捨てられたオメガの参謀、野良犬王子に拾われる。言葉の魔法で選挙に勝ったら、次期国王に溺愛されて逃げられません!

水凪しおん

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第13話「つがいの儀式」

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 その夜、俺たちは寝室にいた。

 広いベッドの上、月明かりだけが二人を照らしている。

 抑制剤を飲んでいない俺の身体は、コウガのフェロモンに反応し、熱く火照っていた。

 だが、それは苦しい発情の熱ではない。愛する人に求められる喜びと、彼を受け入れたいという純粋な欲求からくる熱だった。

「……いいのか、ミナト」

 コウガが俺の上に覆いかぶさり、問いかけてくる。

 その声は掠れ、情欲を必死に抑えているのが分かった。

 オメガの首筋にある「腺」を噛み、己のフェロモンを注ぎ込むこと。それが「マーキング」であり、生涯の伴侶となる「つがい」の儀式だ。

 一度つがいになれば、もう二度と他の誰とも結ばれることはない。魂レベルでの契約。

「……あなたがいいんです。コウガじゃなきゃ、嫌だ」

 俺は彼の首に腕を回し、自ら首筋を晒した。

 白く脈打つそこは、俺の急所であり、彼を受け入れるための唯一の場所。

 コウガの瞳が金色に輝き、理性のタガが外れる音が聞こえた気がした。

「愛してる。ミナト、俺の全てをお前にやる」

 熱い唇が首筋に触れ、そして鋭い犬歯が皮膚を突き破った。

 激痛と共に、脳髄が痺れるような快感が全身を駆け巡る。

 彼の熱が、存在が、俺の中に流れ込んでくる。

 血液が沸騰し、魂が溶け合う感覚。

 俺は声を上げて背中を反らせ、彼の背中に爪を立てた。

「あ……っ、コウガ……!」

 痛みが快楽に変わり、意識が白く染まっていく。

 これまで感じてきた孤独や不安が、全て彼によって塗り替えられていく。

 俺はもう一人じゃない。

 半身を見つけたのだ。

 儀式を終え、俺たちは汗にまみれて抱き合ったまま、荒い息を整えていた。

 首筋に残る噛み跡が、ジンジンと熱を持って俺の所有者を主張している。

 コウガは愛おしそうにその跡を舐め、俺の額にキスをした。

「これで、お前は俺のものだ。死んでも離さない」

「……ええ。俺も、あなたのものです」

 窓の外では、新しい朝が始まろうとしていた。

 雨上がりのような清々しい空気。

 俺たちの物語は、ここから本当の意味で始まるのだ。

 二人で歩む、幸せな未来への第一歩が。
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