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気づくお姫様
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夕食を終え、ラエル様は馬車で自宅まで送ってくださいました。
「明日は公務で学園へは行けそうにないんだ。夜まで戻れると思うが...いい子にして待っててくれるか?」
馬車を手配するから、明日の夜にまた会おう、と名残惜しそうに私の手を離し、私がドアの前まで行くのを確認してから去っていきました。
...さっきまでの出来事は本当にあったことなのでしょうか。
まだ火照る頬を抑え、私はよろよろと自分の部屋へと向かいました。
「おっ...お嬢様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
使用人の方達が何やら顔を赤くしながら話していますが、私は先ほどまでの出来事を整理するのに精一杯でした。
湯船に浸かって部屋へ戻ると、侍女のリリアナが頬を赤くし、躊躇いながらも聞いてきました。
「お嬢様、その...明日は髪の毛で首元は隠すように致しますね。あと、出来るだけ首元が隠れる服装で...」
ラエル様も、明日は髪の毛を下ろして登校するようにおっしゃっていたわ。
...何故かしら?
不思議そうに首を傾げる私に、リリアナは私がこの状況を理解していないことが分かったのでしょう。
「お、お嬢様。鏡を...」
鏡の前に座り、自分の姿を見る。
なっ、なっ....!?
かぁっと顔が一気に湯気を出すかの如く熱くなりました。こ、これって...
「お嬢様、念のためお伺い致しますが、その、まだ、ですよね?」
「もっ、もちろんよ!」
まだ、というのはそういう行為のことだ。結婚前にすることはご法度であることは爵位のある者は全員周知の事実。
首元にチクリとした痛みが何度も走ったのは、これだったのね。必死で全く気が付かなかったわ。
それにしてもこれは....
お父様とお母様とすれ違わなくてよかったわ。これを見たらなんと言われるか...
とてつもない数の華が私の首元で咲き乱れている。先ほどまでのラエル様の熱い息遣いやキスの記憶がじわじわとよみがえってきました。
ら、ラエル様のバカッ
初めてラエル様に対して非難の感情が湧きましたが、今日の事を思い出して恥ずかしさで顔が真っ赤になります。
先ほどの使用人の反応も頷けます。
なんてこと、なんてことっ...
「お、お嬢様!?」
何度も机に突っ伏し、起き上がっては赤面する私にリリアナは心配そうに声をかけてきますが、それどころではありませんでした。
「リリアナ...こ、これ、隠れるかしら」
「大丈夫です。何とかしますから、お嬢様は安心してお休みください。今日は...その、お疲れでしょう」
意味深ににこにこと微笑みながら寝室へと誘導するリリアナに、私は火照る顔を押さえながら静かに従うのでした。
「明日は公務で学園へは行けそうにないんだ。夜まで戻れると思うが...いい子にして待っててくれるか?」
馬車を手配するから、明日の夜にまた会おう、と名残惜しそうに私の手を離し、私がドアの前まで行くのを確認してから去っていきました。
...さっきまでの出来事は本当にあったことなのでしょうか。
まだ火照る頬を抑え、私はよろよろと自分の部屋へと向かいました。
「おっ...お嬢様、お帰りなさいませ」
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湯船に浸かって部屋へ戻ると、侍女のリリアナが頬を赤くし、躊躇いながらも聞いてきました。
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...何故かしら?
不思議そうに首を傾げる私に、リリアナは私がこの状況を理解していないことが分かったのでしょう。
「お、お嬢様。鏡を...」
鏡の前に座り、自分の姿を見る。
なっ、なっ....!?
かぁっと顔が一気に湯気を出すかの如く熱くなりました。こ、これって...
「お嬢様、念のためお伺い致しますが、その、まだ、ですよね?」
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首元にチクリとした痛みが何度も走ったのは、これだったのね。必死で全く気が付かなかったわ。
それにしてもこれは....
お父様とお母様とすれ違わなくてよかったわ。これを見たらなんと言われるか...
とてつもない数の華が私の首元で咲き乱れている。先ほどまでのラエル様の熱い息遣いやキスの記憶がじわじわとよみがえってきました。
ら、ラエル様のバカッ
初めてラエル様に対して非難の感情が湧きましたが、今日の事を思い出して恥ずかしさで顔が真っ赤になります。
先ほどの使用人の反応も頷けます。
なんてこと、なんてことっ...
「お、お嬢様!?」
何度も机に突っ伏し、起き上がっては赤面する私にリリアナは心配そうに声をかけてきますが、それどころではありませんでした。
「リリアナ...こ、これ、隠れるかしら」
「大丈夫です。何とかしますから、お嬢様は安心してお休みください。今日は...その、お疲れでしょう」
意味深ににこにこと微笑みながら寝室へと誘導するリリアナに、私は火照る顔を押さえながら静かに従うのでした。
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