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エピローグ「未来へ続く黄金の道」
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あれから五年という月日が流れた。
僕とアシュレイが番になってから国は大きく変わった。
僕の浄化の力はアシュレイの領地だけでなく、国中の土地を豊かにした。長年続いた凶作は終わりを告げ、人々の暮らしは格段に良くなった。
そして何より大きな変化は、オメガの社会的地位が向上したことだ。
公爵のパートナーがオメガであるという事実は、人々の偏見を少しずつ解きほぐしていった。今ではオメガもアルファやベータと同じように様々な職に就き、社会で活躍できるようになっている。
僕自身はアシュレイの隣で、公爵のパートナーとしての日々を送っている。
最初は戸惑うことばかりだったが、今ではすっかり板についた、と思う。多分。
「リアム、何をぼんやりしているんだ」
執務室で書類を眺めていた僕に、アシュレイが声をかけた。
彼は五年前と何も変わらず息を呑むほど美しい。ただその表情は昔のような氷の冷たさではなく、春の日差しのような温かさを湛えている。
「ううん。なんだか昔のことを思い出して」
「昔のこと?」
「初めてあなたに会った日のこと。あの頃はこんな未来が来るなんて、夢にも思わなかったなあって」
僕の言葉にアシュレイはふっと笑みをこぼした。そして僕の隣に立つと、窓の外に広がる王都の景色を眺めた。
活気に満ちた平和な街並み。
「あの時お前を見つけられたのは、俺の人生最大の幸運だった」
「僕もです。あなたに拾ってもらえて本当に良かった」
僕たちはどちらからともなく、そっと手を繋いだ。
お互いの薬指にはあの日交わした銀の指輪が輝いている。
「そういえばリアム、お前の故郷の村から手紙が届いていたぞ」
「本当か? 何と書いてあった?」
「今年も薬草が豊作らしい。近いうちにまた二人で顔を出しに行こう」
「うん!」
僕たちは時々こうして、お忍びで僕の故郷の村を訪れている。村のみんなはいつも温かく僕たちを迎えてくれる。僕にとってあの村はいつまでも大切な心の故郷だ。
そんな穏やかな会話をしていると、不意に執務室の扉がノックされた。
「失礼いたします。ギルバートでございます」
入ってきたのは少ししわが増えたが、相変わらず矍鑠(かくしゃく)としたギルバートさんだった。
「アシュレイ様、リアム様。次のお客様がお見えです」
「分かった。すぐに行く」
僕たちの毎日は忙しい。でもそれは幸せな忙しさだ。
僕たちは顔を見合わせて微笑み合うと、手を取り合って執務室を後にした。
これから先、僕たちの前にはどんな未来が待っているのだろう。
分からない。
でも一つだけ確かなことがある。
この人の手が隣にある限り、僕たちの道はきっとどこまでも黄金色に輝いている。
銀薔薇の公爵と、祝福されしオメガ。
僕たちの物語に終わりはない。
未来へと続く道を、僕たちはこれからも二人で歩いていく。
愛という名の、温かい光に導かれながら。
僕とアシュレイが番になってから国は大きく変わった。
僕の浄化の力はアシュレイの領地だけでなく、国中の土地を豊かにした。長年続いた凶作は終わりを告げ、人々の暮らしは格段に良くなった。
そして何より大きな変化は、オメガの社会的地位が向上したことだ。
公爵のパートナーがオメガであるという事実は、人々の偏見を少しずつ解きほぐしていった。今ではオメガもアルファやベータと同じように様々な職に就き、社会で活躍できるようになっている。
僕自身はアシュレイの隣で、公爵のパートナーとしての日々を送っている。
最初は戸惑うことばかりだったが、今ではすっかり板についた、と思う。多分。
「リアム、何をぼんやりしているんだ」
執務室で書類を眺めていた僕に、アシュレイが声をかけた。
彼は五年前と何も変わらず息を呑むほど美しい。ただその表情は昔のような氷の冷たさではなく、春の日差しのような温かさを湛えている。
「ううん。なんだか昔のことを思い出して」
「昔のこと?」
「初めてあなたに会った日のこと。あの頃はこんな未来が来るなんて、夢にも思わなかったなあって」
僕の言葉にアシュレイはふっと笑みをこぼした。そして僕の隣に立つと、窓の外に広がる王都の景色を眺めた。
活気に満ちた平和な街並み。
「あの時お前を見つけられたのは、俺の人生最大の幸運だった」
「僕もです。あなたに拾ってもらえて本当に良かった」
僕たちはどちらからともなく、そっと手を繋いだ。
お互いの薬指にはあの日交わした銀の指輪が輝いている。
「そういえばリアム、お前の故郷の村から手紙が届いていたぞ」
「本当か? 何と書いてあった?」
「今年も薬草が豊作らしい。近いうちにまた二人で顔を出しに行こう」
「うん!」
僕たちは時々こうして、お忍びで僕の故郷の村を訪れている。村のみんなはいつも温かく僕たちを迎えてくれる。僕にとってあの村はいつまでも大切な心の故郷だ。
そんな穏やかな会話をしていると、不意に執務室の扉がノックされた。
「失礼いたします。ギルバートでございます」
入ってきたのは少ししわが増えたが、相変わらず矍鑠(かくしゃく)としたギルバートさんだった。
「アシュレイ様、リアム様。次のお客様がお見えです」
「分かった。すぐに行く」
僕たちの毎日は忙しい。でもそれは幸せな忙しさだ。
僕たちは顔を見合わせて微笑み合うと、手を取り合って執務室を後にした。
これから先、僕たちの前にはどんな未来が待っているのだろう。
分からない。
でも一つだけ確かなことがある。
この人の手が隣にある限り、僕たちの道はきっとどこまでも黄金色に輝いている。
銀薔薇の公爵と、祝福されしオメガ。
僕たちの物語に終わりはない。
未来へと続く道を、僕たちはこれからも二人で歩いていく。
愛という名の、温かい光に導かれながら。
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