BLゲームの悪役令息に転生!破滅フラグを回避したいのに、同じく転生者のヤンデレ皇太子が「やっと見つけた」と異常な執着で迫って来る。

水凪しおん

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番外編「ヤンデレ皇太子のとある一日」

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 俺、レオンハルト・フォン・ヴァイスフルトの一日は、最愛の番、エリアスの寝顔を眺めることから始まる。

 すぅすぅと穏やかな寝息を立てる彼。
 陽光を浴びてキラキラと輝く白銀の髪。
 無防備に晒された白い項には、俺がつけた番の証がくっきりと刻まれている。

『……美しい』

 何度見ても、飽きることのない光景だ。
 前世、ゲームの画面越しにしか見ることのできなかった、決して手に入らなかった存在が、今、俺の腕の中にいる。
 この事実だけで、胸が歓喜に打ち震える。

 俺は彼の額にそっとキスを落とした。
 ん、と身じろぎした彼が、ゆっくりと瞼を開ける。
 眠気で潤んだアメジストの瞳が、俺の姿を捉えた。

「……おはよ、レオン」

「ああ、おはよう、俺のエリアス」

 この瞬間が、たまらなく好きだ。
 俺は彼の唇を奪い、甘い朝の挨拶を交わす。
 彼が俺の腕の中で、俺の名前を呼んでくれる。
 ただそれだけで、俺の世界は完璧なものになる。

 朝食を終えると、俺は執務室へ向かわなければならない。
 離れるのは一瞬たりとも嫌だが、皇太子としての責務を疎かにはできない。
 エリアスを妃として迎え、国中の誰からも祝福される未来のためには、俺が完璧な次期国王でなければならないのだ。

「行ってくる。いい子で待っているんだぞ」

「わかってるよ。君こそ、ちゃんと仕事をするんだぞ」

 むすっとした顔でそう言うエリアスが、可愛くてたまらない。
 俺は彼の唇にもう一度キスをして、名残惜しくも執務室へと向かった。

 もちろん、ただ仕事をしているわけではない。
 俺が開発した監視の魔術は、常にエリアスの様子を俺に伝えてくれている。
 執務机の横に置いた水晶には、離宮の寝室で本を読んでいる彼の姿が映し出されていた。

『ふむ、今日は魔導植物図鑑か。相変わらず、知的好奇心が旺盛だな』

 彼の読む本、食べるもの、着る服。
 その全てを把握し、管理する。
 それが俺の喜びだ。
 彼に近づく使用人も、全て俺が厳選した者たちだ。
 エリアスに少しでも邪な目を向けるような輩は、秘密裏に処分済みだ。

 書類の決裁を進めながら、俺は水晶に映るエリアスから一瞬も目を離さない。
 彼が少しでも退屈そうな顔をすれば、すぐにでも飛んでいって抱きしめてやりたい衝動に駆られるが、ぐっと堪える。

 昼休憩になると、俺はすぐに転移魔法で寝室へと戻った。

「! レオン!? どうして……」

「お前の顔が見たくなった」

 驚くエリアスを後ろから抱きしめ、その項に顔を埋める。
 ああ、落ち着く。
 彼の甘いオメガのフェロモンが、俺の荒んだ心を癒してくれる。

「昼食は一緒に食べよう。お前の好きな店のケーキも用意させた」

「……君は、仕事をサボってばかりだな」

「お前と過ごす時間より優先すべき仕事など、この世には存在しない」

 呆れたようにため息をつくエリアス。
 だが、その口元が微かに綻んでいるのを、俺は見逃さない。
 彼も、俺がそばにいることを、喜んでくれているのだ。

 午後の執務も、エリアスの様子を監視しながらなんとか乗り切った。
 そして、待ちに待った夜が訪れる。

 二人でゆっくりと湯浴みをし、身体を温めた後、ベッドに入る。
 ここからが、俺にとって一日で最も重要な時間だ。

「エリアス……」

「……ん」

 俺は彼の身体を抱き寄せ、その肌に、唇に、俺の愛を刻みつけていく。
 俺だけのものだと、何度でも、何度でも、その身体に教え込む。
 最初は恥ずかしがって抵抗する彼も、やがては熱に浮かされたように、俺の名を呼びながら喘いでくれる。
 その姿が、俺の独占欲をさらに掻き立てる。

「愛している、エリアス。誰よりも、何よりも」

「おれも……愛してる、レオン……っ」

 彼の愛の言葉を聞けるのなら、俺は悪魔にだって魂を売るだろう。
 いや、俺自身が悪魔になってもいい。
 彼を手に入れるためなら。

 激しく求め合った後、疲れて眠りについた彼の寝顔を見ながら、俺は再び思う。
 この腕の中にある温もりが、俺の全てだ。
 この幸せを、誰にも、たとえ神にだって、邪魔はさせない。

 もし、この世界に、ゲームのようなシナリオの強制力がまだ働いているのだとしたら。
 もし、エリアスを俺から奪おうとする何かが現れるのだとしたら。

 その時は、俺は躊躇わない。
 この世界そのものを、破壊してでも、俺はエリアスを守り抜く。

 俺、レオンハルト・フォン・ヴァイスフルトの一日は、こうして終わる。
 そして明日もまた、愛するエリアスの寝顔を眺めることから、俺の完璧な一日が始まるのだ。
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