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逃亡姫は負けヒロイン
二話
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迷宮階層58階層 昼前 ???
「「「「ぐもぉぉーーー!」」」」
「遅いです!」
少女は依然として豚のモンスターオークの群れとの戦いに明け暮れていた。
自身が持つ持ち前のスピードを生かし、オーク達の間を擦り抜き、すれ違いざまに足を切り動きを封じる。
急ブレーキからの反転。
オーク達が痛みにのたうち回っている隙を見逃さず一閃複数体の首を刈る。
鮮血が身体に浴びるが視界が邪魔されていなければ、今は問題はない。
オークメイジから放たれた火球を疾走し躱す。
先程狩ったオーク達でジェネルやメイジ以外のオークは掃討し終わった。
これで、先程から魔法を放ってきているオークメイジを守るものはいない。
少女はオークメイジ目掛けて突貫するが、ジェネルがそうはさせまいと行く手を阻もうと剣を振る。
「ぶまぁーーーー!」
「それは悪手ですよ」
だが、それは少女の目論見通り。群れの長であるオークジェネラルが前に出たことで、後方にいるメイジ達は巻き込むことを恐れ魔法が打てなくなっている。
つまり、純粋な一対一。
オークジェネラルの一撃は破壊力こそ凄まじいが、鎧を着ているせいか動きが鈍重である。
そのため、スピードタイプの少女にとって躱すことは容易い。
大きく横にサイドステップし、ジェネラルの攻撃を避けると懐に飛び込み心臓めがけて剣を突き刺し、引き抜くとニメル半もある巨大は地に伏した。
オークメイジ達は自分達の長が死んだのを見て、パニックに陥りバラバラに逃走し始める。
が、少女はそんなことを許すはずもなく全ての首を刎ねた。
戦闘終了後、脳内に響くレベルアップのファンファーレは一度。
つまり、レベルが一上がったのだ。
だが、この程度では少女は満足出来ない。
自分よりも早く強くなっていた人を知っているから。
「足りない。もっともっともっともっともっともっともっともっと!倒さないと。凡人の私はそうしなければ足りないんです!」
取り憑かれたように少女はそう呟くと、フラフラとした足取りで次の獲物を探し始めるのだった。
◇
迷宮58階層 昼 ルヴァン視点
「今日はやけに静かだな」
先程討伐し終えたオークジェネラルを解体しながら、気配察知をしているのだが生きているモンスターの気配を全く感じない。
普段なら、どんな場所にいようと何か生きているモンスターの気配が引っかかるのだが今日はそれがない。
そのせいで、今回の狙いであるオークジェネラルを見つけるのに一時間半も掛かってしまったのだ。
「オーク肉が高騰しているのを知った同業者が狩りまくってんのかね?」
実は、こう言ったことは珍しくはない。とある素材が高騰するとそれを求めて、冒険者がその素材を持つモンスターが出現する階層に集中し、今のようにモンスターが居なくなることはある。
が、この迷宮にはオークが出る階層はもっと浅い場所にもある幾つかあり、ジェネラルやメイジなど上位種が群れとなって襲ってくるこの階層は狩りに向いていない。
そう考えると、素材欲しさで狩りをしているという線は薄い気がする。
だとすると、他に思いつくのはレベル上げか。ここは遭遇率もそこそこ高く必ず群れで現れるから経験値効率はかなりいい。レベルを上げるにはもってこいといえばもってこいだ。
ただ─。
「するんなら、せめて今日じゃない方が有難かったなあ。全然オークの群れ見つかんねぇし」
─素材が高騰しているタイミングでして欲しくなかった。
せっかくの稼ぎ時なのに、これじゃあ普段と変わらないぞ。別の階層に行って見るか?
ピキピキッ。
そう思ったタイミングで、壁が割れ始め強大な気配を感じた。
「おっ、ラッキー。ボス部屋行く手間省けたな」
背中から剣を抜き構える。相対する壁の中から現れたのは肌色のオークではなく、黒色の四メル近くもある巨大なオーク。
勘のいい人なら分かるだろう。
今目の前にいる、モンスターはオークメイジやジェネラルではない。
オークキング。
本来なら70階層にあるボス部屋の守護者として配置されており、この階層には本来現れないはずの存在だ。
だが、何事にも異常事態《イレギュラー》というのはあるもので、ごく稀にボス部屋以外の場所で産まれることがある。
理由は原作でも明かされていなかったが、この世界の学者は迷宮は大きな生き物で、自分の体内を乱す者を排除するため守護者を生み出していると考えているらしいが、偶に何もない時にも現れることがあるためその説があってるかどうかは未だ証明されていない。この世界が持つ永遠の謎の一つである。
「さぁ、かかってこいよ。正々堂々と相手してやる……とかいうと思ったかバーカ。この俺がするわけねぇだろ」
オークキングの間抜けな顔が宙を舞う。
お目当ての袋が出るのを待ってただけだよ。
俺はプリ◯ュアの変身をきちんと待つ系の敵じゃないのだ。ご丁寧に出てくるの待つわけねぇだろ。
リスキルされたくなきゃ、仮面◯イダーみたいに結界とかで攻撃して防げよな。
「「「「ぐもぉぉーーー!」」」」
「遅いです!」
少女は依然として豚のモンスターオークの群れとの戦いに明け暮れていた。
自身が持つ持ち前のスピードを生かし、オーク達の間を擦り抜き、すれ違いざまに足を切り動きを封じる。
急ブレーキからの反転。
オーク達が痛みにのたうち回っている隙を見逃さず一閃複数体の首を刈る。
鮮血が身体に浴びるが視界が邪魔されていなければ、今は問題はない。
オークメイジから放たれた火球を疾走し躱す。
先程狩ったオーク達でジェネルやメイジ以外のオークは掃討し終わった。
これで、先程から魔法を放ってきているオークメイジを守るものはいない。
少女はオークメイジ目掛けて突貫するが、ジェネルがそうはさせまいと行く手を阻もうと剣を振る。
「ぶまぁーーーー!」
「それは悪手ですよ」
だが、それは少女の目論見通り。群れの長であるオークジェネラルが前に出たことで、後方にいるメイジ達は巻き込むことを恐れ魔法が打てなくなっている。
つまり、純粋な一対一。
オークジェネラルの一撃は破壊力こそ凄まじいが、鎧を着ているせいか動きが鈍重である。
そのため、スピードタイプの少女にとって躱すことは容易い。
大きく横にサイドステップし、ジェネラルの攻撃を避けると懐に飛び込み心臓めがけて剣を突き刺し、引き抜くとニメル半もある巨大は地に伏した。
オークメイジ達は自分達の長が死んだのを見て、パニックに陥りバラバラに逃走し始める。
が、少女はそんなことを許すはずもなく全ての首を刎ねた。
戦闘終了後、脳内に響くレベルアップのファンファーレは一度。
つまり、レベルが一上がったのだ。
だが、この程度では少女は満足出来ない。
自分よりも早く強くなっていた人を知っているから。
「足りない。もっともっともっともっともっともっともっともっと!倒さないと。凡人の私はそうしなければ足りないんです!」
取り憑かれたように少女はそう呟くと、フラフラとした足取りで次の獲物を探し始めるのだった。
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迷宮58階層 昼 ルヴァン視点
「今日はやけに静かだな」
先程討伐し終えたオークジェネラルを解体しながら、気配察知をしているのだが生きているモンスターの気配を全く感じない。
普段なら、どんな場所にいようと何か生きているモンスターの気配が引っかかるのだが今日はそれがない。
そのせいで、今回の狙いであるオークジェネラルを見つけるのに一時間半も掛かってしまったのだ。
「オーク肉が高騰しているのを知った同業者が狩りまくってんのかね?」
実は、こう言ったことは珍しくはない。とある素材が高騰するとそれを求めて、冒険者がその素材を持つモンスターが出現する階層に集中し、今のようにモンスターが居なくなることはある。
が、この迷宮にはオークが出る階層はもっと浅い場所にもある幾つかあり、ジェネラルやメイジなど上位種が群れとなって襲ってくるこの階層は狩りに向いていない。
そう考えると、素材欲しさで狩りをしているという線は薄い気がする。
だとすると、他に思いつくのはレベル上げか。ここは遭遇率もそこそこ高く必ず群れで現れるから経験値効率はかなりいい。レベルを上げるにはもってこいといえばもってこいだ。
ただ─。
「するんなら、せめて今日じゃない方が有難かったなあ。全然オークの群れ見つかんねぇし」
─素材が高騰しているタイミングでして欲しくなかった。
せっかくの稼ぎ時なのに、これじゃあ普段と変わらないぞ。別の階層に行って見るか?
ピキピキッ。
そう思ったタイミングで、壁が割れ始め強大な気配を感じた。
「おっ、ラッキー。ボス部屋行く手間省けたな」
背中から剣を抜き構える。相対する壁の中から現れたのは肌色のオークではなく、黒色の四メル近くもある巨大なオーク。
勘のいい人なら分かるだろう。
今目の前にいる、モンスターはオークメイジやジェネラルではない。
オークキング。
本来なら70階層にあるボス部屋の守護者として配置されており、この階層には本来現れないはずの存在だ。
だが、何事にも異常事態《イレギュラー》というのはあるもので、ごく稀にボス部屋以外の場所で産まれることがある。
理由は原作でも明かされていなかったが、この世界の学者は迷宮は大きな生き物で、自分の体内を乱す者を排除するため守護者を生み出していると考えているらしいが、偶に何もない時にも現れることがあるためその説があってるかどうかは未だ証明されていない。この世界が持つ永遠の謎の一つである。
「さぁ、かかってこいよ。正々堂々と相手してやる……とかいうと思ったかバーカ。この俺がするわけねぇだろ」
オークキングの間抜けな顔が宙を舞う。
お目当ての袋が出るのを待ってただけだよ。
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