BLゲームの悪役令息に転生!破滅フラグを回避したいのに、同じく転生者のヤンデレ皇太子が「やっと見つけた」と異常な執着で迫って来る。

水凪しおん

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第7話「檻の中の初夜」

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 朦朧とする意識の中、身体の奥から突き上げてくる熱に、俺はなすすべもなかった。

 生まれて初めて経験する発情期(ヒート)は、想像を絶するほどの熱と甘い疼きを俺の全身に走らせ、思考の一切を奪い去っていく。

「ん……ぁ……レオ、ン……」

 理性が溶けた口から、無意識に彼の名前がこぼれ落ちる。
 それを聞いたレオンハルトが、満足げに喉を鳴らすのがわかった。

「そうだ、エリアス。俺の名前だけを呼べ」

 彼は俺を抱きかかえると、温室の奥にある休憩用の長椅子へと運んだ。
 月明かりに照らされた彼の顔は、神々しいほどに美しく、そして見たこともないほどの欲に濡れていた。
 その青い瞳には、俺の姿だけが熱っぽく映り込んでいる。

「嫌だ、やめ……」

 かろうじて残った理性が、拒絶の言葉を紡ごうとする。
 しかし、それは熱い吐息に変わるだけで、まともな音にはならなかった。
 レオンハルトはそんな俺の抵抗を愛おしむように、唇を塞いできた。

 濃厚なキスは、俺の呼吸だけでなく、残っていたわずかな理性さえも奪い去っていく。
 彼のフェロモンの香りが脳を痺れさせ、抗う気力を根こそぎ削いでいく。
 身体が熱い。
 もっと、彼に触れてほしい。
 アルファである彼に、この熱を鎮めてほしい。
 オメガの本能が、そう叫んでいる。

『ああ、これが運命の番というやつか……』

 ゲームの知識が、頭の片隅で冷静に現状を分析する。
 強力なアルファのフェロモンを浴びたオメガは、相手を「運命の番」だと誤認してしまうことがある。
 今の俺が、まさにその状態だった。
 頭ではわかっているのに、身体は正直に彼を求め、その腕の中で甘く喘いでしまう。

「いい声だ、エリアス。もっと聞かせろ」

 レオンハルトの指が、俺の着ている豪華絢爛な礼服をゆっくりと、しかし確実に暴いていく。
 銀糸の刺繍が施されたジャケットがはだけ、月光に晒された素肌に、彼の冷たい指先が這う。
 その感触に、びくりと身体が震えた。

「綺麗だ……。お前は、俺が今まで見てきたどんな宝石よりも美しい」

 うっとりとした彼の囁きは、まるで呪いのようだ。
 俺の意思とは関係なく、身体は彼の愛撫に敏感に反応してしまう。

「お前は、俺だけのものだ。この身体も、心も、全て」

 彼は何度も、何度も、そう囁き続けた。
 まるで、自分自身に言い聞かせるように。
 そして、俺の魂にその言葉を刻みつけるかのように。

 やがて、全ての衣を剥ぎ取られた俺の身体は、彼の熱を受け入れる準備を整えていた。
 恐怖よりも、本能的な欲求が勝っていた。
 早く、この熱い楔で貫いてほしい。
 彼と一つになりたい。

 そして、ついにその時が訪れる。

「っ……あ、ああああッ!」

 身体を貫いた灼熱の痛みに、俺は甲高い悲鳴を上げた。
 しかし、その痛みはすぐに、身体の芯を蕩かすような、とてつもない快感へと変わっていった。

「エリアス……愛している」

 レオンハルトは、俺のうなじに顔を埋め、囁いた。
 そして、ためらいなく、その鋭い牙を俺の項に突き立てる。

「―――ッ!」

 脳天を撃ち抜かれたかのような衝撃。
 それは、アルファがオメガにする「番」の契約の証。
 一度この刻印を刻まれれば、オメガは生涯、そのアルファ以外を受け入れることはできなくなる。

『そんな……嘘だ……』

 強制的に結ばれた番の契約。
 これで、俺は名実ともに、彼のものになってしまった。
 もう、二度と彼から逃げることはできない。
 絶望が、快感の波の合間に、冷たく心をよぎる。

 だが、そんな思考も、レオンハルトがもたらす激しい快楽の前に、すぐに掻き消されていった。
 彼は俺の身体を何度も何度も求め、その度に俺は意識が飛びそうなほどの快感に喘いだ。

「逃がさない、エリアス」

「お前は、永遠に俺のものだ」

 彼の束縛の言葉が、甘い愛の告白のように聞こえてくる。
 もう、どうでもいい。
 このまま、彼の腕の中で快楽に溺れてしまえたら、どんなに楽だろうか。

 月明かりが差し込むガラス張りの温室で、俺たちは夜が明けるまで、何度も体を重ねた。
 それは、檻の中で行われる、狂おしくも甘い初夜だった。
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