追放された無能テイマーの俺ですが、冷徹な最強騎士団長に買われて溺愛されています〜神獣と精霊に愛されて幸せになります〜

水凪しおん

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番外編 第2話「幸福の軌跡と未来への約束」

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 新婚旅行から戻った王都は、穏やかな秋を迎えていた。
 屋敷の庭の木々が色づき始め、涼やかな風が吹き抜ける。
 リアンのお腹は、見るからにふっくらとしてきた。
 医師からは「双子かもしれない」と言われている。
 アルヴィンはそれを聞いて、嬉しさのあまり気絶しかけたらしい。

「双子……! 俺とリアンの子が二人も……!」

 屋敷中を駆け回り、使用人たちに触れ回ったという伝説が残っている。
 リアンは苦笑しながらも、そんなアルヴィンが愛おしかった。

***

 ある日の午後。
 リアンはサンルームでお茶をしていた。
 窓の外には、ポチが落ち葉を追いかけて遊んでいる。
 最近、ポチの様子が少し変だ。
 時折、遠くを見つめてボーッとしていたり、夜中にこっそり屋敷を抜け出しては朝帰りしたりする。

「ポチ、何か悩み事かな?」

 リアンが話しかけても、ポチは知らん顔でそっぽを向く。
 反抗期だろうか。
 心配になったリアンは、アルヴィンに相談してみた。

「ポチが最近、様子がおかしいんです。病気でしょうか?」

「いや、あいつは健康そのものだ」

 アルヴィンは新聞を読みながら答えた。

「たぶん、恋でもしたんじゃないか?」

「えっ、恋!?」

 リアンは驚いて声を上げた。
 神獣フェンリルに恋人が。
 相手はどんな魔獣なのだろう。

「まさか、近所の野良犬とか……?」

「さあな。だが、最近森の方へ通っているらしいぞ」

 アルヴィンはニヤリと笑った。

「あいつにも春が来たってことだ。そっとしておいてやれ」

「はあ……そうなんですね」

 少し寂しいような、でも嬉しいような複雑な心境だ。
 ポチも大人になっていくのだ。

***

 それから数日後。
 ポチが「彼女」を連れてきた。
 それは、なんと真っ白な毛並みを持つ、美しい雌の狼だった。
 しかも、ただの狼ではない。額に小さな角があり、高貴なオーラを放っている。
 ポチと同じ、フェンリルの幼体だ。

「ええっ!? フェンリルって絶滅危惧種じゃなかったの!?」

 リアンは腰を抜かしそうになった。
 ポチは得意げに鼻を鳴らし、彼女を紹介した。
 彼女は◆シルヴィア。僕の婚約者だよ、と言わんばかりの態度だ。
 シルヴィアは、とてもお淑やかで、リアンに丁寧に頭を下げた。

「か、可愛い……!」

 リアンはメロメロになった。
 アルヴィンも驚いていたが、すぐに受け入れた。

「まあ、血統書付きなら文句はない。屋敷の警備が増えて助かる」

 現実的な発言だが、顔は緩んでいる。
 こうして、屋敷には二匹の神獣が住むことになり、ますます賑やかになった。

***

 月日は流れ、冬が訪れた。
 雪が舞う寒い夜。
 リアンは産気づいた。
 予定日より少し早かったが、アルヴィンと医師たちが万全の体制で待機していたため、慌てることはなかった。
 分娩室となった寝室で、リアンは痛みに耐えていた。

「うぅっ……痛い……!」

「頑張れリアン! 俺がついてる!」

 アルヴィンはリアンの手を握りしめ、汗を拭いている。
 彼の方が顔面蒼白で、倒れそうだ。

「旦那様、しっかりしてください! 奥様が不安になりますよ!」

 助産師さんに叱られている。
 リアンは痛みの合間に、思わず笑ってしまった。

「ふふっ……アルヴィン様、顔が……」

「笑うな! 俺は必死なんだ!」

 そんなやり取りをしているうちに、元気な産声が響いた。
 双子だった。
 男の子と女の子。
 どちらも銀髪にアイスブルーの瞳を持ち、リアンの面影もある美しい赤ちゃんだ。

「おめでとうございます! 元気な双子ちゃんですよ!」

 リアンは疲れ果てていたが、我が子を抱いた瞬間、すべての痛みが吹き飛んだ。

「か、可愛い……」

 アルヴィンも涙を流して喜んだ。

「よく頑張ったな、リアン。ありがとう……本当にありがとう」

 彼はリアンと子供たちを抱きしめ、何度もキスをした。
 窓の外では、雪が祝福のように降り積もっていた。

***

 名前は、男の子が「◆レオン」、女の子が「◆リナ」と名付けられた。
 レオンは活発で、リナはおっとりとした性格だ。
 二人はすくすくと育ち、屋敷の中を走り回るようになった。
 ポチとシルヴィアも、彼らの良き遊び相手であり、護衛として常にそばにいた。
 ある日、庭で遊んでいたレオンが転んで泣き出した。

「えーん! 痛いよー!」

 すると、リナが駆け寄って頭を撫でた。

「痛いの痛いの、飛んでけー!」

 その瞬間、リナの手から小さな光の粒が現れ、レオンの擦り傷を優しく包み込んだ。瞬時に完治するほどの強力な魔法ではないが、血が止まり、痛みが和らいだのか、レオンはけろりとした顔になった。

「……え?」

 見ていたリアンとアルヴィンは絶句した。

「ま、まさか……治癒魔法?」

「いや、精霊魔法の名残だ。あの子、お前の力を少し受け継いでるらしいな」

 アルヴィンが驚きつつも目を細めて言った。
 一方、レオンの方は、泣き止んだ後にポチの背中に飛び乗り、庭を疾走し始めた。

「行けー! ポチ号!」

 ポチも楽しそうに走っている。

「こっちはテイマーの才能か……」

 将来が楽しみなような、恐ろしいような双子たちだ。
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