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ダンジョン遠征編
第145話 スパルタ教官に本当の地獄を体験させられる美少女たち
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11月4日月曜日。
今日は祝日なので学校は休みだ。
「久しぶりに外に出た気分はどうだ?」
「人が多いですね」
あの面会から2日。
監禁室からは出ることができた岡だったが、こうして西園寺リバーサイドの外に出るのは久しぶりのはず。
それなのに、反応はいまいちだ。
普段のポーカーフェイスは変わらない。
俺と岡が肩を並べて歩くのは初めてだ。休日に誰かと遊びにいくなんてことはほとんどないから、なんだか新鮮だな。その相手が岡なのが問題だが。
「もう少し僕を信用してくださってもいいような気がしますが」
「悪いが、今回の任務で岡はただの囮だ」
「僕は前回の白桃さん暗殺任務に失敗しました。その時点で、暗殺者としての岡虎之介は死んだも同然です」
「少なくとも、社長はその言葉を信用してるらしい」
「そのようですね」
岡の左腕にはGPS付きのブレスレットがはめてある。
万が一彼が逃げ出したとしても、こちらからはすぐに位置が把握できるというわけだ。
だが、おそらく彼が逃げ出すことはないだろう。
隣にはSランク冒険者である俺がいるからだ。Bランクの岡が俺から逃げ切れるはずがない。本人もそれはよく理解しているはず。
岡の歩くスピードに合わせて、周囲を警戒しながら街を歩く。
いつ暗殺者から攻撃が飛んでくるかわからない。
こんな街中で暗殺に挑むほどアホな連中でもないのかもしれないが、警戒を解くつもりはなかった。
『【アサシン】の拠点はすぐに変わります。誰かが捕まるか死ぬかすれば、居場所が特定されるのを防ぐために拠点を移す、ということです』
面会時の岡の言葉を思い出す。
『僕が【ウルフパック】に拘束されたことによって、間違いなく拠点は変わりました。かつての拠点に案内したところで、痕跡すら見つからないでしょうね』
なんとなく予想はしていたが、【アサシン】も一筋縄ではいかないようだ。
『それに、【アサシン】の掟により、敵に捕まりながらも生き残った僕は殺されることになっています。外に出れば、新しく派遣された暗殺者が僕を殺しにくるでしょう』
『それなら、その掟を逆に利用するのはどうだ?』
『言うと思いましたよ』
そこで、岡を囮にして拠点を導き出すという作戦を思いつく。
岡を殺そうと近づいてきた暗殺者を捕獲し、現在の拠点を聞き出す。
『今では捕まったら自分で頭を吹き飛ばすというのが暗黙の了解になっています。僕の脳内に埋め込まれていたチップは、機能を失っていたようですが』
ゼロナと暗殺者の相手をした時にも、同じようにして情報を聞き出そうとした。
だが結局、すぐにその暗殺者の頭が吹き飛んだ。
ちなみに、岡を捕獲してすぐ、彼の脳内に埋め込まれていた自爆チップを【ウルフパック】所属の研究者が取り除いたそうだが、すでに効力は失われていたとのこと。ヴェルウェザーが完全に岡を解放したということだ。
ヤツのすることはよくわからない。ただ、人の命をなんとも思ってないことだけはわかる。
『だったら、上手く誘導して拠点に案内してもらうしかなさそうだな』
というわけで、今回の任務は敵の追跡だ。
まずは交戦し、ほどよく弱らせ、そのまま拠点に逃げ帰るところをこっそりつける。
「そういえば、白桃さんは元気ですか?」
小道に入った。
岡が案内しているのは、かつて拠点があった場所だ。特に期待はしていないが、何か手掛かりが見つかることもあるかもしれない。
「お前が殺そうとした俺の彼女なら、Bランクに昇格して元気いっぱいだ」
「そうですか……僕と戦った時、白桃さんは本当にCランクだったようですね」
「成長が早いらしい」
「なるほど。確か、白桃さんは黒瀬さんの直属の部下でしたよね?」
岡の問いに頷きで返す。
「弟子は師匠に似る、ということですか」
***
西園寺リバーサイドの地下にある冒険者訓練所。
地下15階の地獄で、3人の美少女が2人のSランク冒険者からスパルタ指導を受けていた。
このスパルタ指導が始まってから今日で2日目だが、もう3人の体はボロボロだ。
あちこちに切り傷ができては、近くで控えている治癒師から治療を受けて回復。そしてまた生まれる切り傷に刺し傷。
このループが繰り返される。
「弱い。この程度の力で冒険者を名乗るな」
3人をたったひとりで苦しめているのは、背が高い長髪の男。
糸目が特徴的な一ノ瀬信長だ。
もうひとりの教官である山口は、椅子に腰掛けて娯楽を楽しむかのように訓練の様子を眺めている。
「一ノ瀬君、淑女の心は繊細なんだ。そんなこと言うと訴えられるよ」
「貴様はもっと働け」
「僕は西園寺さんの代わりに会議に出席したんだ。本当は才斗の文化祭に行きたかったのにね。ということで、西園寺さんに課せられた任務、僕はしばらくサボることにするよ」
山口の楽観的な態度に、苛立つ一ノ瀬。
ちょうど対戦していた白桃と佐藤を弾き飛ばすと(椎名は部屋の端で回復中)、そのまま剣を山口に投げつけた。
「うわっ、危なっ!」
矢のように直線的に飛んでくる剣。
白桃たちでは目視できないほどのスピードだが、山口はさらっとかわし、余裕の表情で文句を言った。
「こ、この人たち、ほんとに人間なわけ!?」
佐藤が喚く。
それに対し、白桃は何かを悟っていた。
「これが本当の地獄なんですね……」
今日は祝日なので学校は休みだ。
「久しぶりに外に出た気分はどうだ?」
「人が多いですね」
あの面会から2日。
監禁室からは出ることができた岡だったが、こうして西園寺リバーサイドの外に出るのは久しぶりのはず。
それなのに、反応はいまいちだ。
普段のポーカーフェイスは変わらない。
俺と岡が肩を並べて歩くのは初めてだ。休日に誰かと遊びにいくなんてことはほとんどないから、なんだか新鮮だな。その相手が岡なのが問題だが。
「もう少し僕を信用してくださってもいいような気がしますが」
「悪いが、今回の任務で岡はただの囮だ」
「僕は前回の白桃さん暗殺任務に失敗しました。その時点で、暗殺者としての岡虎之介は死んだも同然です」
「少なくとも、社長はその言葉を信用してるらしい」
「そのようですね」
岡の左腕にはGPS付きのブレスレットがはめてある。
万が一彼が逃げ出したとしても、こちらからはすぐに位置が把握できるというわけだ。
だが、おそらく彼が逃げ出すことはないだろう。
隣にはSランク冒険者である俺がいるからだ。Bランクの岡が俺から逃げ切れるはずがない。本人もそれはよく理解しているはず。
岡の歩くスピードに合わせて、周囲を警戒しながら街を歩く。
いつ暗殺者から攻撃が飛んでくるかわからない。
こんな街中で暗殺に挑むほどアホな連中でもないのかもしれないが、警戒を解くつもりはなかった。
『【アサシン】の拠点はすぐに変わります。誰かが捕まるか死ぬかすれば、居場所が特定されるのを防ぐために拠点を移す、ということです』
面会時の岡の言葉を思い出す。
『僕が【ウルフパック】に拘束されたことによって、間違いなく拠点は変わりました。かつての拠点に案内したところで、痕跡すら見つからないでしょうね』
なんとなく予想はしていたが、【アサシン】も一筋縄ではいかないようだ。
『それに、【アサシン】の掟により、敵に捕まりながらも生き残った僕は殺されることになっています。外に出れば、新しく派遣された暗殺者が僕を殺しにくるでしょう』
『それなら、その掟を逆に利用するのはどうだ?』
『言うと思いましたよ』
そこで、岡を囮にして拠点を導き出すという作戦を思いつく。
岡を殺そうと近づいてきた暗殺者を捕獲し、現在の拠点を聞き出す。
『今では捕まったら自分で頭を吹き飛ばすというのが暗黙の了解になっています。僕の脳内に埋め込まれていたチップは、機能を失っていたようですが』
ゼロナと暗殺者の相手をした時にも、同じようにして情報を聞き出そうとした。
だが結局、すぐにその暗殺者の頭が吹き飛んだ。
ちなみに、岡を捕獲してすぐ、彼の脳内に埋め込まれていた自爆チップを【ウルフパック】所属の研究者が取り除いたそうだが、すでに効力は失われていたとのこと。ヴェルウェザーが完全に岡を解放したということだ。
ヤツのすることはよくわからない。ただ、人の命をなんとも思ってないことだけはわかる。
『だったら、上手く誘導して拠点に案内してもらうしかなさそうだな』
というわけで、今回の任務は敵の追跡だ。
まずは交戦し、ほどよく弱らせ、そのまま拠点に逃げ帰るところをこっそりつける。
「そういえば、白桃さんは元気ですか?」
小道に入った。
岡が案内しているのは、かつて拠点があった場所だ。特に期待はしていないが、何か手掛かりが見つかることもあるかもしれない。
「お前が殺そうとした俺の彼女なら、Bランクに昇格して元気いっぱいだ」
「そうですか……僕と戦った時、白桃さんは本当にCランクだったようですね」
「成長が早いらしい」
「なるほど。確か、白桃さんは黒瀬さんの直属の部下でしたよね?」
岡の問いに頷きで返す。
「弟子は師匠に似る、ということですか」
***
西園寺リバーサイドの地下にある冒険者訓練所。
地下15階の地獄で、3人の美少女が2人のSランク冒険者からスパルタ指導を受けていた。
このスパルタ指導が始まってから今日で2日目だが、もう3人の体はボロボロだ。
あちこちに切り傷ができては、近くで控えている治癒師から治療を受けて回復。そしてまた生まれる切り傷に刺し傷。
このループが繰り返される。
「弱い。この程度の力で冒険者を名乗るな」
3人をたったひとりで苦しめているのは、背が高い長髪の男。
糸目が特徴的な一ノ瀬信長だ。
もうひとりの教官である山口は、椅子に腰掛けて娯楽を楽しむかのように訓練の様子を眺めている。
「一ノ瀬君、淑女の心は繊細なんだ。そんなこと言うと訴えられるよ」
「貴様はもっと働け」
「僕は西園寺さんの代わりに会議に出席したんだ。本当は才斗の文化祭に行きたかったのにね。ということで、西園寺さんに課せられた任務、僕はしばらくサボることにするよ」
山口の楽観的な態度に、苛立つ一ノ瀬。
ちょうど対戦していた白桃と佐藤を弾き飛ばすと(椎名は部屋の端で回復中)、そのまま剣を山口に投げつけた。
「うわっ、危なっ!」
矢のように直線的に飛んでくる剣。
白桃たちでは目視できないほどのスピードだが、山口はさらっとかわし、余裕の表情で文句を言った。
「こ、この人たち、ほんとに人間なわけ!?」
佐藤が喚く。
それに対し、白桃は何かを悟っていた。
「これが本当の地獄なんですね……」
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