虐げられ追放された悪役令息Ω、実は氷の皇太子αの運命の番で、めちゃくちゃに溺愛されています

水凪しおん

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番外編 第四話「もしも、原作通りだったら」

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 もし、僕があの日、高熱に浮かされず、前世の記憶を思い出さなかったら。
 きっと僕は、原作通りのわがままで傲慢な『悪役令息』として、あの夜会に参加していただろう。
 日頃の鬱憤を晴らすかのように、平民上がりのヒロイン、リリアナにわざとワインをかけ、高笑いをしていたに違いない。
 そして、そんな僕の前に、賓客として招かれていたヴァイスハイト帝国の皇太子、ゼノンが現れる。
 彼の冷たい金色の瞳は、僕を軽蔑と不快感で見下ろしただろう。
「見苦しい」
 きっと、そう吐き捨てられたはずだ。

 だが、運命は皮肉だ。
 僕が放つ、抑制しきれないオメガのフェロモンに、ゼノンは気づいてしまう。
 まさか、こんな性悪な男が、自分の『運命の番』だなんて。
 ゼノンは、激しく葛藤しただろう。本能は彼を求めろと叫ぶが、理性はそれを全力で拒絶する。
 結局、彼は僕を無理やり帝国に連れ帰ることになる。それは、愛情からではなく、番を管理するという、アルファとしての義務感からだった。
 帝国での生活は、決して甘いものではなかった。
 ゼノンは僕を疎ましく思い、僕の我儘な言動を、冷徹に「教育」し始めた。
「番だからといって、お前を甘やかすと思うな」
 そんな冷たい言葉を投げつけられる毎日。
 でも、不思議だった。どんなに冷たくされても、彼のそばは、なぜか心が落ち着いた。彼のアルファの香りが、僕の荒んだ心を少しずつ癒していったのだ。
 そしてゼノンも、僕がなぜこんなにも歪んでしまったのか、その背景にある虐待を知り、少しずつ僕に見る目を変えていく。
 最初は義務だったはずの関係。
 いがみ合い、反発し合いながらも、運命の引力には逆らえない。
 不器用な二人が、ぶつかり合いながらも、次第に惹かれ合い、本当の愛を見つけていく。
 それは、原作よりも少しビターで、回り道だらけの恋物語。
 でも、最後にはきっと、ゼノンは不器用な笑顔で、僕にこう言うだろう。
「……仕方ないから、愛してやる」と。
 それはそれで、悪くない結末だったのかもしれない。
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