虐げられ追放された悪役令息Ω、実は氷の皇太子αの運命の番で、めちゃくちゃに溺愛されています

水凪しおん

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第三十九話「断罪の時」

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 混乱の極みにある王都で、追い詰められたアレクシスとリリアナは、国中の財宝をかき集め、国外へ逃亡しようと画策していた。
 しかし、彼らの計画は、すでにゼノンの知るところとなっていた。
 逃亡しようとした彼らは、待ち構えていた帝国軍の兵士によって、あっけなく捕らえられる。

 そして、王城の広場に、断罪の舞台が用意された。
 その中央には、無様に縄で縛られたアレクシスとリリアナ、そして、全ての元凶であるアシュベリー公爵の姿があった。
 広場は、彼らを憎悪の目で見つめる、王国の民衆で埋め尽くされている。

 僕は、勝利した帝国の皇太子妃として、ゼノンの隣の席から、その光景を見下ろしていた。
 前世で、僕が経験するはずだった断罪イベント。
 だが、その舞台に立っているのは、僕ではない。僕を陥れようとした、彼らの方だった。

「アレクシス・アシュベリー、リリアナ、アシュベリー公爵! 貴様たちの罪は、国家を欺き、無用な戦争を引き起こし、多くの民の命を危険にさらしたことである! 何か言い分はあるか!」

 ゼノンの厳しい声が、広場に響く。
 アレクシスは、最後まで「俺は悪くない!」と見苦しく叫び続けていた。
 リリアナは、涙を流して「私は騙されていただけです!」と命乞いをしていたが、その嘘に耳を貸す者は、もう誰もいない。
 アシュベリー公爵は、全ての罪を認め、ただうなだれていた。

 彼らには、法の下、最も重い罰が下された。
 公爵家は取り潰され、財産は全て没収。アレクシスたちは、生涯を北方の鉱山で、罪を償いながら過ごすことになった。

 僕は、静かにその判決を聞いていた。
 胸に湧き上がってきたのは、喜びや憎しみではなかった。
 ただ、これで全てが終わったのだ、という安堵感だった。
 前世で恐れていた断罪の運命を、僕は自分の手で、全く違う形で終結させたのだ。
 僕を縛りつけていた、最後の呪いが解けた瞬間だった。
 隣で、ゼノンが僕の手を強く握りしめてくれた。彼の温もりが、僕の新しい未来を祝福してくれているようだった。
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