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第4話「氷解の夜、刻まれた執着」
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意識は熱の海に沈んでいた。フィンはただ与えられる快感の波に翻弄されることしかできない。自分を組み敷いている男が誰なのか、ここがどこなのか、そんな思考はとうの昔に放棄していた。ただ本能だけが目の前のアルファを求め、その愛撫にもっと溺れたいと叫んでいた。
「フィン……いい声だ。もっと聞かせろ」
ゼイドの声は、普段の冷静沈着な彼からは想像もつかないほど甘く、そして熱を帯びていた。彼はフィンの身体の隅々まで、まるで聖地を巡る巡礼者のように丁寧に、そして執拗に愛撫を繰り返す。その指が触れるたび、唇が吸い付くたびに、フィンの身体は敏感に反応し甘い声とフェロモンを撒き散らした。
「あっ……ん、ぁ……や、だ……そこは……」
「嫌なのか?こんなにも濡れているのに?」
意地悪く笑いながら、ゼイドはフィンの弱点を探り当てる。初めての経験で、どこをどうされれば気持ちいいのかなどフィン自身も分かっていない。だがゼイドはまるで全てを知っているかのように、的確にフィンの快感を導き出していく。
その瑠璃色の瞳には、獰猛なまでの独占欲と焦がれるような愛情が渦巻いていた。フィンはその瞳に見つめられると、まるで身体の芯まで見透かされているような気分になり、羞恥で頬を染めることしかできなかった。
「綺麗だ、フィン。お前は俺だけのものだ」
ゼイドはそう囁くと、とうとう自身の熱く硬くなったものを、躊躇いなくフィンの内側へと押し入れた。
「いっ……!?」
初めての侵入に、フィンの身体が強張る。灼けるような痛みと、内側から押し広げられる異物感。しかしそれも束の間、ゼイドのフェロモンが奔流のように流れ込み、痛みはすぐに痺れるような快感へと変わっていった。
「力を抜け。すぐに気持ちよくなる」
ゼイドはフィンの耳元で甘く囁き、その言葉を証明するかのようにゆっくりと腰を動かし始める。最初は戸惑っていたフィンも、次第にそのリズムに身を委ね喘ぎ声を漏らし始めた。体格差は歴然で、フィンはゼイドの逞しい腕の中にすっぽりと収まってしまう。その事実が、なぜかフィンの心を安心させた。
何度も、何度も深く突き上げられるたびに、思考が白く染まっていく。ゼイドがフィンの名前を呼ぶ。フィンも無意識のうちにゼイドの背中に腕を回し、そのたくましい筋肉に爪を立てていた。
どれくらいの時間が経っただろうか。長いようで、一瞬のようにも思える時間が過ぎていく。ゼイドは決して急ぐことなく、フィンの身体が完全に自分を受け入れるまで優しく愛を注ぎ続けた。
そしてゼイドの動きがひときわ激しくなったかと思うと、フィンの身体の奥で熱い奔流が解き放たれた。
「ひゃっ……!?」
奥の奥まで満たされる感覚に、フィンの全身が痙攣する。それと同時にフィン自身も初めての絶頂を迎え、思考が完全に真っ白になった。
「はぁ……はぁ……」
荒い息を繰り返すフィンの額に、ゼイドは優しい口づけを落とす。
「これで、お前は名実ともに俺の番だ。誰にも渡しはしない」
その言葉は愛の囁きであると同時に、決して逃がさないという強い意志の表れでもあった。フィンは朦朧とする意識の中、自分のうなじに刻まれたであろう番の痕にそっと指で触れた。同じものが、自分の項にも刻まれているのだろうか。
発情の熱は、一度の交わりでは収まらなかった。むしろ番のアルファと結ばれたことで、フィンの身体はさらに敏感になりゼイドを求めるようになっていた。意識を取り戻しては求められ、気を失うように眠り、そしてまた熱に浮かされて目を覚ます。その繰り返しだった。
ゼイドは疲弊しているはずのフィンの身体を気遣いながらも、その執着を決して緩めはしなかった。食事も水分補給も、全て彼が口移しで与えた。フィンが少しでも眉を寄せれば、どこか痛むのかと心配し甘い言葉で慰める。戦場での「氷の鬼神」の姿など、そこには微塵もなかった。
三日三晩、二人はベッドの上で互いを求め続けた。
そしてようやく熱の嵐が過ぎ去った朝。フィンは、久しぶりに明瞭な意識で目を覚ました。身体は鉛のように重く、あちこちが気だるく痛む。だが、不思議と不快感はなかった。
隣には、穏やかな寝息を立てるゼイドの姿があった。眠っている時の彼は鬼神の面影はなく、年相応の青年のように見える。その整った寝顔を見ていると、この数日間の出来事が夢ではなかったのだとフィンは改めて実感した。
自分がオメガになり、この国の英雄と番になってしまった。
『これから、どうなるんだろう……』
前世の記憶を持つフィンにとって、運命の番という概念はどこか現実味のないものだった。だがゼイドの自分に向ける執着と愛情は、紛れもなく本物だ。彼の腕の中で、フィンは前世でも今世でも感じたことのない、不思議な安らぎを感じていた。
スローライフを送るという夢は、どうやら叶いそうにない。
フィンは小さくため息をつくと、自分を抱きしめるゼイドの腕にそっと身を寄せた。今はただ、この温もりの中にいたい。そう思った。
「フィン……いい声だ。もっと聞かせろ」
ゼイドの声は、普段の冷静沈着な彼からは想像もつかないほど甘く、そして熱を帯びていた。彼はフィンの身体の隅々まで、まるで聖地を巡る巡礼者のように丁寧に、そして執拗に愛撫を繰り返す。その指が触れるたび、唇が吸い付くたびに、フィンの身体は敏感に反応し甘い声とフェロモンを撒き散らした。
「あっ……ん、ぁ……や、だ……そこは……」
「嫌なのか?こんなにも濡れているのに?」
意地悪く笑いながら、ゼイドはフィンの弱点を探り当てる。初めての経験で、どこをどうされれば気持ちいいのかなどフィン自身も分かっていない。だがゼイドはまるで全てを知っているかのように、的確にフィンの快感を導き出していく。
その瑠璃色の瞳には、獰猛なまでの独占欲と焦がれるような愛情が渦巻いていた。フィンはその瞳に見つめられると、まるで身体の芯まで見透かされているような気分になり、羞恥で頬を染めることしかできなかった。
「綺麗だ、フィン。お前は俺だけのものだ」
ゼイドはそう囁くと、とうとう自身の熱く硬くなったものを、躊躇いなくフィンの内側へと押し入れた。
「いっ……!?」
初めての侵入に、フィンの身体が強張る。灼けるような痛みと、内側から押し広げられる異物感。しかしそれも束の間、ゼイドのフェロモンが奔流のように流れ込み、痛みはすぐに痺れるような快感へと変わっていった。
「力を抜け。すぐに気持ちよくなる」
ゼイドはフィンの耳元で甘く囁き、その言葉を証明するかのようにゆっくりと腰を動かし始める。最初は戸惑っていたフィンも、次第にそのリズムに身を委ね喘ぎ声を漏らし始めた。体格差は歴然で、フィンはゼイドの逞しい腕の中にすっぽりと収まってしまう。その事実が、なぜかフィンの心を安心させた。
何度も、何度も深く突き上げられるたびに、思考が白く染まっていく。ゼイドがフィンの名前を呼ぶ。フィンも無意識のうちにゼイドの背中に腕を回し、そのたくましい筋肉に爪を立てていた。
どれくらいの時間が経っただろうか。長いようで、一瞬のようにも思える時間が過ぎていく。ゼイドは決して急ぐことなく、フィンの身体が完全に自分を受け入れるまで優しく愛を注ぎ続けた。
そしてゼイドの動きがひときわ激しくなったかと思うと、フィンの身体の奥で熱い奔流が解き放たれた。
「ひゃっ……!?」
奥の奥まで満たされる感覚に、フィンの全身が痙攣する。それと同時にフィン自身も初めての絶頂を迎え、思考が完全に真っ白になった。
「はぁ……はぁ……」
荒い息を繰り返すフィンの額に、ゼイドは優しい口づけを落とす。
「これで、お前は名実ともに俺の番だ。誰にも渡しはしない」
その言葉は愛の囁きであると同時に、決して逃がさないという強い意志の表れでもあった。フィンは朦朧とする意識の中、自分のうなじに刻まれたであろう番の痕にそっと指で触れた。同じものが、自分の項にも刻まれているのだろうか。
発情の熱は、一度の交わりでは収まらなかった。むしろ番のアルファと結ばれたことで、フィンの身体はさらに敏感になりゼイドを求めるようになっていた。意識を取り戻しては求められ、気を失うように眠り、そしてまた熱に浮かされて目を覚ます。その繰り返しだった。
ゼイドは疲弊しているはずのフィンの身体を気遣いながらも、その執着を決して緩めはしなかった。食事も水分補給も、全て彼が口移しで与えた。フィンが少しでも眉を寄せれば、どこか痛むのかと心配し甘い言葉で慰める。戦場での「氷の鬼神」の姿など、そこには微塵もなかった。
三日三晩、二人はベッドの上で互いを求め続けた。
そしてようやく熱の嵐が過ぎ去った朝。フィンは、久しぶりに明瞭な意識で目を覚ました。身体は鉛のように重く、あちこちが気だるく痛む。だが、不思議と不快感はなかった。
隣には、穏やかな寝息を立てるゼイドの姿があった。眠っている時の彼は鬼神の面影はなく、年相応の青年のように見える。その整った寝顔を見ていると、この数日間の出来事が夢ではなかったのだとフィンは改めて実感した。
自分がオメガになり、この国の英雄と番になってしまった。
『これから、どうなるんだろう……』
前世の記憶を持つフィンにとって、運命の番という概念はどこか現実味のないものだった。だがゼイドの自分に向ける執着と愛情は、紛れもなく本物だ。彼の腕の中で、フィンは前世でも今世でも感じたことのない、不思議な安らぎを感じていた。
スローライフを送るという夢は、どうやら叶いそうにない。
フィンは小さくため息をつくと、自分を抱きしめるゼイドの腕にそっと身を寄せた。今はただ、この温もりの中にいたい。そう思った。
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