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1章
第1話 再び目覚めし者
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薄暗い空間の中で、まどろみから目を覚ましたアラタは、ゆっくりとまぶたを開いた。
乾いた石の匂い、冷たい空気。目に飛び込んできたのは、無機質で古めかしい石造りの天井だった。
「……?」
上半身を起こすと、ざらついた石の床と、苔むした灰色の壁が視界に広がった。自分が寝かされていたのは、中央に設置された台座のような石の上だった。
「これは……まさか、転生……?」
驚愕と困惑が入り混じる中、アラタは咄嗟に前世でもっとも多用した言葉を口にする。
「ステータスオープン!」
ピン、と空間が震えたかのような感覚の後、目の前に透き通った蒼い光のパネルが浮かび上がる。
⸻
小佐々 新(こざさ あらた) Lv.999
HP:536,500 / 956,500
MP:936,500 / 1,553,000
スキル一覧(抜粋)
・救世帝の覇気
・魔力解放
・剣聖
・異界召喚(NEW)
⸻
「……異界召喚? 聞いたことのないスキルが増えておる……」
馴染みあるインターフェース、使い慣れたステータス画面。だが、そこに一つだけ見知らぬスキルが混じっていた。
新しいスキルが気にならないわけではない。しかし、まず目についたのはHPとMPの大幅な減少。そして、かつての筋力が少し失われている感覚。
「ふむ……だが、レベルは変わっておらんし、スキルも健在。よし……」
胸を撫で下ろし、ふっと小さく笑う。転生後に身についた「まずはステータス確認」という癖に、少しだけ自嘲気味の笑みが漏れる。
アラタは周囲を見渡した。石の壁、石の床。整然と組まれたその空間は、神殿か、儀式の場のようでもある。静けさの中に、不思議な荘厳さが漂っていた。
すると――
タタタッ……
誰かの足音が、石の通路を駆けてくる。音は、壁の切れ目――扉のような出入り口から聞こえてくる。
アラタは咄嗟に魔力を練り始めた。緊張で胃の奥が重くなる。
(どうか……この世界でも、わしの力が通用しますように――)
心の中で静かに祈りながら、足音の主を待つ。
⸻
「――あっ! やっぱり! 久しぶりに英雄の間に人がいる!」
顔を覗かせたのは、無垢な少女だった。年の頃は十五、六。艶のある黒髪が肩で揃えられており、瞳には好奇心が宿っている。
「こんにちは、お嬢さん。ここはどこかね? 気付いたらここにおってのう。もし差し支えなければ教えてもらえるかな?」
アラタが落ち着いた口調で尋ねると、少女はぱっと笑顔を浮かべ、自信たっぷりに答えた。
「こんにちは、英雄様! ここはジパングだよ! あなた、どこかから来たんでしょ? ここはね、日本人が送られてくる場所なの!」
「……日本人、じゃと?」
驚愕のあまり、思わず腰が抜けそうになる。懐かしい響きが胸に突き刺さった。
「日本……!? まさか、戻ってきたのか……!?」
思い出が一気に溢れ、目頭が熱くなる。死を迎えた先に待っていたのは、かつての故郷……その可能性に、胸が震えた。
だが――
「ん~、喜ばせてごめんね。正確に言うと“日本人が集まる”だけで、この国が日本ってわけじゃないの。日本から来た人たちが、突然この“聖天堂”って場所に現れるのよ。時代もバラバラだし、来ない人もいるけど。」
アラタの希望は一瞬で現実に引き戻された。だが、なおも胸に残る「日本」というキーワードの余韻は大きい。
「それより……なんでそんな年寄りみたいな喋り方なの?」
少女の突っ込みに苦笑しながら、自身の身体を見下ろす。
そこには、老いによってしわくちゃだった肌は無く、かつて異世界で戦っていた若き日の肉体が蘇っていた。
「これは……驚いたのう。まさか若返っておるとは……!」
HPやMPの減少も、若返った影響だろうか。納得と困惑が入り混じった表情で、アラタはポツリとつぶやく。
「まぁ、また異世界に転生されたとしても……日本人がいるだけで、少し心が安らぐものじゃのう。」
少女は興味深そうにアラタを見つめながら言葉を続けた。
「まあ異世界って言えば異世界だね。ところで、あなたは何の英雄? 英雄の間から出てきたってことは、けっこう有名な人なんでしょ?」
アラタは、どこか懐かしさを感じながら答えた。
「いや、わしは日本では名も無きサラリーマンじゃった。ただ――異世界で魔王を倒した勇者かのう。」
その言葉に、少女は一瞬凍りついた。慌てて周囲を見回し、小声で話す。
「ちょっ、ダメだよそんなこと言ったら! 今のジパングを支配してるのはね、3ヶ月前にここに現れた【魔王】なんだから!」
「……なんと! わしが倒した魔王が、ここでは王になっておるのか!? まさか……ベルゼか? いや、あやつらは日本人ではなかったはず……」
少女はため息をつき、肩をすくめる。
「あなたが言ってる魔王が誰かは知らないけど、今の支配者は【織田信長】様。アレキサンダー軍と戦って、ジパングを守ってくれてるの。」
――世界はまた、続いていた。
そしてアラタは、その世界に立っていた。
乾いた石の匂い、冷たい空気。目に飛び込んできたのは、無機質で古めかしい石造りの天井だった。
「……?」
上半身を起こすと、ざらついた石の床と、苔むした灰色の壁が視界に広がった。自分が寝かされていたのは、中央に設置された台座のような石の上だった。
「これは……まさか、転生……?」
驚愕と困惑が入り混じる中、アラタは咄嗟に前世でもっとも多用した言葉を口にする。
「ステータスオープン!」
ピン、と空間が震えたかのような感覚の後、目の前に透き通った蒼い光のパネルが浮かび上がる。
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小佐々 新(こざさ あらた) Lv.999
HP:536,500 / 956,500
MP:936,500 / 1,553,000
スキル一覧(抜粋)
・救世帝の覇気
・魔力解放
・剣聖
・異界召喚(NEW)
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「……異界召喚? 聞いたことのないスキルが増えておる……」
馴染みあるインターフェース、使い慣れたステータス画面。だが、そこに一つだけ見知らぬスキルが混じっていた。
新しいスキルが気にならないわけではない。しかし、まず目についたのはHPとMPの大幅な減少。そして、かつての筋力が少し失われている感覚。
「ふむ……だが、レベルは変わっておらんし、スキルも健在。よし……」
胸を撫で下ろし、ふっと小さく笑う。転生後に身についた「まずはステータス確認」という癖に、少しだけ自嘲気味の笑みが漏れる。
アラタは周囲を見渡した。石の壁、石の床。整然と組まれたその空間は、神殿か、儀式の場のようでもある。静けさの中に、不思議な荘厳さが漂っていた。
すると――
タタタッ……
誰かの足音が、石の通路を駆けてくる。音は、壁の切れ目――扉のような出入り口から聞こえてくる。
アラタは咄嗟に魔力を練り始めた。緊張で胃の奥が重くなる。
(どうか……この世界でも、わしの力が通用しますように――)
心の中で静かに祈りながら、足音の主を待つ。
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「――あっ! やっぱり! 久しぶりに英雄の間に人がいる!」
顔を覗かせたのは、無垢な少女だった。年の頃は十五、六。艶のある黒髪が肩で揃えられており、瞳には好奇心が宿っている。
「こんにちは、お嬢さん。ここはどこかね? 気付いたらここにおってのう。もし差し支えなければ教えてもらえるかな?」
アラタが落ち着いた口調で尋ねると、少女はぱっと笑顔を浮かべ、自信たっぷりに答えた。
「こんにちは、英雄様! ここはジパングだよ! あなた、どこかから来たんでしょ? ここはね、日本人が送られてくる場所なの!」
「……日本人、じゃと?」
驚愕のあまり、思わず腰が抜けそうになる。懐かしい響きが胸に突き刺さった。
「日本……!? まさか、戻ってきたのか……!?」
思い出が一気に溢れ、目頭が熱くなる。死を迎えた先に待っていたのは、かつての故郷……その可能性に、胸が震えた。
だが――
「ん~、喜ばせてごめんね。正確に言うと“日本人が集まる”だけで、この国が日本ってわけじゃないの。日本から来た人たちが、突然この“聖天堂”って場所に現れるのよ。時代もバラバラだし、来ない人もいるけど。」
アラタの希望は一瞬で現実に引き戻された。だが、なおも胸に残る「日本」というキーワードの余韻は大きい。
「それより……なんでそんな年寄りみたいな喋り方なの?」
少女の突っ込みに苦笑しながら、自身の身体を見下ろす。
そこには、老いによってしわくちゃだった肌は無く、かつて異世界で戦っていた若き日の肉体が蘇っていた。
「これは……驚いたのう。まさか若返っておるとは……!」
HPやMPの減少も、若返った影響だろうか。納得と困惑が入り混じった表情で、アラタはポツリとつぶやく。
「まぁ、また異世界に転生されたとしても……日本人がいるだけで、少し心が安らぐものじゃのう。」
少女は興味深そうにアラタを見つめながら言葉を続けた。
「まあ異世界って言えば異世界だね。ところで、あなたは何の英雄? 英雄の間から出てきたってことは、けっこう有名な人なんでしょ?」
アラタは、どこか懐かしさを感じながら答えた。
「いや、わしは日本では名も無きサラリーマンじゃった。ただ――異世界で魔王を倒した勇者かのう。」
その言葉に、少女は一瞬凍りついた。慌てて周囲を見回し、小声で話す。
「ちょっ、ダメだよそんなこと言ったら! 今のジパングを支配してるのはね、3ヶ月前にここに現れた【魔王】なんだから!」
「……なんと! わしが倒した魔王が、ここでは王になっておるのか!? まさか……ベルゼか? いや、あやつらは日本人ではなかったはず……」
少女はため息をつき、肩をすくめる。
「あなたが言ってる魔王が誰かは知らないけど、今の支配者は【織田信長】様。アレキサンダー軍と戦って、ジパングを守ってくれてるの。」
――世界はまた、続いていた。
そしてアラタは、その世界に立っていた。
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