罪と罰とは

双葉

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竹次が出所する半月の間、あと二回ほど面会する事が出来たが、当たり障りなない話ばかりで事件の話をする事は無かった
出所してからは聞き出していた住所を頼りに会いに行った
歓迎も拒否もされていない感じで当たり障りのない話ばかりが多かった
ただ、娘夫婦は施設に入れたかったみたいだが、介護を必要としない事と本人が拒否をした為に事件が起こった家で暮らしているらしい
その家には仏壇があり竹次が殺害したハルを供養している
殺害された者に殺害した者を供養されるのはどうなのだろうかと思った
来るたびに仏壇を見るがいつも綺麗で、この家より大切にされているのがわかる
上がり込む事に成功した時に仏壇に手を合わせてから、竹次は仏壇のある居間に招いてくれるようになった
それを知ってからは来る前にあんパンを買って来て供えている
ハルが本当に好きだったかは知らないが、刑務所での面会で竹次が泣いていたので好きだと勝手に思い込む事にしているからだ
出所から一年半、私に慣れてくれたのか竹次は呟くように言った
「もし私がハルを殺していなかったとして、きみを殺したら私は未だに刑務所にいると思わないかい」
聞き取り辛い呟きだったが竹次の呟きに答えた
「たぶんそうでしょうね」
「そう思うと本当に悔しい」
踏み込むなら今しかないと事件の話を聞いた
「本当は何が起こったんですか。私は竹次さんが刃物を持って刺そうとしたなんて思えません。そうしなければならなかった、理由があるはずです。あの日、ハルさんに何があったんですか」
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