ダンボール無双~実家を追放されたホームレスの俺が、ダンボールの妖精に導かれて鬼畜ゲーム世界で英雄やってるけど質問ある?~

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第67話 ホームレス、英雄になる

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 何度も空中で俺たちは剣を交えた。
 ローザンブルク帝室に伝わるという聖剣とダンボールが互角にぶつかり合っていく。

 俺は剣なんて触ったことなかったのに、まるで意思を持ったように剣は勝手に動いている。これが妖精の加護のおかげか俺の才能か……

 どっちでもいい。

 ここでこいつに勝てるなら、な。

 ニコライは着実に弱っている。やはり、生身で空中浮遊をするのは負担が大きすぎるんだろう。

 だが、さすがの英雄だ。剣はいっさいぶれていない。

『センパイ、その剣の本気を出しましょう』

 妖精の無茶振りが始まった。

「どうやって!?」

『強く念じればいいんですよ。そうすれば、剣は本当の力を取り戻しますから』

 力が欲しい。みんなを陰謀から守れるくらいの強い力が、欲しい。

 俺がそう願った瞬間、剣は青い光に包まれた。

「なんだと……」
 英雄はその青き光に驚いていた。

『目覚めましたね、聖剣バルムンクが!』

 柄に青い宝玉が埋め込まれた美しい剣が俺の手に踊っていた。

 バルムンク。たしか、『ニーベルンゲンの歌』に登場する大英雄ジークフリートの持つ竜殺しの剣だ。

 なるほどふさわしいな。

「終わりにしよう、異界の英雄!!」

「ああ、みんなは俺が守る!」

 最初のぶつかり合いで、ニコライの剣は軽々と弾き飛ばされる。彼はバランスをすぐに取り戻して2撃目で、ローザンブルクの至宝であろう聖剣は粉々に崩れていく。

 粉々になった聖剣を見て、ニコライに初めて恐怖の色が浮かんだ。

「魔力キャパシティーが違い過ぎる!! ちぃ!」
 英雄は、魔力を手に込めて一旦後ろに移動しようとする。魔力攻撃に移行するつもりだったのだろう。

 だが、航空戦で背中を見せることは死を意味する。この世界では史上初めての空中戦だろう。
 その常識を英雄は知らなかったのかもしれない。

 俺は魔力の斬撃を彼に放つ。

 高速で撤退するニコライは、それから逃げるために曲線を描きながら飛んでいたが……

「追尾されている!? これでは避けられない」

「お前の時代は終わりだ。あとは任せろ」
 たむけの言葉を俺は本物の英雄に向ける。

「おのれェ!!」
 斬撃はニコライに直撃し、爆発する。

 傷ついた彼はゆっくりと落下していく。勝ったのか? 俺が本物の英雄に?

『さぁ、帰りましょう。センパイの居場所に?』

『ああ、ありがとうターニャ」

 俺はゆっくりと戻るべきヴォルフスブルクの土地へと向かった。

 ※

 のちに、ハ―ブルク戦争と呼ばれるこの戦いは、各国に衝撃を与えた。
 大陸最弱国と思われたヴォルフスブルクが、大陸最強の陸軍国家ローゼンブルクを打ち破ったのだ。
 空中浮遊魔力の軍事的な応用を示したうえで、ローゼンブルクの至宝まで撃破してしまったヴォルフスブルクの軍事的な地位は列強国に匹敵するほど引き上げられた。

 すべての作戦の立案に携わり、ローザンブルクの切り札を打ち破ったクニカズの存在を世界は知ることになる。
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