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第19話 黒幕の断罪
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クラウス王子の味覚が戻り、彼が心からの謝罪を捧げたことで、事態は大きく動き出した。正気を取り戻した王子は、ギデオンの協力のもと、自らの食事に毒を盛っていた犯人の調査を即座に開始した。
調査は、驚くほど簡単だった。王子の味覚が正常化した今、食事に仕込まれたごく微量の毒は、彼自身が即座に見抜くことができたからだ。
「この肉料理……!かすかに、苦みと痺れがある。これだ!」
クラウスの証言により、毒が盛られた料理を調理した担当者、そしてその者に指示を出した人物が、次々と明らかになっていく。
黒幕は、王位継承権を持つ、王の弟、第二王子のアズワルドだった。彼は、長年にわたり、兄である国王と甥であるクラウス王子を毒で少しずつ弱らせ、その玉座を奪おうと画策していたのだ。国中に広がった病も、彼が井戸に仕込んだ毒が原因だった。
だが、アズワルドも、そう易々と尻尾を出す男ではなかった。彼は罪が暴かれると知るや、自分に与する一部の貴族や兵士を率いて、王宮内でクーデターを起こしたのだ。
「もはやこれまで!力づくでこの国を奪ってくれるわ!」
反乱軍は玉座の間へと殺到し、王宮は再び戦場と化した。ギデオン率いる騎士団が応戦するが、相手は周到に準備を進めており、戦況は互角、いや、むしろ反乱軍が優勢だった。
「くそっ、数が多すぎる……!」
ギデオンが歯噛みした、その時だった。
グォォォォォォッ!
王宮の庭から、大地を揺るがすほどの、凄まじい咆哮が轟いた。反乱軍の兵士たちが恐怖に振り返ると、そこには、巨大な黒狼――フェンリルが、その黄金の瞳を怒りに燃やして立っていた。
「俺のアルに、刃を向けるつもりか。……身の程を知れ、人間ども」
人語を解する聖獣の登場に、兵士たちは完全に戦意を喪失した。フェンリルは、その巨体で反乱軍の陣形をいとも簡単に蹴散らし、その鋭い牙と爪は、鎧など紙切れのように引き裂いていく。
さらに、上空からはグリフォンが急降下し、その鉤爪で敵の指揮官を捕らえ、宙吊りにした。森からついてきていた聖獣たちも、カーバンクルの放つ光が兵士たちの目を眩ませ、ドリアードの操る蔦が彼らの足を絡め取る。
それは、もはや「戦闘」ではなかった。一方的な「蹂躙」だった。人間たちの浅はかな争いなど、伝説の聖獣たちの前では、子供の遊びに等しかったのだ。
あっという間に反乱軍は無力化され、首謀者である第二王子アズワルドも、フェンによってアルとクラウスの前に引きずり出された。
「ひぃっ……!ば、化け物……!」
「化け物、だと?俺の番(つがい)に、そしてこの国の民に害をなしたお前の方が、よほど醜い化け物に見えるがな」
フェンの冷たい言葉に、アズワルドは完全に気圧され、その場に崩れ落ちた。
こうして、国を揺るがした大逆の陰謀は、一人の追放された料理人と、彼を愛する聖獣たちの手によって、あっけなく解決された。
王都の井戸は、アルが作った「浄化のスープ」を大量に流し込むことで清められ、病に苦しんでいた人々も、快方へと向かっていった。
国を覆っていた暗い霧は、完全に晴れた。そしてその中心には、静かに佇む一人の料理人の姿があった。誰もが、彼を国の英雄として、畏敬と感謝の念を持って見つめていた。
調査は、驚くほど簡単だった。王子の味覚が正常化した今、食事に仕込まれたごく微量の毒は、彼自身が即座に見抜くことができたからだ。
「この肉料理……!かすかに、苦みと痺れがある。これだ!」
クラウスの証言により、毒が盛られた料理を調理した担当者、そしてその者に指示を出した人物が、次々と明らかになっていく。
黒幕は、王位継承権を持つ、王の弟、第二王子のアズワルドだった。彼は、長年にわたり、兄である国王と甥であるクラウス王子を毒で少しずつ弱らせ、その玉座を奪おうと画策していたのだ。国中に広がった病も、彼が井戸に仕込んだ毒が原因だった。
だが、アズワルドも、そう易々と尻尾を出す男ではなかった。彼は罪が暴かれると知るや、自分に与する一部の貴族や兵士を率いて、王宮内でクーデターを起こしたのだ。
「もはやこれまで!力づくでこの国を奪ってくれるわ!」
反乱軍は玉座の間へと殺到し、王宮は再び戦場と化した。ギデオン率いる騎士団が応戦するが、相手は周到に準備を進めており、戦況は互角、いや、むしろ反乱軍が優勢だった。
「くそっ、数が多すぎる……!」
ギデオンが歯噛みした、その時だった。
グォォォォォォッ!
王宮の庭から、大地を揺るがすほどの、凄まじい咆哮が轟いた。反乱軍の兵士たちが恐怖に振り返ると、そこには、巨大な黒狼――フェンリルが、その黄金の瞳を怒りに燃やして立っていた。
「俺のアルに、刃を向けるつもりか。……身の程を知れ、人間ども」
人語を解する聖獣の登場に、兵士たちは完全に戦意を喪失した。フェンリルは、その巨体で反乱軍の陣形をいとも簡単に蹴散らし、その鋭い牙と爪は、鎧など紙切れのように引き裂いていく。
さらに、上空からはグリフォンが急降下し、その鉤爪で敵の指揮官を捕らえ、宙吊りにした。森からついてきていた聖獣たちも、カーバンクルの放つ光が兵士たちの目を眩ませ、ドリアードの操る蔦が彼らの足を絡め取る。
それは、もはや「戦闘」ではなかった。一方的な「蹂躙」だった。人間たちの浅はかな争いなど、伝説の聖獣たちの前では、子供の遊びに等しかったのだ。
あっという間に反乱軍は無力化され、首謀者である第二王子アズワルドも、フェンによってアルとクラウスの前に引きずり出された。
「ひぃっ……!ば、化け物……!」
「化け物、だと?俺の番(つがい)に、そしてこの国の民に害をなしたお前の方が、よほど醜い化け物に見えるがな」
フェンの冷たい言葉に、アズワルドは完全に気圧され、その場に崩れ落ちた。
こうして、国を揺るがした大逆の陰謀は、一人の追放された料理人と、彼を愛する聖獣たちの手によって、あっけなく解決された。
王都の井戸は、アルが作った「浄化のスープ」を大量に流し込むことで清められ、病に苦しんでいた人々も、快方へと向かっていった。
国を覆っていた暗い霧は、完全に晴れた。そしてその中心には、静かに佇む一人の料理人の姿があった。誰もが、彼を国の英雄として、畏敬と感謝の念を持って見つめていた。
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