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5話
しおりを挟む「ふっ、ふっ」
親のことを呼ぶようになって3年が経った現在俺は陽の昇っていない村の中を一人で走っていた。
何故こんなことをしているかと言うと、レベルアップする度に身体の感覚が狂うのでこうやって走りながら調整しているのだ。
「おーい!レイ坊今日も精が出るな」
「まだ暗いんだから足元気をつけてね」
村の中心地から少し離れた小麦畑を眺めながら走っていると、そこで働いているカイさんと、アリヤさんが声を掛けてきた。
「はーい、気を付けます」
俺はそれに笑みを浮かべて、大きな声で返事を返す。
最初の方は、軽い挨拶をするだけだったのだが最近はこうやって挨拶以外のことも言ってくれるようになった。
前世、ランニングをする人の気持ちが全く分からなかったが、こうやって人とコミュニケーションを取るのは案外気持ちいい。だから、雨の日以外は毎日俺はランニングをして色んな人と交流をした。そのおかげでこの村で俺が知らない大人はおらずみんな良くしてくれる。
軽いやり取りを終えると走る速度を少し上げ、村を囲っている柵を手前にある木の枝を伝いながら登り飛び越える。
タンッ、前世ならこの高さから降りれば骨折者だがレベルアップした俺にはこの程度問題なし。
ステータスは現在こんな感じ
レイク
Level16
筋力 200
魔力 200
速力 200
耐久力 200
体力 250
精神力 300
スキル
鑑定、剣術、才能の塊、聖剣に選ばれし者、神の愛子、経験値増加五倍、ステータス増加五倍、ステータス上昇最大値固定、計算、読み書き、全属性魔法使い、限界突破、魔性の男、身体強化、十重魔法の使い手、並列思考、弓術、槍術、拳術、魔物調教、幸運、アイテムボックス、鷹の目、心眼、魔眼、魔力三倍化、スキル統合、合成魔法、気配感知、魔力感知、隠蔽、隠密、無詠唱
となっている。
三年の月日が経っている割にスキルの数増えてなくないと思われる方いるかもしれないが、これはスキルがいくつかスキル統合の効果でこうなっている。例えば、身体強化は聴覚強化、視力強化、速力強化、筋力強化などのスキルが統合されたスキルとなっている。全属性魔法も、火、水、風、土、光、闇、氷、雷、無、回復、付与、転移魔法が統合されたスキルである。
そんな感じでいくつかのスキルが統合されているためあまり増えていないように見えるだけだ。
スキルの方は順調だったのだが、Levelの方は最近になってあげ始めたので低めだ。近辺にいる魔物が通常ゴブリン、通常ウルフと魔力の少ない魔物しかいないのもLevelが低い要因の一つだ。数を倒せばLevelも上がるだろうが、巣があるわけでもなく、その辺に一、二体にいるだけなので効率が悪い。
まぁ、こんなことに文句を言ってもしょうがないので今日も朝ご飯までの間、魔物退治だ。
スキル、鷹の目を使用し、森を上空から俯瞰して見る。そして、数匹の全身緑色の120cm小鬼、ゴブリン達が寝ているところを発見。俺は鷹の目を解除して、精神力を使って身体強化を発動。先程見たゴブリン達の元に向かった。
ゴブリンが寝ていた場所に向かうと、そこには洞窟があった。俺はそれを見た瞬間一度木の上に登って、様子を窺う。どうやらここはゴブリン達の巣があり、今寝ているゴブリン達は見張りをしていて寝ているといったところか。
見張りの数は十匹と、かなりの数がいるので大規模な巣なのだろう。いつものように近接戦を仕掛けるのは危険だ。
「『十連風の矢』」
無詠唱で呪文を省き、魔法を発動させた俺は背後に十本の風の矢を生成。それを操作し寝ているゴブリン達の頭に飛ばす。
ヒュッと風を切る音が少しだけ聞こえた後、ゴブリンの頭に着弾、頭を貫通した。そして身体に倒したゴブリン達の魔力が吸収されているのを感じたことで俺はようやく木の上から降り死んだゴブリン達の元に向かった。
頭を綺麗に貫通したと言っても、血はダラダラと流れゴブリンの紫色の血は地面に流れ広がっていた。血の匂いでバレる可能性があるのでゴブリンの死体や血を処分するため魔法を使う。
「『#落とし穴_フォール__#』『土生成」
俺はゴブリン達が死んでいる場所一帯に大きな穴を作成、ゴブリン達が全部穴の中に入ったのを確認した後、土を生成し埋める。これで匂いなどでバレることはないだろう。
「さて、見張りに見つかることなく倒したわけだしせっかくならゴブリン達に一度も見つからずに殺ってみるか」
前世なら思っていても口に出さないような言葉を平然と言ったことに気づき、自分の価値観が大分この世界に染まってきているなと思い苦笑いを浮かべる。
ゴブリンを初めて倒した日は血を見て吐いたのがつい先日なのに。
殺生を忌避していた世界から殺生をしなければ生きられない世界に来たのだから慣れないといけないと思っていたが、案外早く適応している自分に本当に呆れる。
これも勇者スペックなのだろうか?それとも俺が生物を殺すことに対して元から忌避感があんまりなかったのか分からないが、もし、後者なら俺は前世犯罪者だな。あっ、でも人の女を寝取ろうとしてるんだから素質は十分か。
何て考えながら俺は洞窟の入り口に立った。
無駄なことを考えるのはやめだ。初めての巣、中に通常ゴブリン以上の魔物がいるかもしれない。そいつに遭遇して無事勝てるとは今のステータス値では言い切れない。気を引き締めていこう。
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