【完結】虐げられし令嬢リジーは1分間の復讐をする。

エース皇命

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第2話 復讐の序章

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 この能力があれば、私がどんなに残虐な行為――殺人――をしたとしても、記憶を消してしまえるのでその後も自由に生きられる。

 復讐後の不自由だけが足枷あしかせだった私にとって、この能力はまさに理想のスキルね。

 とはいっても、まだ自分の実力が確かめられていない以上、迂闊な行動は慎むべき。

 そう感じた私は、すぐに武器庫の扉を蹴り飛ばし、多くの召使いや護衛のいる屋敷に向かった。

「お嬢様、屋敷への立ち入りは禁止されております」

 私が暮らす武器庫から歩いて1分ほどのところに、アルデンツィ家の屋敷がある。

 武器庫はほぼ部外者である私を隔離するため、少し遠くに作られた。
 アルデンツィ家の領地内ではあるけれど、とても人間の住めるようなところではないことだけは確かね。

 屋敷の門番は軽蔑するような瞳を私に向けると、長い槍を構えた。

「お嬢様なんて言いながら、私は護衛対象ではないのね」

「旦那様から、エリザベス様は絶対に屋敷に入れるなと言われておりますので」

「その理由を聞いてもいいかしら?」

「理由もクソもあるか。入ってくるなと言っているんだ、呪われため」

 いきなり口調を変え、きつく睨んでくる門番の男。

 ――呪われた

 私がこうして虐げられてきたのは、単に長女である姉が溺愛されているからではない。

 神託のお告げで、次女である私には重い呪いが降りかかることになっていたらしい。
 一族を破滅に追いやる危険性があると言われたとか。

 皮肉なことね。

 呪いを恐れて私に愛を注がなかったことが、一族を破滅に追いやるきっかけになったのだから。

「そうね。ここで門番をしているのはあなただけみたいだし、試してみてもいいわよね」

「何のことだ?」

 門番の男は体格がよく、それでいて背も高かった。
 肉弾戦では勝ち目がないことはわかっている。

 だから――。

「貧弱な小娘が剣なんか抜いて、何になる?」

 私は剣を抜いた。

 武器庫で1番使い心地のいい剣。
 長年愛用している、私の相棒。

 門番の男はそんな私を見てわらった。当然、私の実力を侮っているようね。

 十分だわ。

 この男は、私が殺す人間その1ということにしましょうか。

【スキル『1分間の復讐』:カウント開始】

 今から1分間、私はどんな罪を犯しても世界に見つかることはない。復讐の女神いわく、私が疑われることもないらしい。

「練習相手になって頂戴ちょうだい

「は?」

 低い角度から剣を突き出す。

 貴族の屋敷を護衛しているだけはあるのか、門番は私の速度に反応して槍で受け止めた。

「俺に勝てるとでも思ってるのか?」

「ええ、まだまだ序の口だもの」

 手首をひねり、受け止める槍の向きをずらす。
 そのまま急激に間合いを詰めて――。

「門番は大したことないみたいね」

「そんな……馬鹿な……あの速度は……」

「それか、私が強くなりすぎたのか」

 静かに吐血する門番は、私の目の前で崩れ落ちた。
 あっけに取られた表情のまま、心の底から私を恐れているような目をして。

 ……これが、復讐。

 そしてこれが、人を殺すということ。

 最高ね。

 早く両親と姉を殺したくてしかたないわ。
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