聖女の攻防

双葉

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六話

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「ちょっとあなた。今日遅刻ギリギリだったようだけど、学生の自覚あって?」
なんだかんだでシルビアが心配してくれていると思い勝手に少しだけ感謝していたが、ノートを見てから疑り深くなってきている
気にしているのではなく逃げないか監視している気すらしてくるから不思議である
「いつも私如きをお気遣いくださるなんて、シルビア様って何てお優しいのでしょう」
「は?私が平民風情を気にすると?」
「はい。今日も私が遅刻しそうな時間に登校したのをご存知とは」
恥ずかしそうにしてみる
意味に気づくか気づかないかでカマをかけたのだ
意味に気づいて警戒されたらされたでそれなりに動く予定だ
そして逃げ場がなくなれば、公然でシルビアの慈悲深さに泣いてやろう
「流石、殿下の婚約者様。未来の王妃様」と
「ふん。そんな訳ないでしょ。それより今日の放課後、学園裏の池で待っているわ」
「私一人でという事でしょうか?」
「当然ですわ。殿下とご一緒にこられるつもりだったかしら?」
さっきの挑発に乗ってきたのか
それとも元から何か仕掛けてくるつもりか
何方ともとれるタイミング
「そうさせていただきます」
シルビアは一瞬面食らった顔をしたが持ち直した
「では待っていますわ。私としては殿下を煩わせる事なく一人で来る事をお勧め致しますわ」
どっちかわからなくても大衆の面前で話す事からして私をいじめるつもりなのだろう
これだけの前で話していれば何人もが見に行く
あの男を連れて行けば、あからさまないじめはしなくなる
そうなれば此方の武が優ってくるだろう
でも邪魔なんだよ
悩んだ末、一人で行く事にした
平手打ちくらい避けてやるの勢いである
「一人できたようね。まあ、殿下があなたなんかを相手にするとは思えませんが」
「そうですね。シルビア様とは違い、私はただの平民の一生徒。殿下が一生徒を気にしすぎるのは殿下とシルビア様の外聞に良くないと気付きました」
一瞬、意表をつかれたか気が抜けたような顔をしたが、気づいたのは私だけだろう
よく見るとシルビアはよく顔に出る
貴族は落とし落とされの世界で、悪口当たり前と短い学園生活で気づいた
これは生きにくいだろうな
でも、先に喧嘩を売ってきた相手を助けようとは思わない
裏切ったやつは地獄をみて当然
知った事ではない
「物分かりが良い事。まあ、口では何とでも言えますからね」
「そうですよね。もし殿下とご一緒する事になった時は出来るだけシルビア様にお知らせ致しますので、来てくださいませんか?三人でしたら変な噂も流れないでしょうし」
「なにを仰っているのかしら?私は婚約者ですよ。嘘でもお二人の邪魔をする様に見られるのは我慢なりません。あなたが殿下にお会いしなければ良い話でしょ」
あれ?
ノートは嘘で、本気で私に嫉妬してる?
もしかして私、恋の導き手?
わたしって本当に聖女?恋の女神?
凄い事に気づいて調子に乗った
シルビアが可愛く見える
「兎に角、殿下には近づかないでくださいませ」
シルビアは手で軽く突いてきた、、が、びくともしなかった
もう一度突いてくる
「それは殿下次第です」
もしかしなくても私は二人の恋の着火剤?
私という邪魔な存在で改めて気づくみたいな?
ノートの事は忘れてあげる、任せなさい


「今思い出しても、私って危ない奴だったな」


シルビアの為にと間違ったように見えながら、正しい方向に進んでいった


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