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エピローグ「雨音は祝福の歌」
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数年後。
『月の雫薬局』は改装され、今は誰でも利用できる無料診療所としてスラムの人々に親しまれていた。
ルカは週に数回、ここで診療を行っている。
「先生、ありがとうございました!」
「ああ、大事にな」
患者を見送ったルカの足元に、小さな子供が駆け寄ってくる。
「パパ! みてみて、お花さいたよ!」
金色の髪と、ルカ譲りの琥珀色の瞳を持つ男の子だ。
「おお、すごいな。これはパパが昔、大好きだった花だよ」
ルカが子供を抱き上げると、入り口からクラウスが入ってきた。年を重ね、目尻に皺が増えたが、その渋い魅力は増すばかりだ。
「迎えに来たよ、ルカ。……おや、小さな騎士も一緒か」
「ダディ!」
子供がクラウスに飛び移る。
「今日は雨が降りそうだ。馬車で帰ろう」
クラウスが空を見上げる。灰色の雲が近づいていた。
かつては孤独と絶望の象徴だった雨。
けれど今は違う。
「雨も悪くないな。家に帰って、みんなで暖炉の前でココアでも飲もうか」
ルカが言うと、クラウスと子供が同時に「賛成!」と声を上げた。
三人は寄り添いながら、雨が降り始めた街を歩いていく。
ポツポツと傘を叩く雨音は、まるで彼らの幸せな日々に拍手を送る祝福の歌のように聞こえた。
ルカは空を見上げ、小さく微笑んだ。
賞味期限なんてない。
愛がある限り、人生はどこまでも続いていくのだ。
ルカはクラウスの手を強く握り返した。その手は、昔と変わらず温かく、そして力強かった。
『月の雫薬局』は改装され、今は誰でも利用できる無料診療所としてスラムの人々に親しまれていた。
ルカは週に数回、ここで診療を行っている。
「先生、ありがとうございました!」
「ああ、大事にな」
患者を見送ったルカの足元に、小さな子供が駆け寄ってくる。
「パパ! みてみて、お花さいたよ!」
金色の髪と、ルカ譲りの琥珀色の瞳を持つ男の子だ。
「おお、すごいな。これはパパが昔、大好きだった花だよ」
ルカが子供を抱き上げると、入り口からクラウスが入ってきた。年を重ね、目尻に皺が増えたが、その渋い魅力は増すばかりだ。
「迎えに来たよ、ルカ。……おや、小さな騎士も一緒か」
「ダディ!」
子供がクラウスに飛び移る。
「今日は雨が降りそうだ。馬車で帰ろう」
クラウスが空を見上げる。灰色の雲が近づいていた。
かつては孤独と絶望の象徴だった雨。
けれど今は違う。
「雨も悪くないな。家に帰って、みんなで暖炉の前でココアでも飲もうか」
ルカが言うと、クラウスと子供が同時に「賛成!」と声を上げた。
三人は寄り添いながら、雨が降り始めた街を歩いていく。
ポツポツと傘を叩く雨音は、まるで彼らの幸せな日々に拍手を送る祝福の歌のように聞こえた。
ルカは空を見上げ、小さく微笑んだ。
賞味期限なんてない。
愛がある限り、人生はどこまでも続いていくのだ。
ルカはクラウスの手を強く握り返した。その手は、昔と変わらず温かく、そして力強かった。
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