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第17話:世界の真実と運命の番
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公爵邸に帰る馬車の中、俺とシリウスは、どちらからともなく手を繋いでいた。
さっきまでの張り詰めた空気が嘘のように、今は穏やかで、温かい時間が流れている。
「あの、シリウス様」
「シリウス、でいい」
「……シリウス。一つ、聞いてもいいですか?」
「なんだ」
「あなたが最初に言っていた、『運命の番』って……一体何なんですか?」
俺の質問に、シリウスは少し驚いた顔をしたが、やがてゆっくりと語り始めた。
「この世界の一部のアルファとオメガの間には、魂レベルで惹かれ合う、特別な繋がりが存在する。それが『運命の番』だ」
彼の話によると、運命の番は非常に稀な存在で、出会える確率は奇跡に近いという。番同士は互いのフェロモンを最も心地よく感じ、他の誰にも代えがたい安らぎを得ることができる。そして何より、魂の片割れとも言うべき相手に、抗いがたいほど強く惹かれるのだそうだ。
「私は、長年フェロモン過敏症に苦しんできた。どんなフェロモンも、私にとっては苦痛でしかなかった。だが、あの日、学園のテラスでお前に出会った時、初めて不快ではない……むしろ、心地よいと感じる匂いに触れた」
それが、俺のフェロモンだった。
「その時から、お前が私の『運命の番』なのではないかと感じていた。そして、お前がヒートを起こした時、その確信は揺るぎないものになった。お前のフェロモンだけが、私の苦しみを癒せる唯一の特効薬だったんだ」
だから彼は、俺を手に入れるためなら手段を選ばなかった。俺が何か勘違いしていることにも薄々気づいてはいたが、それでも俺を側に置けるならと、あえて泳がせていたらしい。
「……なんて腹黒いんだ」
「何とでも言え。お前を手に入れられるなら、悪魔にだってなってやる」
そう言って悪びれもせずに笑う彼の顔は、本当に幸せそうだった。
俺はようやく、全てのピースが繋がったような気がした。
破滅フラグも、悪役令嬢も、断罪エンドも、最初から存在しなかったんだ。俺が勝手に作り上げた、妄想の産物だった。
この世界は、乙女ゲームのシナリオ通りに進んでいるわけじゃない。人々はそれぞれの意思を持って、それぞれの人生を生きている。姉さんはただの優しい姉さんで、シリウスはただ、俺を愛してくれる一人の男だった。
「そっか……全部、俺の勘違いだったんだ……」
全ての思い込みから解放された瞬間、俺はなんだかおかしくなって、ふふっと笑ってしまった。今までの自分の必死な奮闘が、まるで壮大な一人芝居のようで、恥ずかしくもあり、愛おしくもあった。
「やっと、笑ったな」
シリウスが、愛おしげに俺の髪を撫でる。
「これからは、もう何も心配しなくていい。私が生涯、お前を守る」
「……はい」
俺は彼の肩にこてんと頭を預けた。
もう、怯える必要はない。疑う必要もない。
俺はただ、彼の愛を、この温もりを、真正面から受け入れればいいんだ。
長い長い勘違いのトンネルを抜けた先には、眩しいほどの光に満ちた、幸せな未来が待っている。俺は、そのことを確信していた。
さっきまでの張り詰めた空気が嘘のように、今は穏やかで、温かい時間が流れている。
「あの、シリウス様」
「シリウス、でいい」
「……シリウス。一つ、聞いてもいいですか?」
「なんだ」
「あなたが最初に言っていた、『運命の番』って……一体何なんですか?」
俺の質問に、シリウスは少し驚いた顔をしたが、やがてゆっくりと語り始めた。
「この世界の一部のアルファとオメガの間には、魂レベルで惹かれ合う、特別な繋がりが存在する。それが『運命の番』だ」
彼の話によると、運命の番は非常に稀な存在で、出会える確率は奇跡に近いという。番同士は互いのフェロモンを最も心地よく感じ、他の誰にも代えがたい安らぎを得ることができる。そして何より、魂の片割れとも言うべき相手に、抗いがたいほど強く惹かれるのだそうだ。
「私は、長年フェロモン過敏症に苦しんできた。どんなフェロモンも、私にとっては苦痛でしかなかった。だが、あの日、学園のテラスでお前に出会った時、初めて不快ではない……むしろ、心地よいと感じる匂いに触れた」
それが、俺のフェロモンだった。
「その時から、お前が私の『運命の番』なのではないかと感じていた。そして、お前がヒートを起こした時、その確信は揺るぎないものになった。お前のフェロモンだけが、私の苦しみを癒せる唯一の特効薬だったんだ」
だから彼は、俺を手に入れるためなら手段を選ばなかった。俺が何か勘違いしていることにも薄々気づいてはいたが、それでも俺を側に置けるならと、あえて泳がせていたらしい。
「……なんて腹黒いんだ」
「何とでも言え。お前を手に入れられるなら、悪魔にだってなってやる」
そう言って悪びれもせずに笑う彼の顔は、本当に幸せそうだった。
俺はようやく、全てのピースが繋がったような気がした。
破滅フラグも、悪役令嬢も、断罪エンドも、最初から存在しなかったんだ。俺が勝手に作り上げた、妄想の産物だった。
この世界は、乙女ゲームのシナリオ通りに進んでいるわけじゃない。人々はそれぞれの意思を持って、それぞれの人生を生きている。姉さんはただの優しい姉さんで、シリウスはただ、俺を愛してくれる一人の男だった。
「そっか……全部、俺の勘違いだったんだ……」
全ての思い込みから解放された瞬間、俺はなんだかおかしくなって、ふふっと笑ってしまった。今までの自分の必死な奮闘が、まるで壮大な一人芝居のようで、恥ずかしくもあり、愛おしくもあった。
「やっと、笑ったな」
シリウスが、愛おしげに俺の髪を撫でる。
「これからは、もう何も心配しなくていい。私が生涯、お前を守る」
「……はい」
俺は彼の肩にこてんと頭を預けた。
もう、怯える必要はない。疑う必要もない。
俺はただ、彼の愛を、この温もりを、真正面から受け入れればいいんだ。
長い長い勘違いのトンネルを抜けた先には、眩しいほどの光に満ちた、幸せな未来が待っている。俺は、そのことを確信していた。
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