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番外編3「黒竜は見ていた」
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我は、レギウス。
この地の空の王者なり。
そして、我が主、カイル・ヴァルトシュタインの唯一の相棒である。
我が主は、強い。
人間の中では、並ぶ者なき最強の戦士だ。
しかし同時に、ひどく不器用で孤独な男でもあった。
我は、ずっと彼の背中を見てきた。
彼が幼い頃から一人で剣を振り続けていたことも。
両親を失い、心を閉ざしてしまったことも。
誰にも弱さを見せず、ただひたすらに己を鍛え続けていたことも。
全て、知っている。
我は、彼にとって唯一心を許せる存在だったのだろう。
だが、我は竜だ。
人間の心の機微を、完全に理解することはできない。
彼が抱える深い孤独を、癒やしてやることはできなかった。
いつか、彼の凍てついた心を溶かしてくれる存在が、現れないものか。
我は、密かにそう願っていた。
そして、あの日。
森で、我らは出会った。
あの、銀色の髪のオメガに。
彼から漂ってきた甘い香りを吸い込んだ瞬間。
我が主の纏う空気が一変したのを、我は感じた。
それは、何千年も眠っていた火山が噴火するような、激しい変化だった。
我が主の魂が、歓喜に打ち震えている。
ようやく、見つけたと。
己の半身を。
運命の番。
我ら竜の間にも存在する、絶対的な絆。
我が主は、その奇跡と出会ったのだ。
あのオメガは、最初はひどく怯えていた。
無理もない。
彼は、多くの人間に傷つけられてきたのだろう。
その魂の震えが、我にも伝わってきた。
だが、我が主は根気強く彼に寄り添い続けた。
不器用ながらも、その全ての愛情を注いで。
やがて、あのオメガ――リアムは、少しずつ心を開いていった。
彼が初めて我が主に笑いかけた日。
我が主がどれほど喜んでいたか。
彼が我の頭を撫でてくれた、あの柔らかな手の感触。
我は、決して忘れないだろう。
そして、リアムがその奇跡の力で瀕死だった我の命を救ってくれた、あの日のこと。
黄金の光に包まれた時、我は感じた。
この方こそ、我が主の隣に立つにふさわしい魂の持ち主なのだ、と。
今、我が主は幸せそうだ。
リアムの隣で笑う彼の顔は、我も見たことがないほど穏やかで、優しい。
もう、彼は孤独ではない。
我の役目は、終わったのかもしれない。
いや、そうではあるまい。
これからは主とその番、二人をこの背に乗せ、空を飛ぶのだ。
そして、いつか生まれてくるであろう新しい命も。
それも、また一興であろう。
我は、一声高く咆哮した。
どこまでも広がる青い空。
我が主とその番が作り出す新しい世界を、我は、この空の上からずっと見守り続けていこう。
彼らの幸せが永遠に続くように、と願いながら。
この地の空の王者なり。
そして、我が主、カイル・ヴァルトシュタインの唯一の相棒である。
我が主は、強い。
人間の中では、並ぶ者なき最強の戦士だ。
しかし同時に、ひどく不器用で孤独な男でもあった。
我は、ずっと彼の背中を見てきた。
彼が幼い頃から一人で剣を振り続けていたことも。
両親を失い、心を閉ざしてしまったことも。
誰にも弱さを見せず、ただひたすらに己を鍛え続けていたことも。
全て、知っている。
我は、彼にとって唯一心を許せる存在だったのだろう。
だが、我は竜だ。
人間の心の機微を、完全に理解することはできない。
彼が抱える深い孤独を、癒やしてやることはできなかった。
いつか、彼の凍てついた心を溶かしてくれる存在が、現れないものか。
我は、密かにそう願っていた。
そして、あの日。
森で、我らは出会った。
あの、銀色の髪のオメガに。
彼から漂ってきた甘い香りを吸い込んだ瞬間。
我が主の纏う空気が一変したのを、我は感じた。
それは、何千年も眠っていた火山が噴火するような、激しい変化だった。
我が主の魂が、歓喜に打ち震えている。
ようやく、見つけたと。
己の半身を。
運命の番。
我ら竜の間にも存在する、絶対的な絆。
我が主は、その奇跡と出会ったのだ。
あのオメガは、最初はひどく怯えていた。
無理もない。
彼は、多くの人間に傷つけられてきたのだろう。
その魂の震えが、我にも伝わってきた。
だが、我が主は根気強く彼に寄り添い続けた。
不器用ながらも、その全ての愛情を注いで。
やがて、あのオメガ――リアムは、少しずつ心を開いていった。
彼が初めて我が主に笑いかけた日。
我が主がどれほど喜んでいたか。
彼が我の頭を撫でてくれた、あの柔らかな手の感触。
我は、決して忘れないだろう。
そして、リアムがその奇跡の力で瀕死だった我の命を救ってくれた、あの日のこと。
黄金の光に包まれた時、我は感じた。
この方こそ、我が主の隣に立つにふさわしい魂の持ち主なのだ、と。
今、我が主は幸せそうだ。
リアムの隣で笑う彼の顔は、我も見たことがないほど穏やかで、優しい。
もう、彼は孤独ではない。
我の役目は、終わったのかもしれない。
いや、そうではあるまい。
これからは主とその番、二人をこの背に乗せ、空を飛ぶのだ。
そして、いつか生まれてくるであろう新しい命も。
それも、また一興であろう。
我は、一声高く咆哮した。
どこまでも広がる青い空。
我が主とその番が作り出す新しい世界を、我は、この空の上からずっと見守り続けていこう。
彼らの幸せが永遠に続くように、と願いながら。
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