強面な騎士様は異世界から来た少女にぞっこんです

島崎 桜

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18話 出撃準備

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サトミが筋肉質な男に担がれて、もう一人の男と共に路地の向こうへ消えていく。

「ライザ、もういい。目的は済んだ。いくぞ」
「かしこまりました。トマス様」
「おい待て!」

女はひらりとコートを翻すと、そのまま二人の後を追いかけていく、俺も慌てて走り出したが、三人組はサトミを幌馬車の荷台におしこむと颯爽と逃げ出していった。人間の足では馬にはかなわない。俺は遠くに過ぎ去っていく馬車を睨みつける。......なんのための護衛だ、サトミを守ることができなかった。ふつふつと込み上げる怒りと、自責の念。……このままで済むと思うな、覚えておけ。

俺はサトミが落として行った箱のホコリを払い、そっと懐にしまう。外装はボロボロになってしまったが、中身は無事なようだ。......待っててくれサトミ。すぐに助けにいくから。どうか無事でいてくれ。


「サトミが拐われた!?」
「すまない、俺がついていながら」

俺はすぐに本部に戻ると、ヨハンにことのあらましを説明した。

「黒のロングコート……間違いねぇ、ミラ教会の連中だ。白昼堂々なんてことしやがる……おい、すぐにレオさんに報告に行くぞ。ルイス、お前も来い」
「ああ」


「失礼します!」
「どうしたんですか、騒がしい」
「……実は」

レオ副団長は副団長室におり、観葉植物に霧吹きで水を与えていたが、俺たちの慌てた様子を見るなり、真面目な顔つきになって椅子に座り直した。俺はサトミが連れ去られたことを副団長にも話す。

「なるほど。今までは大した悪事も働いていないから多めに見ていましたが……今回ばかりは我慢の限界だ。これでようやく目の上のたんこぶを堂々と叩き潰す口実ができた」

レオ副団長は途端に悪い表情を浮かべると、クックックと喉の奥から低く、冷たい笑い声を出してカチャリとメガネをかけなおした。

「レオさん、出撃命令を」
「いいでしょう。動ける兵隊をありったけ連れて行きなさい。小汚いネズミどもに格の違いというものを思い知らせてやれ」
「「はい」」

マーガレットにも声をかけ、庭に二番隊と四番隊と七番隊の平兵士を集める。すると、噂を聞きつけたアイシャとララが心配そうな顔をして建物から出てきた。

「サトミ、誘拐されちゃったの?」
「……ごめんな。でも大丈夫、必ず無傷で連れ戻す」
「ルイス隊長……サトミのこと、お願いします」
「ああ、任せておけ」

二人が丁寧に頭を下げる。その言葉に対し、俺は安心しろと言わんばかりにしっかりと頷いた。

「お前ら! 今からミラ教会の根城に乗り込む! 一人残らずしょっぴけ! 俺らに楯突いたこと後悔させてやる!」
「「「「はい!」」」」

ヨハンの号令を皮切りに隊長が先陣を切って、一斉に大勢の兵士が門の外に飛び出した。これだけの人数がいれば負けることはないだろう。

「大事にされてるのね、サトミちゃん」
「……大事だよ、そして、大切な俺たちの仲間だ」
「俺、たち?」

自分にとってではなくて? と、マーガレットがクスクスと笑った。

「サトミは騎士団の一員だ。だから助ける、それだけのこと」
「そうね。私もサトミちゃんのこと大好きだもの、ちっちゃくて可愛いし」

まさか、マーガレットも俺がサトミに惚れていることに気がついているのか。いや、そんなことどうでもいい。とにかく今はサトミを救出することだけを考えよう。
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