スマッシュの先に、夏が光っていた(1.5次制作)

鍋まこと

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我慢出来なかった日

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2泊3日のラグビー部合宿が終わった日の夕方、ケンタはクルミの部屋の前に立っていた。
足は棒のように重く、肩はパンパンに張っている。
でも、それ以上に──抑えきれない「会いたい」が胸に溢れていた。

玄関のドアが開くと、部屋着姿のクルミが出迎える。
その姿を見た瞬間、ケンタの中で何かが切れた。

 

「……ただいま、クルミ」

「おかえり、ケンタ──」

言いかけたクルミの言葉は、ケンタのキスで飲み込まれた。

いつもより少し強くて、荒くて、息も乱れてて。
でも、どこか必死な感じがして──クルミは、黙ってその熱を受け止めた。

 

それからの夜は、まるで時間が歪んだみたいだった。
触れるたび、繋がるたび、ケンタの「会いたかった」が伝わってきた。
クルミはそれに応えるように、指を絡め、目を見て、声を返した。

何度も、何度も、重なった。
最終的に数えたら、5回。

「ケンタ、すご……でも、止まらないんだね、今日」

「……ごめん、やばいかも。抑えられなくなってる……」

「いいよ。今日はいいよ。──欲しいって思ってもらえるの、嬉しいから」

そんなふうに、優しく言ってくれるクルミがまた、ケンタの理性を溶かしていった。

 

──そして、朝。

窓から差し込む光の中、シーツにくるまってケンタは目を覚ました。

となりでは、ぐっすり眠るクルミの横顔。
額にかかる髪、吐息、首筋の赤い痕。

……自分は、またやってしまった。

「……俺、最低かもしれない」

ケンタは静かに頭を抱えた。
疲れてるはずなのに。帰ってきたばかりなのに。
クルミのこと、気遣ってあげるどころか──自分勝手に、欲望ばかり押しつけて。

「ごめん、クルミ……」

そのつぶやきに反応するように、クルミがうっすらと目を開けた。

「……ん……ケンタ?」

「起こしちゃった、ごめん」

「んーん、いいよ。おはよ。ケンタ、朝から難しい顔してどうしたの?」

「……昨日のこと。俺、やりすぎた。クルミのこと考える余裕なくて、自分のばっか……」

クルミは少しだけ体を起こして、ケンタの肩に頭を預ける。

「やりすぎ? ふふ、そうかもね」

「……」

「でも、ケンタって、そういうときもちゃんと優しかったじゃん。無理やりじゃないし、ちゃんと気遣ってくれてたよ」

「でも……」

「私は嬉しかったよ。いっぱい求められて、頼られて、甘えられて。──好きな人が素直になってくれるの、嫌なわけないでしょ?」

クルミは、少しだけ赤くなった顔で、にっこり笑った。

 

ケンタはその笑顔に、胸がぎゅっとなって、
そして、そっとクルミを抱きしめた。

「……ありがとう」

「こちらこそ、おかえり。お疲れさま、ケンタ」

 

そんな朝だった。

愛し合うって、ぶつかることでもあって。
でも、それを受け止めて、笑って返せることが、ふたりの成長の証でもあった。

 番外編:「一回戦目──タガが外れた夜」

(クルミ視点)

 

ケンタが玄関をくぐってすぐ、私はその様子にただならぬものを感じた。

疲れているはずなのに、息を荒くして、顔は少し赤くて。
それでいて、目だけはまっすぐ私を捉えて離さなかった。

そして、次の瞬間。
何も言わずに唇を重ねてきた。いつもより、強くて、熱くて、少し乱暴だった。

 

「ちょ、ちょっと待って──」と口にしかけた私に、ケンタが低く呟く。

「ごめん……痛かった?」

「そうじゃなくて、今日はなんでそんな強引──」

最後まで言えなかった。
再びキスされて、口の中をぐいぐいと掻き回される。
ガサガサしてて、でも妙に柔らかくて、少しヌルヌルした舌。
頭の中まで混ぜられてるような気がして、私は思考を奪われた。

「……今日、どうにも我慢できなくて」

喉の奥から絞り出すみたいな声だった。
あのケンタが、あんなふうに欲をさらけ出してくるなんて──

 

でも、嫌じゃなかった。むしろ、愛おしいと思ってしまった。

いつもはあんなに我慢して、私が誘惑してもどこかで踏みとどまって。
そんな彼が「どうにもならなかった」って。
それを私に向けてくれてることが、嬉しくて。

「……うん。今日は、ケンタのしたいようにしていいよ。私で気持ちよくなって。……それか、して欲しいこと、ある?」

少しの沈黙のあと、彼がぽつりと。

「……舐めて、欲しい」

その言葉に一瞬、鼓動が跳ねた。

「……上手じゃなかったら、ごめんね?」

私はそっと膝を折って、彼の前にしゃがみ込んだ。
これまで、角度測定だの、接触テストだの、いろんな“実験”はしてきたけれど、これは明確に“快感”を目的とした行為だ。

彼がもし、私のことを“性処理”みたいに感じていたら?
──いや、ケンタはきっと、そんなふうに私を扱ったりしない。

 

私は、静かに、先端を舌先でなぞった。
ほんの少し、チロ……っと触れただけで、彼の体がビクンと震えた。

その反応が、なんだか可愛くて、くすっと笑ってしまう。
さっきまで私を押し倒すくらいの力があったのに、今は、私の舌先ひとつでこんなに簡単に。

まじまじと見つめると、ちょっとグロい。
血管が浮き出てるし、先端から透明な液体も垂れている。
それでも、ふっと息を吹きかけるとまた震えて、少し、楽しくなってきた。

「クルミ、ちょっと……あんまり焦らさないで……」

声まで震えていて、つい意地悪をしたくなる。

「今日のケンタくんは、欲しがりさんね」

そう囁いてから、私は彼を咥えた。

唇で包み、舌をくにくにと動かす。
じゅぷ……じゅぷ……と、少しずつ前後に動いてみると、彼の息がどんどん荒くなっていくのが分かる。

何度か舌を這わせたあと、彼が苦しげに息を吐いた。

「……イク」

その瞬間、彼の体が大きく跳ねた。
びくっ、びくっ、と震えながら、私の口の中に熱い液体を吐き出す。

味は──うん、まあ、生臭い。
いろんな噂は聞くけど、美味しいものじゃないな、やっぱり。

 

「わー、ごめん……吐き出して」

我に返ったケンタが慌ててティッシュを差し出す。
私はそれを受け取って、口を拭き、吐き出す。

そして、ずっと前から決めていたセリフを口にした。

 

「……いっぱい出たね。気持ちよかった?」

 

顔を真っ赤にしながら、ケンタがこくんと頷いた。

その顔が、たまらなく愛おしかった。

「二回戦目──君の熱を、俺に移して」

(ケンタ視点)

 

「うわ、ほんとに……すごく出たな……」

クルミがティッシュに吐き出してくれたあと、思わず見入ってしまった。
俺がひとりでやるときなんて、せいぜいちょろっとで、こんな量、見たことがない。

「そうなの? 基準がわかんないや」

クルミはケロッとした顔で言う。

「え、でもクルミ、さっき“いっぱい出たね”って……」

「あれはね、前から私の口の中に出してもらう時は、言おうって決めてたの。ちょうどいいからかいセリフだなーって思って」

そう言って、ちょっと自慢げな顔。
……くわん、と頭を殴られたみたいな衝撃。

つまり、クルミは……前から俺にフェラしてもらう展開を想定してたってことで。
……なにそれ……やばい。やばすぎる。かわいい。エロすぎる。

「……あれ? ちょっと落ち着いてきたと思ったのに、また理性飛んできちゃった?」

「なんで……俺の彼女はこんなにかわいいんだよ……俺は家宝者です!!!」

叫んだら、クルミが「うふふ。そうじゃろうそうじゃろう」と得意げに笑って。
そして、俺の右手をぐいっと誘導してくる。

股間へ……そして、なぞった指先に感じるのは──

にゅる、にゅる……って。

「……ケンタの大きいの舐めてて、わたしもすっごく濡れちゃった。……愛して欲しいな」

耳元で囁かれた声。
わざと吐息を吹きかけてるのがわかる。
背中にぶわっと鳥肌が立って、また、さっきのタガが弾け飛びそうになる。

「……あー、もう! かわいいな!」

気づけば俺は、クルミを抱きしめてマットレスに押し倒していた。
中指を彼女の中に入れたまま、口づける。
舌で思いっきり、彼女の中をかき混ぜるように。

……あれ、さっきと味が、ちょっと違う。

あっ……これ、さっき俺が出したやつの……。
一瞬、微妙な気持ちが顔に出てしまったらしい。

 

「ぷは。あ、微妙な顔してる。やっぱり、自分のちんちんと間接キスは気になるよね」

ズバリ言い当てられて、何も言えなくなる。
クルミに舐めさせておいて、自分がためらうとか……最低だろ、俺。

「……んぅ、んー、ぷは。 変な味する? 自分のせいなんだから、キス嫌がったらこれから舐めないよ?」

不敵に笑う彼女に、俺はもう一度キスをした。
今度は何の躊躇もなく、しっかり、愛しさもこめて。

そして──

「ねね、お互いちょっと冷静なうちに、コレ、つけちゃおう?」

彼女が枕元から取り出したのは、コンドーム。

「……なんで、女の子が持つコンドームって、こんなにエロいんだろ……」

ため息のようにそう呟くと、クルミはイタズラっぽく笑って見せた。

 

「さて、改めて……」

そう言うと、クルミは仰向けにマットレスへ寝転び、

「今度は、わたしを愛して欲しいな」

その言葉に、自然と体が動いた。

 

「えっと……なにしたら、気持ちいい?」

「ふふふ。どーてい君には難しいかもだけど、女の子にそういうこと聞かない方がいいのよ?」

「どーていじゃないし! 半年前! この部屋で!」

「もう、全然求めてこないから、わたしの夢なんじゃないかと思ってたよ。……全身キスして欲しいな。やさしくさわって、愛して」

 

俺は、そっとクルミの頬に口づけた。
次に耳、鎖骨……。
一つ一つ、丁寧に、焦らすようにキスしていく。

そのたびに、彼女の体がピクッと小さく震える。

ああ、これか──
“なにしたら気持ちいい?”なんて野暮なこと、聞くまでもない。
こうやって、彼女の声と、反応と、温度と、全部で感じていけばいい。

クルミの熱が、じわじわと俺の中にも流れ込んできて、
もっと知りたくなって、もっと触れたくなる。

 

「……クルミ」

「ん……?」

「大好き。今夜は、ずっと愛してるから」

「うん……。わたしも……大好き」

 

──そして、俺たちは、もう一度ひとつになった。

 

 

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