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エピローグ「永遠の誓い」
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あれから、二年。
僕たちは、あの海辺の小さな教会で、本当に結婚式を挙げた。
参列者は、雫と、高遠さんだけ。でも、僕たちにとっては、誰よりも大切な人たちに見守られての、温かい式だった。
すっかり元気になった雫は、花屋の仕事を手伝うかたわら、大学で薬学の勉強に励んでいる。将来は、自分と同じように病気で苦しむ人を助けたいというのが、彼女の新たな夢になった。
高遠さんは、相変わらず戒吏さんの右腕として、完璧に仕事をこなしている。時々、僕たちのことを、父親のような、兄のような、優しい目で見守ってくれるのが、なんだか少し、くすぐったい。
そして、僕と戒吏さんは――。
「湊、冷えるといけない。これを羽織りなさい」
式の後、教会の庭で海を眺めていた僕の肩に、戒吏さんがそっと自分のジャケットをかけてくれた。
春とはいえ、海風はまだ少し肌寒い。
僕の左手の薬指には、あの日もらった指輪と、今日の式で交換した、揃いの結婚指輪が輝いている。
「ありがとうございます。でも、あなたこそ、寒くないですか?」
「俺はアルファだからな。寒さには強い」
そう言って、彼は悪戯っぽく笑う。
最近、彼はよく笑うようになった。昔の、氷のような表情はもうどこにもない。
僕が彼の隣にいることが、当たり前になったからだろうか。そうだと、嬉しいな。
戒吏さんは、僕の後ろから、優しくお腹を抱きしめるようにして、僕の肩に顎を乗せた。
「……順調か?」
「はい。今日も、元気に動いてましたよ」
僕は、自分の少し膨らんだお腹を、愛おしげに撫でた。
この中には、僕と戒吏さんの、新しい命が宿っている。
月魄のオメガは、番との結びつきが強ければ、子を成すことができる。僕たちのもとに、小さな奇跡が舞い降りてきてくれたのだ。
「早く、会いたいな」
戒吏さんが、僕のお腹に優しく頬ずりする。
その仕草は、日本経済を牛耳る冷徹な支配者の姿からは、想像もつかないほど穏やかで、愛情に満ちていた。
「戒吏さん」
「ん?」
「僕、今、すごく幸せです」
雨の日に、あの花屋であなたに出会えて、本当によかった。
最初は、怖くて、恐ろしい人としか思えなかったけれど。
あなたの不器用な優しさに触れて、あなたの孤独を知って、いつの間にか、どうしようもなく惹かれていた。
僕を、呪われた運命から救い出してくれて、ありがとう。
僕の言葉に、彼は何も言わず、ただ、僕を抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。
言葉なんて、いらない。
お互いの気持ちは、もう、痛いほど分かっているから。
「愛しているよ、湊。……俺の、たった一人の、月の女神」
耳元で囁かれた甘い言葉に、僕は幸せを噛み締めながら、そっと目を閉じた。
遠くで、教会の鐘の音が鳴り響く。
それは、僕たちの永遠の愛を誓う、祝福の音色。
孤独だった月は、絶対的な太陽と出会い、その光の中で、穏やかに、そして永遠に輝き続ける。
僕たちの物語は、まだ始まったばかりだ。
僕たちは、あの海辺の小さな教会で、本当に結婚式を挙げた。
参列者は、雫と、高遠さんだけ。でも、僕たちにとっては、誰よりも大切な人たちに見守られての、温かい式だった。
すっかり元気になった雫は、花屋の仕事を手伝うかたわら、大学で薬学の勉強に励んでいる。将来は、自分と同じように病気で苦しむ人を助けたいというのが、彼女の新たな夢になった。
高遠さんは、相変わらず戒吏さんの右腕として、完璧に仕事をこなしている。時々、僕たちのことを、父親のような、兄のような、優しい目で見守ってくれるのが、なんだか少し、くすぐったい。
そして、僕と戒吏さんは――。
「湊、冷えるといけない。これを羽織りなさい」
式の後、教会の庭で海を眺めていた僕の肩に、戒吏さんがそっと自分のジャケットをかけてくれた。
春とはいえ、海風はまだ少し肌寒い。
僕の左手の薬指には、あの日もらった指輪と、今日の式で交換した、揃いの結婚指輪が輝いている。
「ありがとうございます。でも、あなたこそ、寒くないですか?」
「俺はアルファだからな。寒さには強い」
そう言って、彼は悪戯っぽく笑う。
最近、彼はよく笑うようになった。昔の、氷のような表情はもうどこにもない。
僕が彼の隣にいることが、当たり前になったからだろうか。そうだと、嬉しいな。
戒吏さんは、僕の後ろから、優しくお腹を抱きしめるようにして、僕の肩に顎を乗せた。
「……順調か?」
「はい。今日も、元気に動いてましたよ」
僕は、自分の少し膨らんだお腹を、愛おしげに撫でた。
この中には、僕と戒吏さんの、新しい命が宿っている。
月魄のオメガは、番との結びつきが強ければ、子を成すことができる。僕たちのもとに、小さな奇跡が舞い降りてきてくれたのだ。
「早く、会いたいな」
戒吏さんが、僕のお腹に優しく頬ずりする。
その仕草は、日本経済を牛耳る冷徹な支配者の姿からは、想像もつかないほど穏やかで、愛情に満ちていた。
「戒吏さん」
「ん?」
「僕、今、すごく幸せです」
雨の日に、あの花屋であなたに出会えて、本当によかった。
最初は、怖くて、恐ろしい人としか思えなかったけれど。
あなたの不器用な優しさに触れて、あなたの孤独を知って、いつの間にか、どうしようもなく惹かれていた。
僕を、呪われた運命から救い出してくれて、ありがとう。
僕の言葉に、彼は何も言わず、ただ、僕を抱きしめる腕に、少しだけ力を込めた。
言葉なんて、いらない。
お互いの気持ちは、もう、痛いほど分かっているから。
「愛しているよ、湊。……俺の、たった一人の、月の女神」
耳元で囁かれた甘い言葉に、僕は幸せを噛み締めながら、そっと目を閉じた。
遠くで、教会の鐘の音が鳴り響く。
それは、僕たちの永遠の愛を誓う、祝福の音色。
孤独だった月は、絶対的な太陽と出会い、その光の中で、穏やかに、そして永遠に輝き続ける。
僕たちの物語は、まだ始まったばかりだ。
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