ないようにして隠し、誰とも接触できないようにした。
私はひとりだった。
話し相手もいない。
教えを乞う相手もいない。
だから武器庫に置いてあった書物と武器だけが、私の支えだった。
本を読んで言葉を学び、武器を手に取って独学で剣術を身につけた。10年以上剣術の訓練に明け暮れている私の実力は、もしかしたら周囲にも通用するのかもしれないわね。
まあ、外に出られない私にとって、そんなことは確かめようがないのだけれど。
この10年間はずっと復讐のことだけを考えた。
私はいつかこの武器庫を出て、この屋敷を飛び出し、自由に王国を歩き回る。
その前に両親と姉を全員殺して、私を縛り傷つける存在を抹消するのは当然のこと。
そんなある日、16歳の私に、ある転機が訪れた。
『その強烈な復讐心、力への渇望。もう復讐の器は満たされました。エリザベス・アルデンツィ、貴方こそ、わたくしの眷族にふさわしい』
毎日神に祈っていたのが良かったのかもしれない。
気づけば私にはある能力が備わっていたの。
『使えるのは1日に一度だけです。復讐のためだけに使いなさい。1分間だけですが、世界から貴方の記憶を消すことができます』
「それは……その1分間の間、私が何をしたとしても、お咎めなしということでしょうか?」
『その通りです。そしてその能力は、強烈な復讐心の高まりと共に発動します』
実体の見えない女神様と言葉を交わす。
声の主はきっと復讐の女神様だわ。
私の何年もの祈りが、ようやく実を結んだのね。
きっと今、私の表情は最高に生き生きしているに違いない。やっと復讐ができる。やっと両親を、やっと姉を、殺せるんだわ。
「私の秘密を教えましょう、女神様」
人生で初めて笑みを浮かべ、天に向かって語りかける。
「――私の復讐心は常に最高潮です」
お父様にもお母様にも、娘として接されたことはない。
アルデンツィ家の長女であるオクタヴィア。
両親は姉のオクタヴィアを溺愛し、私はアルデンツィ家に存在しないものとして扱われてきた。
姉が両親と食事を取る間、私は自分の部屋になっている小さな武器庫で、ペットに与えられるようなちょっとした肉を貪っていた。
姉はそんな私を「下等生物」と罵った。
獣のような食生活を強制しているのはそっちの方なのに。
私の姉ならば、妹のためにこっそりご馳走の残りを運んでくるとか、妹の唯一の話し相手になるとか、もっとしてくれてもいいはずよね。
この16年間、私が救われることはなかった。
屋敷に来客があっても、両親と姉は私を武器庫から出ないようにして隠し、誰とも接触できないようにした。
私はひとりだった。
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教えを乞う相手もいない。
だから武器庫に置いてあった書物と武器だけが、私の支えだった。
本を読んで言葉を学び、武器を手に取って独学で剣術を身につけた。10年以上剣術の訓練に明け暮れている私の実力は、もしかしたら周囲にも通用するのかもしれないわね。
まあ、外に出られない私にとって、そんなことは確かめようがないのだけれど。
この10年間はずっと復讐のことだけを考えた。
私はいつかこの武器庫を出て、この屋敷を飛び出し、自由に王国を歩き回る。
その前に両親と姉を全員殺して、私を縛り傷つける存在を抹消するのは当然のこと。
そんなある日、16歳の私に、ある転機が訪れた。
『その強烈な復讐心、力への渇望。もう復讐の器は満たされました。エリザベス・アルデンツィ、貴方こそ、わたくしの眷族にふさわしい』
毎日神に祈っていたのが良かったのかもしれない。
気づけば私にはある能力が備わっていたの。
『使えるのは1日に一度だけです。復讐のためだけに使いなさい。1分間だけですが、世界から貴方の記憶を消すことができます』
「それは……その1分間の間、私が何をしたとしても、お咎めなしということでしょうか?」
『その通りです。そしてその能力は、強烈な復讐心の高まりと共に発動します』
実体の見えない女神様と言葉を交わす。
声の主はきっと復讐の女神様だわ。
私の何年もの祈りが、ようやく実を結んだのね。
きっと今、私の表情は最高に生き生きしているに違いない。やっと復讐ができる。やっと両親を、やっと姉を、殺せるんだわ。
「私の秘密を教えましょう、女神様」
人生で初めて笑みを浮かべ、天に向かって語りかける。
「――私の復讐心は常に最高潮です」
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