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第4話 両親への復讐
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姉を殺した翌日、驚いたことに両親から私のもとにやってきた。
「エリザベス、来なさい」
「今日はお見合いなのよ。そんな汚らしい格好で、気に入られると思っているの?」
最初は状況が理解できなかった。
でも、少しすると、ある仮説が私の頭を駆け巡った。
姉の存在がこの世界から消えてしまったということは、この私がアルデンツィ家の長女ということになる。
つまりそれは――。
「お前のような呪われた娘でも、興味があると言ってくれたんだ。早く着替えなさい」
「その顔は何? お父様の言うことが聞けないの?」
たとえ姉がいなかったとしても、私が長女だったとしても、両親からの呪われた娘としての扱いは変わらない。
少しだけ期待した私が馬鹿だったわ。
まあ、仮に両親の態度がよかったとしても、殺すのは確定事項なのだけれど。
「お父様、お母様、今日は改めて、いつもの感謝を言わせていただきたいと思います」
両親が怪訝な表情で私を見る。
姉と同様、私に感謝される覚えはないらしい。
親として失格ね。私の知っている親はこの二人だけだから……もしかしたらどの家庭の親もこういう感じなのかもしれないけれど。
私が世間を知らないのも、住んでいる街について知らないのも、全部この二人のせい。
「ずっとこの日を夢見ていました」
「そうか。お前のような呪われに縁談なんて、夢の話だろうからな」
「いえ、そのことではありません、お父様。私にとって今日は、復讐の日です」
そう言って、剣を抜く。
朝日を反射し、刃が鋭く光った。
もうすぐこれで、両親の体と魂を切れるのね。楽しみでしかたないわ。
【スキル『1分間の復讐』:カウント開始】
「何のつもりだ? セバスチャン、護衛を」
父が執事のセバスチャンを前に配置する。
セバスチャンは優秀な執事だ。
執事でありながらも、普通の護衛よりずっと強い。セバスチャンと王国騎士団長が中庭で訓練していた様子を見たことがあるからわかる。
――だとしても、私には敵わないけれど。
いつものスピードで剣を振る。
さすがのセバスチャンは私の速度に対応してきた。
きっと私よりもずっと長い間、剣術の腕を磨き続けたのね。私の剣の腕も相当だと自惚れていたけれど、まだまだだわ。
――でも、私には復讐時の補正があった。
グンと上がったパワーで、セバスチャンを後退させる。そしてそのまま――。
「ごめんなさい、セバスチャン。あなただけは、私に敵意を向けてこなかったのに……」
セバスチャンは優秀な執事だった。
だからこそ、自分の感情は出さず、主人の命令に忠実だった。
私を差別したり、蔑むような目で睨んできたことはないし、セバスチャンに直接酷いことをされたこともない。
この屋敷の中で、1番が殺したくない相手がいるとするなら、それはセバスチャンだった。
「優秀なセバスチャンは死にました。次は誰の番か、わかってますよね?」
「エリザベス……」
「ぎゃぁぁぁあああ!」
父が言葉を失い、母が発狂する。
私の復讐心は二人の顔を見れば見るほど高まっていく。
そして、両親は無様に、私に全身を切断された。
最初は腕。その次に脚。そして胴体。最後に首。
一瞬の出来事だったけれど、少しずつ体の一部を失っていく両親の様子は、見ていてとても気持ちがよかったわ。
私はついに、やり遂げたのね。
【スキル『1分間の復讐』:カウント終了】
スキルの発動が終わると、両親の死体は塵となって消えていった。世界から存在が抹消されたということらしい。
「お嬢様、そちらにいらっしゃいましたか」
しばらく武器庫の前で立ち尽くしていると、焦った様子の執事が駆けつけてきた。
彼もまた、これまで私に敵意を向けてきたことはない。
「クリント、どうしたの? 何かあった?」
「いえ、お嬢様を見失いましたので、しばらくさがしていたのですが……武器庫で何をされていたのですか?」
「……なんでもないの。気にしないで頂戴」
「では、屋敷に戻られますか?」
「そうね。そうさせてもらうわ」
***
そうして私は、ようやく真の自由を手に入れた。
両親と姉への復讐を果たして1ヶ月ほどたつけれど、あれ以来一度も復讐のスキルを使ってない。
自分の都合のいいようにあの能力を使うのは間違っていると思う。
だから私は、スキルを封印した。
「クリント、今日もまた街に出かけるわよ」
「エリザベス様は本当に外出がお好きですね」
アフタヌーンティーを嗜みながら、執事のクリントと会話する。
今の私はアルデンツィ家の主。
話し相手にはクリントがいる。
他の執事やメイドもいる。
好きな時に外出ができるし、王国はとっても素敵なものがいっぱい。あれから毎日が新鮮で、幸せだった。
でも、もし。
また私を虐げるような者が現れれば――。
――もちろん、容赦するつもりなんてないわ。
「エリザベス、来なさい」
「今日はお見合いなのよ。そんな汚らしい格好で、気に入られると思っているの?」
最初は状況が理解できなかった。
でも、少しすると、ある仮説が私の頭を駆け巡った。
姉の存在がこの世界から消えてしまったということは、この私がアルデンツィ家の長女ということになる。
つまりそれは――。
「お前のような呪われた娘でも、興味があると言ってくれたんだ。早く着替えなさい」
「その顔は何? お父様の言うことが聞けないの?」
たとえ姉がいなかったとしても、私が長女だったとしても、両親からの呪われた娘としての扱いは変わらない。
少しだけ期待した私が馬鹿だったわ。
まあ、仮に両親の態度がよかったとしても、殺すのは確定事項なのだけれど。
「お父様、お母様、今日は改めて、いつもの感謝を言わせていただきたいと思います」
両親が怪訝な表情で私を見る。
姉と同様、私に感謝される覚えはないらしい。
親として失格ね。私の知っている親はこの二人だけだから……もしかしたらどの家庭の親もこういう感じなのかもしれないけれど。
私が世間を知らないのも、住んでいる街について知らないのも、全部この二人のせい。
「ずっとこの日を夢見ていました」
「そうか。お前のような呪われに縁談なんて、夢の話だろうからな」
「いえ、そのことではありません、お父様。私にとって今日は、復讐の日です」
そう言って、剣を抜く。
朝日を反射し、刃が鋭く光った。
もうすぐこれで、両親の体と魂を切れるのね。楽しみでしかたないわ。
【スキル『1分間の復讐』:カウント開始】
「何のつもりだ? セバスチャン、護衛を」
父が執事のセバスチャンを前に配置する。
セバスチャンは優秀な執事だ。
執事でありながらも、普通の護衛よりずっと強い。セバスチャンと王国騎士団長が中庭で訓練していた様子を見たことがあるからわかる。
――だとしても、私には敵わないけれど。
いつものスピードで剣を振る。
さすがのセバスチャンは私の速度に対応してきた。
きっと私よりもずっと長い間、剣術の腕を磨き続けたのね。私の剣の腕も相当だと自惚れていたけれど、まだまだだわ。
――でも、私には復讐時の補正があった。
グンと上がったパワーで、セバスチャンを後退させる。そしてそのまま――。
「ごめんなさい、セバスチャン。あなただけは、私に敵意を向けてこなかったのに……」
セバスチャンは優秀な執事だった。
だからこそ、自分の感情は出さず、主人の命令に忠実だった。
私を差別したり、蔑むような目で睨んできたことはないし、セバスチャンに直接酷いことをされたこともない。
この屋敷の中で、1番が殺したくない相手がいるとするなら、それはセバスチャンだった。
「優秀なセバスチャンは死にました。次は誰の番か、わかってますよね?」
「エリザベス……」
「ぎゃぁぁぁあああ!」
父が言葉を失い、母が発狂する。
私の復讐心は二人の顔を見れば見るほど高まっていく。
そして、両親は無様に、私に全身を切断された。
最初は腕。その次に脚。そして胴体。最後に首。
一瞬の出来事だったけれど、少しずつ体の一部を失っていく両親の様子は、見ていてとても気持ちがよかったわ。
私はついに、やり遂げたのね。
【スキル『1分間の復讐』:カウント終了】
スキルの発動が終わると、両親の死体は塵となって消えていった。世界から存在が抹消されたということらしい。
「お嬢様、そちらにいらっしゃいましたか」
しばらく武器庫の前で立ち尽くしていると、焦った様子の執事が駆けつけてきた。
彼もまた、これまで私に敵意を向けてきたことはない。
「クリント、どうしたの? 何かあった?」
「いえ、お嬢様を見失いましたので、しばらくさがしていたのですが……武器庫で何をされていたのですか?」
「……なんでもないの。気にしないで頂戴」
「では、屋敷に戻られますか?」
「そうね。そうさせてもらうわ」
***
そうして私は、ようやく真の自由を手に入れた。
両親と姉への復讐を果たして1ヶ月ほどたつけれど、あれ以来一度も復讐のスキルを使ってない。
自分の都合のいいようにあの能力を使うのは間違っていると思う。
だから私は、スキルを封印した。
「クリント、今日もまた街に出かけるわよ」
「エリザベス様は本当に外出がお好きですね」
アフタヌーンティーを嗜みながら、執事のクリントと会話する。
今の私はアルデンツィ家の主。
話し相手にはクリントがいる。
他の執事やメイドもいる。
好きな時に外出ができるし、王国はとっても素敵なものがいっぱい。あれから毎日が新鮮で、幸せだった。
でも、もし。
また私を虐げるような者が現れれば――。
――もちろん、容赦するつもりなんてないわ。
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