【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん

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第12話「君を助けたい」

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「いなくならないで!」

 アッシュの言葉を聞いた瞬間、僕は思わず叫んでいた。
 僕の手から離れようとする彼の手を、両手でぎゅっと掴んで引き留める。

「どこにも行かないで、アッシュ……! 一人にしないで……!」

「フィン……」

 いつもおっとりしている僕が、こんなに必死な姿を見せるのは初めてだったのだろう。アッシュは驚いたように目を見開き、僕の顔をじっと見つめていた。その瞳が、悲しげに揺れている。

「でも、このままではお前を巻き込む。呪いが暴走すれば、この土地ごと……」

「僕が、アッシュを助ける!」

 僕は彼の言葉を遮るように、強く言った。
 そうだ、助ければいいんだ。呪いが彼を苦しめるなら、その呪いを僕が消してしまえばいい。

「僕のこの力で、絶対にアッシュを助けてみせるから!」

 何の根拠もなかった。でも、僕の中には不思議な確信があった。
 僕のスキル【土壌改良】は、ただの土いじりじゃない。作物の成長を異常に早めたり、食べた者の体に良い影響を与えたりする。昨夜だってお粥に力を込めたら、アッシュの苦痛が和らいだ。
 この力は、もっとすごいことができるはずだ。

 僕は昔、実家の書庫で読んだ古い本の内容を必死に思い出していた。
 確か、どんな呪いも浄化する力を持つという、伝説の植物の話が書かれていたはずだ。その名は、『聖なる光草』。
 神聖な力を持つ土地でしか育たないと言われる、幻の植物。

 神聖な土地なんて、どこにあるか分からない。でも、僕には【土壌改良】がある。
 僕のこの力が、土に生命力を与える力なのだとしたら。この土地そのものを、聖なる土地に変えることだって、できるんじゃないだろうか。

「アッシュ、聞いて。聖なる光草っていう植物を知ってる?」

「……伝説上のものだ。現存しないと言われている」

「僕が、それを育ててみる。この畑で」

 僕は決意を固め、アッシュの目をまっすぐに見つめた。
 僕の必死な姿に、アッシュは心を揺さぶられているようだった。彼はしばらく黙り込んだ後、僕の手をそっと握り返してきた。

「……分かった。お前を、信じる」

 その言葉は、僕にとって何よりも力強いものだった。
 アッシュを救う。その一心で、僕は伝説に挑むことを決めたのだった。
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