御曹司と地下アイドル〜一線を越えた夜〜

桐嶋いろは

文字の大きさ
43 / 48
許されない二人

しおりを挟む

そう言って抵抗する隙も与えぬまま、強引に奪った唇。

息ができないくらいに舌を絡ませて、背中からお尻太ももに触れた手が胸元に触れる。

丁寧で優しくする拓也とは違う。

女を本気で落としにくるキス。

体全体を押さえ込まれて、胸を弄ぶ。
それは、激しく快楽を伴った。

抵抗しなければいけないのに、そのまま続けて欲しいと思った自分が恐ろしい。

必死で拓也の姿を思い浮かべる・・・

だけれど、あの女の人のお腹の中に拓也の赤ちゃんがいる。
もう、二度と拓也に触れることも許されない。

でも、拓也に愛された思い出ばかりが蘇る。

ようやくキスから解放された時、私は信雪くんを突き飛ばした。
例え失恋で弱っていても、簡単に乗り換えることのできる女ではないと自分に言い聞かせたかったから。

無論、鍛えられている彼は私が押してもびくともせずに、ベーっと舌を出した。

「こういうのを期待して俺のところに来たんでしょ?」

(ムカつく・・・)

「もう、帰る」

荷物を持とうとした私の手を引いて、後ろから優しく抱きしめて、拓也が私に向けるような優しい眼差しで見つめた。

もう拓也と出会うことが許されないのならば、このまま信雪くんと幸せになるのもいいのかもしれない。

「ごめん・・・ついついかわいくて・・・それに俺こんなに頑張って作ったんだから残さず食べてよ・・・」


そう言われると、帰り辛くなってしまう。
貧乏性だから、食べ物を残して帰るのは自分を許せない。


その後私は、だいぶ飲んでしまったようで足元がフラフラした。
天井が回転する感覚を初めて味わったのだ。



とてつもなく酔っぱらった私を母のお店まで送ってくれたが、「もう、こんなに酔っ払って~~。今お店忙しくて相手にできないから。」と母は回答した。

「わかった。俺が飲ませすぎちゃったわ・・・責任持って送ってくる。」

「これ奏のアパートの住所。」

「おいおい、変なことすんなよ」と信雪くんは男性のお客さんに冷やかされている。

そんなやりとりをしているのは聞こえてくるのに、体が動かなかった。

タクシーに放り込まれて、おぼつかない手で部屋の鍵を開ける。

そのままベッドにダイブして、天井がぐるぐると回って体が熱くなった。

今思えば、まともに日本酒など飲んだことがないのにあまりの口当たりの良さと美味しさについつい飲みすぎてしまったのだ。

ビールやワインでは一向に酔わなかった私も、日本酒の免疫はなかったようだ。

余計に、泣き疲れているからか睡魔が襲う。

そのまま私は、眠りなれたシングルの布団の感触に安心したのかすやすやと眠りについた。






翌朝目覚めると、冬の朝のシングルの布団のはずなのにやけに狭苦しく暑い。

私は、スーツを脱いでおりブラージャーの上にレースのキャミソールを着て、パンツは履いているが、
布団の周りには脱ぎ捨てられたスーツとYシャツに、ストッキングがおぞましく散らばっている。


(昨日の夜・・・何があったの・・・・嘘でしょ・・・・)

飛び起きると、私は頭を抑える。
頭痛と吐き気で気分も悪い。


布団を深く被った男の黒髪が見えたため見なかったことにして布団をかぶせた。

すやすやと寝息を立てていて、上半身は服をきていない。

(これは確実にやっちゃった・・・ね・・・)


頭の中を整理すればどう考えても、信雪くん以外に考えられないのだ。

大きくため息をつくと、その男がモゾモゾと動き出す。

意を決して布団をあげると、寝ぼけ眼で「おはよう・・・大丈夫?」とその男は言った。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! *全28話完結 *辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 *他誌にも掲載中です。

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

処理中です...