出来損ないと虐げられ追放されたオメガですが、辺境で運命の番である最強竜騎士様にその身も心も溺愛され、聖女以上の力を開花させ幸せになります

水凪しおん

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エピローグ「君と見る未来」

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 あの衝撃的な懐妊の知らせから、季節は二つ巡った。
 辺境の地には、厳しい、しかし美しい冬が訪れていた。
 城の窓の外は、一面の銀世界。
 暖炉の火がぱちぱちと音を立てて燃えている。
 その暖かな部屋で、僕は揺り椅子に座り、腕の中の小さな命を見つめていた。
 一月前に生まれた、僕とカイル様の愛しい息子。
 名前は、アルス。
 この土地の古い言葉で、「光」を意味する名前だ。
 アルスは僕の腕の中で、すやすやと気持ちよさそうに眠っている。
 その小さな寝顔は、驚くほどカイル様にそっくりだった。
 特に、その髪の色。
 カイル様と同じ、美しい銀色。
 でも、時々薄く目を開けた時に見える瞳の色は、僕と同じ青色だった。
 僕たちの愛の証。
 こんなにも愛おしい存在が、この世にあるなんて。
 僕は、アルスの柔らかな頬にそっとキスをした。
「…静かだな、と思ったら、ここにいたのか」
 背後から優しい声がして振り返ると、カイル様が立っていた。
 彼は執務を終えてきたのだろう。
 僕の隣にそっと腰を下ろすと、アルスの寝顔を覗き込んだ。
 その眼差しは、父親としての深い愛情に満ちている。
「よく眠っているな」
「はい。ミルクをたくさん飲んだので」
 カイル様は、アルスの小さな手をその大きな指でそっとつついた。
 すると、アルスは眠ったままその指をきゅっと握り返す。
 そのあまりにも愛らしい光景に、僕たちはどちらからともなく顔を見合わせて微笑んだ。
「…リアム」
 カイル様が、僕の肩を優しく抱き寄せた。
「ありがとう」
「何がですか?」
「全てだ。俺に家族をくれて。俺を幸せにしてくれて」
 彼の真剣な言葉に、僕の胸は温かくなる。
「僕の方こそ、ありがとうございます。カイル様が僕を見つけてくれなかったら、僕は今、ここにいませんでした」
 絶望の淵にいた僕を救い出してくれたのは、彼なのだから。
 僕たちはしばらく寄り添って、暖炉の火と腕の中のアルスの寝顔を見つめていた。
 外は雪が降り続いている。
 でも、この部屋の中は世界で一番温かい場所に違いなかった。
「…リアム」
 カイル様が、もう一度僕の名前を呼んだ。
「ん?」
「愛している」
 それは、僕が何度も彼から聞いてきた言葉。
 でも、聞くたびに初めて聞いた時のように、胸が高鳴る。
 僕は、カイル様の胸にそっと頭を預けた。
「僕もです、カイル様。世界で一番、愛しています」
 僕の答えに、彼は満足そうにうなずくと、僕の髪に優しくキスをした。
 腕の中には、愛しい我が子。
 隣には、愛する夫。
 窓の外には、僕たちが愛する豊かな大地が広がっている。
 僕は、もう何も望まない。
 僕の幸せは、全てここにあるのだから。
 物語は、絶望から始まった。
 でも、その終わりは、こんなにも温かい光に満ちている。
 これからも僕たちの物語は続いていく。
 この愛する家族と共に。
 この光の満ちる地で。
 永遠に、幸せな未来を紡ぎながら。
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