罪と罰とは

双葉

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「警察に言った」
「確かに嘘は言っていないかもしれませんが、真実だとも思っていません。わたしが思うに、言っていない事の方が多いと思います。話してくれた事をふれ回るつもりもありません。わたしはただ気にって知りたいだけなのです。ここで教えていただいた事は誰にも言いません。教えてください」
「別に言うことも無いし、秘密にしてもらうような事もない」
そう言ってポツポツとあの日あった事を話しだした


あの日は普段といつも変わらない日だとわたしは思っていた
わたしは妻と、いつもの様に果物の皮を剥いていた
すると妻はあんパンを欲しがった
妻はあんパンが好きだが、ボケてしまってからはあまり欲しがらなかった
だからわたしは嬉しくなって、、、
台所に置いてあったあんパンを、、、
包丁を、、、前に置いたまま、、、
わたしが、、戻ってくると、、、ハルは、、じ、自分で、、の、喉に、ほ、包丁を刺して、苦しんで、、いた


竹次は苦しそうに、辛そうに、泣くのを我慢しながら話してくれていた
そんな竹次を見ながら、わたしは「もう良いです」と言うべきとは思いながらも黙って見ているしか無かった


わたしは、、、ハルにか、駆け寄り、包丁を抜こうとしたら、ハ、ハルが、包丁を握った、わたしの、手に重ねて、苦しそうに『ごめんね』って、、、


泣くのを我慢していたはずの竹次は、我慢しきれずに涙を流している


抜こうとす、るわたし、を見て『許して』って
暫く、見ていなかった、しっかり、前を見た瞳で、、昔とおんなじ目で



もう我慢する事をやめたのか、話の途中だが暫くわたしが居るのを忘れたかのように泣いた
大声は出さなかったが、何度も嗚咽しながら涙を流している
わたしはなぐさめる事も出来ないままここにいる事に居心地が悪く「少し飲み物を買ってきます」と言って部屋から出て行ってしまった
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